家族 (side ジェミオ)
“うん、助けるのなんて当たり前だよ。だってヴェルデが大好きだからね。オレに「ゼーン」って名前もくれたんだ。相棒で家族で弟だって。”
感謝を告げると、子銀狼の嬉しそうな返事が返ってきた。たった二日の間、それもこちらが生死に気を揉んでいる間に、あの義弟は子銀狼と随分と打ち解けていたらしい。
「そうか。俺はヴェルデの兄貴分でジェミオって言うんだ。宜しくな。」
“ヴェルデの? うんオレ、ゼーン。アニキブンって良くわかんないけど、家族ってこと?”
「そうだよ。俺はアルミー。俺もヴェルデの兄貴分、血の繋がりのない兄だと思ってくれたら良いよ。」
子銀狼に改めて名乗ると、言葉が難しかったようで若干困惑したようだったが、すかさずアルミーが補足してくれた。
“そっか、オレと一緒だ。じゃあ、ジェミオとアルミーもオレもヴェルデの家族だね。”
「ああ、そうだ。それにヴェルデには他にも町に沢山の家族がいるんだ。その中にはヴェルデも知らない家族もいるけどな。」
アルミーの説明に納得した子銀狼に、ちょっとした遊び心で、町の皆のことも家族だと言ってみた。
“ヴェルデも知らない家族? 難しいけどなんか面白いね。でもそれならヴェルデが大好きな人族が沢山いるってことだよね。ヴェルデもみんなのこと大事だって。いつも支えて助けてくれるみんなのこと守りたいって。だから生きてみんなのところに戻るんだって頑張ってたよ。”
軽い気持ちで言った言葉に、予想もしていなかった答えが返ってきて俺の方が驚かされた。
この真っ直ぐさは、ヴェルデにそっくりだ。
“銀狼殿、貴殿の幼子はその能力の高さも然ることながら、驚くほど早熟な子だ。契約と同時に血族の精神に降り立ち、血族を支えていたらしい。”
俺達のやり取りを黙して見ていた竜王が銀狼へ、子銀狼を褒め伝える。
“御方にその様に云っていただけるのは大変誇らしく。だが契約を結んだからといって、人里に向かわせるには流石に早すぎる。暫くは我の元にて学ばせる所存。”
我が子を褒められた銀狼は、堅い口調でそう云うが、揺れる尻尾が内心を如実に表していて、親近感を得てしまったのはしょうがないことだろう。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




