報告 (side ジェミオ)
「良く戻った!!」
報告に訪れた部屋にギルド長の歓喜の声が響いた。
が、部屋に入るはずの一人が欠けていることに気付くと途端に厳しい表情に変わった。
「…取り敢えず座れ。」
俺とアルミーは頷くと、ギルド長の対面へと腰を下ろした。
「………、報告を頼む。」
ギルド長は少しの間瞑目すると、意を決したように言った。
「報告したいことは幾つかあるが、その前に会話が漏れないよう結界を頼みたい。」
「…分かった。『遮音』」
俺の要望にギルド長はすぐさま結界を張ってくれた。これで安心して話せる。まずは憂いの一つを減らしておこうか。
「始めに、ヴェルデは大丈夫だ。生きてる。」
「っ、本当か!?」
俺達が二人で戻ったことで、愛弟子の最悪の状況を覚悟していただろうギルド長は身を乗り出す。
「ええ、本当です。現状、命の危険はほぼ無いかと。」
「そうか…。それじゃあヴェルデが戻らない理由も含めて話してくれ。」
アルミーの言葉に安堵の表情を浮かべたギルド長は、一息吐くと落ち着いた様子で促した。
「異変の原因は、銀狼が森に住み着いたからだった。」
「フィオから報告は受けていたが、本当だったか。」
報告にギルド長は苦々しげな表情を浮かべた。
そこへ俺は続きを口にする。
「…と言うのが表向きの報告だ。」
「表向き?…どういう事だ。」
俺の言葉を聞いたギルド長が訝しげに訊いてくる。
「銀狼が森に住み着いた事は嘘じゃない。だが、原因はそれだけじゃなかった。」
「森の魔力の件、ヴェルデが報告していたはずです。」
「ああ、魔力が濃い気がするという話しもあって、お前達を向かわせたんだからな。」
何が言いたいんだという表情で言うギルド長に俺は原因となった存在を口にした。
「森に拡がった魔力は竜の魔力だった。」
「な、竜だと!? 間違いないのか!?」
竜と聞いてギルド長の顔色が変わる。
「はい。実際にその竜にお会いして、直接お聞きしました。」
「っ、あ、会った!? 直接聞いた!?」
アルミーの肯定した内容に更に驚くギルド長。
そうだよな、こんな反応になるよな普通は。
このまま全部説明して、ギルド長は大丈夫か?
そう思いながらアルミーの様子を窺うと、同じように苦笑していた。
驚愕するギルド長が落ち着くのを待って、俺とアルミーは二日前に森に着いてからの出来事を、順を追って話し始めた。
子銀狼との遭遇から銀狼との邂逅、ヴェルデの血の覚醒に、子銀狼との従魔契約、竜王への請願とヴェルデの血筋のこと、現在のヴェルデの状況と、今後についての対話の内容。
話が進むにつれてギルド長は表情を無くし、後半に至っては瞑目して聞いていた。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




