今後の対応 (side グラン)
ガルブの森で起きた一連の報告を聞き終えたが、言葉が出ん。
森へ着いて直ぐに銀狼の幼体と遭遇、続いて銀狼。まあここまでなら流れとしても致し方ないと言えるだろうが…竜にまで至るのは流石に無いだろう。
況して、その竜が知性がある上位種であるどころか嘗ての竜王だとは他所の冒険者なら鼻で笑い飛ばすところだ。
さらに、こいつらが遭遇した出来事の全てが今回の異常に関連するなど、通常であればあり得ない、想像の斜め上どころか遥か彼方へ飛んでいったかのような大事の連鎖。
「よくもまあ無事に戻れたもんだ。」
そう口にしながら、瞑目していた目を開いて目の前の二人を見た。
「俺も子銀狼と関わった時点で最悪の覚悟はしたがな。」
「ヴェルデの強運の真価を見た。そんな感じです。」
二人は苦笑を浮かべながら言った。
「…あぁ。そうか。」
アルミーの言った事に思い至り、俺まで苦笑を浮かべた。
本当にヴェルデの大物釣りの質は、相も変わらず限度ってもんを知らんらしい。
ヴェルデに竜の血が流れてるだろうってのはカンセルの親爺と話した事はあったが、まさか覚醒する程のモンだったとはな。
大昔の魔族侵攻以降、一部の血族以外の生き残った者達は種族を問わずに交わり,今となっては種族など、個人の特性を語る程度にしか意味はない。
だが稀に後天的に、流れる血族の特性が変わったり、特性が発現することがある。
それが『血の覚醒』というものだ。
覚醒は個人差が大きく、人格が変わったり、時には命を落とすこともある。
ヴェルデが眠りから目覚めた時、もし人格が変わっていたとしても、それでも生きていてくれるならそれでいい。
もしおかしな暴走をするようであれば、しっかり矯正してやればいい話だからな。
そう結論付けて、組織の頭としての思考へ切り替える。
森の奥に竜が住んでいるとは言っても、互いに不干渉を望んでいるのならこちらとしても否は無い。
そして銀狼が住み着くにあたっても敵対しなければ助力として森の監視をしてくれるという。
こいつらは今回の原因を探るどころか、事態を収めて最上の状況となる結果を持ち帰ってくれた。
「竜王に関しては口外せずここだけの話にする。そして銀狼については手を出さないよう通達する。従わず手を出す輩は冒険者資格を剥奪、口外できないよう誓紋を刻む。
ヴェルデについては気に入られて子守り中ということにするか…とまあ、こんなもんでいいか?」
今後の対応を上げて確認のため二人を見ると二人は黙って頷いた。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




