問題点 (side ジェミオ)
真の聖域とも言うべき竜王の在るこの場所は、一定の明るさが保たれ、まるで時間が停止したような雰囲気だが、見上げれば木々に囲まれた空が明るくなっていた。
起きてきたアルミーと朝食をとり、予定していた調査の帰還日である今日をどうするかを相談する。
「さて、今日戻る予定にしていたがどうする?」
「俺はこの後の話し合いの結論が出るなら、一度戻るべきだと思う。フィオの伝言でギルド長達も心配してるだろうしな。」
聞いた俺にアルミーは帰還する方が良いという。
俺は頷いて言った。
「俺も同じ考えだ。結論の如何に関わらず、状況を伝えに戻った方が良いだろ。ヴェルデがいつ目覚めるかも不明だし、目覚めたとしても直ぐに動けるかはわからないからな。ただ問題がな…。」
「森の最奥と言えるだろうこの場所から二人、無事に帰れるのか、ってことだな。」
銀狼の転移で訪れたこの場所の正確な位置は不明だが、竜王が居る場所が簡単に到達出来る位置に在るわけがない。大体、誰も森の奥に竜が、それも嘗ての竜王が居るなんて知らないんだからな。
「ん? そうか。ジェミオ、問題は無事に帰れるかどうかじゃない。町へ戻って再びここを訪れる許可が貰えるかどうかだ。」
アルミーが言うことを、頭のなかで反芻する。
そして言わんとすることを理解した。
「そうか。ここは誰も知らない秘された場所で、存在を噂されることすらなかった。今の状況でこの場所から自力で帰れと言われることはまず無いか。そして秘された場所である以上、二度目の訪問が許される可能性は低い。」
俺が出した答えにアルミーが頷く。
「ああ。だから話し合いで、その事についても伺いを立てた方が良い。」
「そうだな。」
“来訪の許可については心配いらぬ。”
方針が纏まったところに竜王の声が響いた。
「竜王殿。おはようございます。」
「おはようございます。五月蝿くしてしまいましたか?」
俺とアルミーは取り敢えず挨拶を返す。
「いや、微睡みから目覚めたときに丁度、貴殿等が来訪の許可の話しをしておったのだ。我が血族の庇護者である貴殿等であれば、ここへの来訪を拒むことはせん。ただし、ここへは転移でなければ来るのは難しいだろう。故に銀狼殿の承諾が得られるかが問題だがな。」
起こしてしまったかと心配したが、そうではなかったようでほっとする。そして続く話しの最後の問題点に、誇り高い銀狼の
様子を思いだし一抹の不安を思った。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




