助け
さて、生きる気になったはいいけど、何をしたらいいんだ?
そもそも、俺はなんで死の淵にいるんだ?
俺はゼーンを向かい合うように下ろして訊いた。
「なあゼーン、俺に何が起きてるんだ? どうして死にかけてる? 原因も、その後に起きた状況も全く理解できてないんだが。」
「オレも全部解ってる訳じゃないけど、とと様は血の目覚めに体が耐えられないんだって言ってた。それと一緒にいた人族が何度も治癒魔法をかけてた。もう片方の人族はヴェルデの体を抱えて、魔力の水をかけたりしてたよ。」
俺に訊かれたゼーンがコテンと首を傾げながら答えるのを見て、真面目な話の最中だと言うのに無性に撫で回したくなる。
「…ヴェルデ、聞いてる?」
俺が撫で回したい衝動に半ば上の空になっているところに、ゼーンがジトッとした視線を送ってきた。
俺は慌てて衝動を振り切り、本題へと思考を戻した。
「ああ、聞いてる。俺の体に眠ってた別の種族の血が何らかの原因で目覚めた。そんでもって、俺の体は変化に耐えられなくて死にかけてる。そこにアルミーが治癒魔法を、あと魔力の水って…回復薬をジェミオがかけてくれてたってことだよな?」
「うん、そういうこと。そしてオレと契約をして少しだけ負担が減ったはずのところで、あの剣が俺達の体と精神を守ってくれてるんだ。」
例えるなら、綺麗な水が流れる川が、急な大雨で濁流が溢れたみたいなもの。それをどうにかしようと思ったら、塞き止めるか、岸に土を盛るか、川を拡げるかして大本の流れを変えないと無理だよな?
「ゼーン、確認させてくれ。アルミーが治癒魔法をかけてくれて、ジェミオが回復薬を使っても状況は変わらなかったんだよな?」
「うん。回復が間に合わないって。」
そんでもって魔法で対応しようにも、勢いが強すぎて止められないと。
ましてやそれが身体の至る所で起きてるって、えっ…どうすんだよ!?
根本的な事として、俺の身体の器を広げて変化を受け入れるか、変化を止めないと駄目ってことか。
「俺の変化を止めることは無理なのか?」
「とと様は無理に止めると反動で死んじゃうって言ってた。」
「…そうか…。」
治癒も無理、止めるのも駄目となったら、後は何とかして器を拡げて、変化を受け入れるしか助かる方法は無いってことか。
「…ごめん。オレにもっといろんな能力が使えたら。もっと沢山知ってることがあれば、ヴェルデの助けになったのに。」
考え込む俺を見てゼーンが溢す。
「何言ってんだよ。ゼーンが来てくれたから独りじゃなくなった。ゼーンが教えてくれたから生きてるって事も、状況も理解した。それに何より…これからずっと一緒だって契約くれたじゃないか。ゼーンがいてくれることが最高の助けだよ。」
俺はゼーンをわしゃわしゃと撫で回した。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




