表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
6/119

家主の助言

鐘の音で目を覚ます。

鐘は日の出から、日の入りの間で五回鳴る。

いつもなら一の鐘が鳴る前に起きてギルドへ向かうんだが、俺も昨夜は少し酔っていたらしい。

目覚めがいつもより若干遅かった。


昨夜は夜半過ぎまでフィオに付き合った。

酔ったあいつをギルド近くにある契約宿(あいつのへや)へと放り込んで帰ったが、起きれば寂しくなった懐に気付くだろう。俺が奢るといったのは一杯だけだからな。

そして明日あたりに依頼の話を持ちかけてくるのは毎度の事(おやくそく)だ。

明日あたりなのは、恐らく二日酔いで今日はまともに動けないだろうから。

解毒魔法(アポトキノシン)が使えれば直ぐにでも治るが、フィオは使えないし、状態異常の回復薬(くすり)も使えば補充の金がかかるから使わないはずだしな。


俺も今日は休養日(やすみ)だ。

依頼をこなした後は、必ず休養日(やすみ)()てるのは冒険者として活動するうえでの基本だからだ。

身体を休めることはもちろん、武器の手入れや消耗品の補充、長期の依頼後は不在時の情報の収集など、休養日(やすみ)と言ってもやるべき事は沢山ある。

その必要性と内容についてはランクF(みならい)ランクE(しんじん)になった時点で、ギルドや上位者(せんぱい)から嫌という程聞かされるだけでなく、場合によっては実力行使(ちからずく)で休まされる。


それに昨日剣が折れたからな。

新しい剣をどうにかしないと。

いくら魔法が使えても、囲まれたり魔力が尽きればどうにもならない。

とりあえずは武器屋にいってみるか。

今日の予定を考えながら部屋を出た。


  ◇ ◇ ◇


部屋を出て階段を下りると、一階は売場になっていて、壁際の棚にはお守り(アミュレット)護符(タリスマン)腕輪(バングル)が並んでいる。

ここは護符屋(ごふや)で、俺はここの二階に間借りしている。


「おはよう、リュネさん」


カウンターの椅子に座って気だるげにしている女性に挨拶をした。


「おはよう、ヴェル坊。今日はゆっくりだね。」


リュネさんは気だるげな様子に反して、しっかりした声音(こわね)で返してくれた。

俺を『ヴェル坊』と呼ぶ彼女は落ち着いた外見(みため)で、若い母親か年の離れた姉といった美女だが、俺が物心付く頃に初めて会ったときから全く容姿が変わっていない。

というのも彼女は平均寿命が三百年前後というエルフの血筋らしく、成人してから寿命を迎える五十年前程までは殆んど外見(みため)が変わらないそうだ。

なので年齢は俺も知らない。司教様(せんせい)がこの町に来たときには既に居たそうだから、少なくとも…


「それ以上は覚悟してから考えなよ、ヴェル坊。」

「…あ、はい。なんでもないです。リュネさんは今日もお綺麗だなと。」

「まあ、誤魔化(ごまか)されてあげるよ。」


俺の周りの女性は勘が良すぎると思うのだが、みんな読心術(まほう)でも使えるのだろうか?


「付き合いの長い連中なら、あんたの考えることなんてお見通しさ。」


リュネさん、思考(こころ)を読まないでください。


「ところで今日はどうするんだい。」

「今日は休養日(やすみ)だよ。それに昨日大物を仕留めた時に剣が折れたから、ちょっと見繕(みつくろ)ってくるよ。」

「…ふうん、そうかい。剣がね…。」


俺の答えにリュネさんは小さく呟くと、何かを考え込むような様子で黙ってしまった。

何か言われるのかと待ってみたが、何の(いら)えも無かったので出ることにした。


店の入り口の扉に手を掛けたところで、リュネさんから声が掛かった。


「ヴェル坊、剣を買うなら今手に入れられる最上の物を選びな。」


振り返ると真剣な瞳をしたリュネさんがいた。

リュネさんには昔起きたことや、これから起こる事が見えることがある。

自由に見られるものではないらしく、使い勝手が悪い力だと以前に話してくれた。

だが、彼女が見るものは大きな出来事に繋がっていることが多い。

()えて助言をくれるということは、今回の出来事に俺が深く関わる事になるのだろう。


「分かったよ。ありがとう、リュネさん。」


俺は礼を言って扉を開けた。





お付き合いいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ