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俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
64/119

余裕

そう、俺はギルド長(ギルマス)から依頼を受けて、異変の調査に来たんだよ。ゼーンの親父さんに会ってやっと原因が竜の魔力だって判ったところだったのに、突然血の覚醒が始まったせいで俺は勿論(もちろん)、ジェミオやアルミーまで足止めされて…。


って、竜の魔力!?


「そうだ! 森に広がった魔力の持ち主って!」

「ああ、私の魔力(もの)だったようだな。」


こっちは大暴走(じたい)を回避したいと必死なのに他人事(ひとごと)のように返す(ドラゴン)の様子に先程までとは別の苛立(いらだ)ちが()いた。


他人事(ひとごと)みたいに言うな!!」


声を荒げた瞬間、制御していた魔力が怒りに(あお)られるように()れ出す。そしてその事を理解していながらも、感情の(たかぶ)りに(まか)せ言葉を()き出した。


「その魔力のせいで大暴走(スタンピード)が起きるかもしれないんだぞ!! 大暴走(スタンピード)なんて(ドラゴン)銀狼(フェンリル)にとっちゃ大事(おおごと)でも何でも無いんだろうさ。でも俺達や町の皆にとっては死の宣告にも等しいんだよ!! なのにその発端(ほったん)になりかねないことやっときながら、無責任な態度取ってるんじゃねえよ!!」

「!、…。」


言い放って振り上げた拳を、(ドラゴン)()けなかった。

力一杯(なぐ)ったにも関わらず、たたらを()むでもなく、傷らしいものも無い顔をこちらに向け、(ドラゴン)は言った。


「確かに此度(こたび)危機(きき)を呼んだのは私の落ち度だ。ましては事態の収拾(しゅしゅう)すら自身ではなにもしておらん。」

(なぐ)られたのは謝罪のつもりかよ。」


俺が(にら)み付けるように言うと、静かな眼差(まなざ)しをした(ドラゴン)は言葉を続けた。


「謝罪の思いが無いとは言わんが、()けなかったのは事態を(おさ)めたお前への礼だ。」

「俺が事態を(おさ)めた? 一体どう言うことだよ?」


言われた内容に心当たりはなく、何の事かと聞く。


「お前が意識を失くしている最中(さなか)に、お前の持つ剣がその身に宿(やど)る守護の力で、森に広がった魔力を大地へと(かえ)したのだ。」

「…そうか、あの剣が…。やっぱりとんでもない代物(しろもの)だったな。」


脳裏(のうり)漆黒(しっこく)(さや)に包まれた、白銀の剣が浮かぶ。

意識の無い状態で起こった事など、心当(こころあ)たりなどある(わけ)が無かった。

そしてもたらされた話の中で考えるべき事は別にある。


「…剣が魔力を大地に(かえ)事態(じたい)(おさ)めたって言ったよな。ということは大暴走(スタンピード)の危険は無くなった、そう理解して良いんだよな?」

「そうだ。」


念を押すように確認すると、はっきりとした肯定(こうてい)が返ってきた。


危機が回避出来たことに、じわじわと全身に安堵(あんど)が広がる。そして落ち着いて考えられるようになったことに気づく。


前にジェミオとアルミーに言われたばかりだというのに、俺はまた周りを気にする余裕を無くしていたらしい。それどころか、苛立(いらだ)ちのままに(なぐ)ってしまった。二人が知ったら(あき)れるだろうな…。


俺は若干(じゃっかん)の気まずさを感じながら、(ドラゴン)へと頭を下げた。


「さっきは(なぐ)ってごめ、っ、すみません。」


ふっ、と対面の(ドラゴン)から吹き出すような声が()れた。


「普段の話し方で構わんよ。そして謝罪もいらん。言っただろう、あれを受けたのは礼だと。」


俺は頭を上げると、(ドラゴン)()を見て礼を言った。


「わかった。こちらこそありがとう。あと頼みたいことがあるんだ。いいかな?」

「なんだ?」


(ドラゴン)は俺の(あらた)まった物言(ものい)いに、怪訝(けげん)そうな顔をした。


「今の現実での状況を教えて欲しい。」


俺はそう望みを()げた。


お付き合いいただき、ありがとうございました。


気が付けば10,000PVを超えていて、感謝しかありません。

本当にありがとうございます。

今後もお付き合いいただけると幸いです。

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