理解と立場
「またやった……。」
隠したかった内心と、自ら吐露してしまった失態に、俺は熱くなった顔を隠すように頭を抱えた。
"オレ悪いことしちゃった?"
ゼーンが膝の上で不安気に見上げてくる。
「あ、いや、怒ってる訳じゃない。ゼーンに悪気が無いことは解ってるよ。ただ、俺が思ってることや、感じてることを何でも皆に話すのは勘弁してくれるか? 恥ずかしかったり、場合によっては困ることになるからさ。」
俺は羞恥を一旦置いて、ゼーンに話した。
今回の場合は俺が少し、いや、かなり恥ずかしい思いをしただけだが、相手によっては本音がばれると問題になる場合だってあるんだ。無用な問題事は避けたいからな。
"……。うん、解った。恥ずかしいとヴェルデが困るんだよね。"
""「「ぶっ!」」""
俺の言葉に少し考え込んでいたゼーンがそう結論付けて言った。
それを聞いて周りから吹き出す声/念話が聞こえてきた。
「なっ、ちがっ…いや、違わないか。ああ、もうそれでいいや。うん、ゼーンそういう事なんで頼む。」
一瞬、否定しようとしたが、頼みの大方の理由がそれだったのと、ゼーンに納得して貰えるならと諦めた。
何せ、俺達の周りで大人連中が肩を震わせてるんだ。今更何を言っても無駄だろう。
それに竜と銀狼が笑うのを堪えてぷるぷると震えてる姿を見せられて、威厳とか憧れとか何処行ったんだって話だ。
「ああっ、もう笑いたきゃ笑えばいいだろっ! 堪えて震えてる奴に囲まれてる方が地味に堪えるわっ!」
""「「っ、あっはっはっは」」""
俺がいたたまれなくなり叫ぶと、大人連中が声を上げて笑い出した。
あ~結局こうなるのか。
俺は黙ってゼーンの柔らかな毛に顔を埋めた。
◇ ◇ ◇
「なあ、もういい加減にしろよ。」
何時までも治まらない大人連中の発作に、俺の声が地を這っていた。
「くっ、わ、悪い。」
「あ、ああ、そうだな、す、すまない。」
俺の目つきと声色にそろそろ危ないと感じたのか、ジェミオとアルミーがどうにか笑いを納めて言った。
"くくっ、いやはや、本当に賢い子だ。"
爺さんがゼーンに感嘆の眼差しを向けて言った。
"互いに良く理解しあってるようで何より。"
笑いを納めためたゼーンの親父さんが幾分嬉しそうな声で頷いた。
「本当に、ゼーンが良い理解者で良かったな。」
そう言ってジェミオが俺の頭の上のゼーンを撫でた。
「ゼーン、これからもヴェルデの事頼んだよ。」
"うん。"
アルミーもゼーンを撫でながら言った。
「なあ、何で俺の方が見て貰う体で話すんだよ。」
"事実、散々助けられたからだろう。"
納得いかないと抗議すると、爺さんから呆れた念話で即答された。
「どうせ俺は能力の足りない未熟者だからな。………。分かった。俺が悪かった。だからゼーン、尻尾で励ますの止めてくれ。」
不貞腐れて答えたら、ゼーンが黙ったまま尻尾で俺の頭を撫でてきた。
その様子に注がれる温かな眼差しは辛い。
はい、自分の立場を十二分に理解しました。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




