帰路 (side ジェミオ)
俺とアルミーは、馬を駆り町への帰路を急いでいた。
森の異変が収まったことと、今後についての事を早急にギルド長へ報告するためだ。
あの後俺達は、子銀狼のゼーンから精神の空間での様子を聞き、ヴェルデが子銀狼の力を借りつつ、持てる力と精神力で命を掴んだのだと知った。
子銀狼が尻尾を振りながら、ヴェルデの頑張りを誇らしげに語る様子に、場は和やかな雰囲気に包まれた。
そして今後について互いの要望をつき合わせた。
竜王は俺達一部の者を除いて、今まで同様に場と存在を秘匿すること。
銀狼は森で子銀狼達を育てながら、奥方の回復を待つこと。
俺達は生活を担う森への出入りと、町の安全を図ること。
互いの要望を出し合った後の話しには、然程の時間もかからなかった。
竜王と聖域については、銀狼は言うまでもなく、俺達としても公にすべきでは無いと考えていたからだ。
銀狼一家の事にしても、状況からして長期に渡り住み着くことは確定だが、従魔契約の事で友誼と呼べる程度の信頼関係は築けただろう。
森へ狩りや採取に来た人族に遭遇した際も、何らかの敵意もしくは危害がない限りは攻撃はしないとの言質を貰った。
そして今回の出来事については、ギルド長と信頼のおける一部の者へは真実をありのまま伝えるが、対外的には銀狼が森に住み着いたことによる影響だったという話しに落ち着くこととなった。
色々とあったが、今後、銀狼一家がいる間に森に何か異常があれば、知らせて貰えることになったのは何よりの収穫だろう。
一通りの摺合せが終わったところで、問題となっていた帰還と再訪問について、銀狼へ伺いをたてた。
“うむ。御方の御許しがあるというなら構わぬ。我が其方達を連れよう。”
「あの、こちらからお願いをしていることですが、その…宜しいのですか?」
あまりにあっさりと承諾され、言葉を失くす俺に代わって、思わずといった様子でアルミーが確認を取った。
“ん? 其方達は人里の者達へ事が収まったことを告げにいくのであろう? 彼の者が目覚めるまでは通わねばならぬのだ。助力もやぶさかではない。何より我が子の主となった者であるなら、我が力を貸すのもそうおかしな事でもなかろう。”
さも当然とばかりに返された内容に、義弟の強運が脳裏に浮かび、アルミーと二人して苦笑した。
そんな経緯で取り敢えず帰還をすることになった俺達は、馬達が夜営場所の近くに無事でいることを精霊達から銀狼経由で聞き、その場へと転移で送り届けて貰った。
そうして俺達は報告の帰路に就いた。
ヴェルデの馬ももちろん一緒だ。
最初は一緒に行くことを嫌がったんだが、ヴェルデが戻るまで暫くかかることを告げると、大人しく付いてくるようになった。
この馬もうちの義弟が気に入ったらしい。
あれこれと思い返している内に、町を囲む外壁と門が見えてくる。
さあ、帰ったらとっととギルド長達へ報告を済ませて、双子の容態を確認したら義弟の所へ戻るかね。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




