表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
74/119

頼みごと

「ふむ、(まぐ)れとはいえ一当(ひとあ)ては一当(ひとあ)て。この程度の制御が出来ておればそう暴走することもあるまい。」

「…っ、…終わった…。」


(じい)さんの口から出た終了の言葉に、態勢を整えようと片膝をついた状態から地面へと転がった。

呼吸を整えつつ、()り傷、切り傷、火傷(やけど)打撲(だぼく)満身創痍(まんしんそうい)となっていた全身に『治癒(セラベヴォ)』を掛ける。


何だかんだと(しご)かれているうちに、魔力制御だけでなく、剣や体の(さば)き方まで(たた)き込まれた。

(じい)さんの攻撃が、常に俺のぎりぎりの一つ二つ先の強さと早さで()り出されるのを、(さば)き、(しの)ぐために必然(ひつぜん)として身に付いたというのが正直なところだ。

だがお陰で種族的なことを除いても、技術面で格段に強くなったという実感がある。


伊達(だて)に竜王や長生きをしてる訳じゃなかったと尊敬の念を抱いたが、また揶揄(からか)われるのがおちなので黙っていた。


   ◇ ◇ ◇


俺は『治癒(セラベヴォ)』を終えた後も転がったままでいた。別に何か問題がある訳ではなく、ただ面倒くさかっただけだ。

このところ転がっていたときは何らかで気絶しては目を覚ます、という状況しかなかったので、回復を待つ間とはいえ自分の意思で転がっていることに妙な満足感を覚えていた。


「少し話しに付き合わんか? 座って話しをする程度には回復しているだろう?」


黙って俺の回復を待っていた(じい)さんがそう言って俺の前に腰を下ろした。

俺は起き上がり座って爺さんを見る。


「ヴェルデ、お前に一つ頼みたいことがある。」

「何だよ、(あらた)まって。」


(おだ)やかな表情をした(じい)さんの言葉に、俺は(いぶか)しげな表情を浮かべた。


「もし、お前が自由な旅に出ることがあったら、あの剣を持って、私の変わりに娘の墓前を(おとな)ってもらいたい」

「どういうことだ?」

「私の娘は七百年ほど前に人族の王家へと(とつ)いだ。そして邪神に()かれた魔王と魔族の侵攻の際に、娘は国と人族を、妻は娘を守ろうとして命を落とした。私は二人を失った悲しみと怒りから魔王を滅ぼし、一族を捨てこの地へ隠遁(いんとん)した。妻の亡骸(なきがら)はこの地で眠っているが、娘は人族の手によって王家の墓へと埋葬(まいそう)されたらしい。」


(じい)さんは感情の色を見せずに、淡々と話しを続けた。


「どうして、行くかどうかも分からない俺なんかに頼むんだよ? (じい)さんが自分で行くべきだろう?」

「それが出来ればお前に頼んだりせん。」


そう問うと困った表情を浮かべた。


お付き合いいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ