表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
55/119

鍛練

竜が魔法を(うた)う。

動く魔力の的を作り出す魔法だ。

血が記憶しているのか、(うた)われた意味が理解できる。


「この的は不規則に動く。お前の魔力を的の中央に当てれば消える。(ただ)し、中央以外に当てても的は消えぬし、消さずにいればお前を追いかけ回すようになる。それでも消さずにいれば、ほれ。」


竜が指を振ると的の一つがこちらへ飛んでくる。そして俺の手に()れた途端(とたん)(はじ)けて小さな(いかずち)(はな)を咲かせた。


()っっ!!」


(いかずち)に打たれた指先がびりびりと痛む。


「的に()れれば(いかずち)に打たれる。火傷(やけど)をすることは無いが、続けて打たれれば(しび)れて動きに支障(ししょう)が出るから気を付けることだ。」


淡々(たんたん)と説明していた(ドラゴン)が、今度はゼーンに語り掛ける。


銀狼(フェンリル)幼子(おさなご)よ。此奴(こやつ)の命はもう大丈夫だ。銀狼殿(ちちぎみ)も心配している。だから自分の身体に戻り、しっかり休むがいい。」

「でも…」

「ゼーン、俺なら大丈夫だ。直ぐに魔力を制御(ものに)して戻るからさ。だから先に戻って親父(おやじ)さんやジェミオ達に大丈夫だって伝えておいてくれよ。」


逡巡(しゅんじゅん)するゼーンに俺は言伝(ことづ)てという形で背中を押す。


「そうしてくれ。でなければ此奴(こやつ)其方(そなた)に甘えてしまうかも知れんのでな。」

「っな、そんなわけないだろ!」

先程(さきほど)までこの幼子(おさなご)散々(さんざん)(なさ)けない姿を見せておいてよく言えたものだ。」

「っ、それは…今度のは状況が違うだろ!」


にやりと(わら)って言う(ドラゴン)の様子に(いら)っとした俺は反論(はんろん)をするが、色々と情けないところを見せたのもまた事実で。

だがそんなやり取りを見たゼーンは腕の中で小さく笑うと言った。


「分かった。じゃあオレは先に戻って皆に助かったことと、起きるまでもう少し掛かるって伝えとくね。」


ゼーンの身体を両手で抱え上げて、互いの額をこつんと合わせる。


「ああ、頼むな相棒。」

「うん。まかせといて!」


俺の抱えた手の中からゼーンの姿が溶けるように消えた。

俺は(ドラゴン)に向き直る。


(ドラゴン)は真剣な眼差(まなざ)しで俺を見据(みす)えると、思わず身体(からだ)強張(こわば)るような威厳(いげん)のある声で言った。


「お前の無事を望む者がいる。お前の帰りを待つ者がいる。戻ると約束した者がいる。後は全てお前次第(しだい)幼子(おさなご)への言葉が大見得(おおみえ)にならんようにな。それに…」


一旦(いったん)言葉を切り、口の()を上げて(わら)った。


「まあ、この程度の事が出来んようでは、自身の魔力(ちから)を持て(あま)すばかり。竜王の(わが)血族(けつぞく)としては()ずかしくて世に出せたものではないがな。」


この(ドラゴン)度々(たびたび)(あらわ)小馬鹿(こばか)にした様な態度に何度目かの苛立(いらだ)ちを覚えた俺は感情のままに言葉を返す。


「何が血族として恥ずかしいだ! 直ぐ慣れるに決まってるだろ! 俺は俺として皆と生きてくためにこの魔力をものにするんだ!」

「ならば、その魔力(ちから)(さい)に渡り操って見せろ。」


(ドラゴン)のその言葉と共に、魔力の的が一斉に動き出した。




お付き合いいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ