表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
87/119

周知

門を通る際に軽く()みくちゃにされ、道すがら掛けられる声に軽く返しながら、慣れ親しんだ建物(ギルド)に辿り着く。


そのままいつものように扉を開けて足を踏み入れると騒がしかった室内が静まり返った。


え、なんか不味(まず)い時?


突然の静寂(せいじゃく)に驚き一瞬足を止めるが、戸惑(とまど)うような雰囲気(ふんいき)に問題は無いらしいと判断し歩みを進めた。


「ヴェルデだ。」

「ヴェルデが帰ってきた!」


静まり返っていた連中が、俺を認識した途端にわらわらと集まってきて、再び揉みくちゃにされる。

なんだか皆高揚しているようで、普段なら静観したり、素通りしているような連中までが俺を取り囲んで帰還を喜ぶ声を掛けてくれる。


いや、本当に皆どうした!?

俺、一応ゼーンの遊び相手をしてたことになってるんだよな?

ここまで歓迎されるような事は無いと思うんだが…。


(ようや)く帰ってきたか。」


少し離れたところから落ち着いた声が掛かる。

視線を向けるとリェフが食事処からこちらに来るところだった。

鋭く(にら)み付けるような眼差しで、額から左頬にかけた傷がやたら見た目の迫力を上乗せしているが、何だかんだと面倒見の良い上級者(ランカー)だ。


「なんだ、見た目に変化は無いんだな。」

「は? 見た目?」


思いもしない言葉に、(いぶか)しげな返事をしてしまう。


「お前、覚醒したんだろ? それも(ドラゴン)のだって? 昔から思ってたが、お前ほんと予想外を地で行く奴だよな。」


そう言って口角を上げた。


「なんでその事…!?」


思わずジェミオとアルミーを振り帰る。


「俺達じゃないぞ。」

「話したのはギルド長(ギルマス)への報告と、詳細を聞くのに食い下がったフィオだけだ。」


二人が苦笑しながらそう言って一緒にいた幼馴染みへと視線を向けた。

どうやら俺の覚醒の事を広めたのはこの幼馴染みらしい。まったく、人の事を勝手に。


「フィオっ!」

「なんだよ。竜の力が覚醒したんなら、強化されたのもちょっとやそっとじゃないだろ? 黙ってていきなり強くなった力を見せられたらヴェル絶対に周囲(みんな)に引かれるぞ。だったら最初から知っててもらった方が余計な面倒が無くて良いだろ。」


抗議を込めてフィオの名を呼ぶと、真顔でそう告げてくる。

確かに、フィオの言うことには一理ある。

今は覚醒前の魔力量に近い状態まで押さえているし、あんな破壊の力を使うことなんてそう無いだろうが…。


『絶対なんて無いんだよ!!』


昔聞いたフィオの声が甦る。

そう、絶対なんてないんだろう。

実際にこの数日で普通なら無いだろう出来事に遭遇しまくったのだから。

でもなあ、俺に相談もなくっていうのはどうなんだ。


「だからって俺に断りもなく…」

「大体、最初から隠す気なんか無いんだから問題ないだろ。そのうえどうせヴェルの事だから、話す機会がとか言って先延ばしするだろうし。」


尚も抗議の言葉を(つむ)ごうとする俺に、フィオがしてやったりと笑みをこぼす。


「いや、確かに隠す気は無かったが、先延ばしにする気も無かったぞ。」

「じゃあ、いつ話すつもりだったんだよ?」


なんとなく悔しくて否定してみたが、何時と聞かれても具体的に浮かばない。

個人の事なんて大々的に発表するような事でもないだろうし。

かといって、人に会う度に「俺、竜の血に覚醒したんだ。」なんておかしくなったと思われるだろ。


「…そのうち?」

「……はぁ。これだから。」


俺の返事を聞いたフィオは呆れた溜め息を吐いた。


明けましておめでとうございます。

昨年は当作品にお付き合いいただきましてありがとうございました。

更新リズムが少々乱れておりますが、引き続きお付き合いいただければ幸いです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ