7話 王の威厳
サブタイトルを「称号」から「王の威厳」へ変更いたしました。
王宮に着いた俺とじいちゃんは門番に話をつけると玉座の間へ案内された。
玉座の間へ向かう途中。
「じいちゃん、俺作法とかわからないんだけど大丈夫かな。」
「そんなもん気にせんくていい。あやつもそんな事を気にするような小さい男でもないからの。」
「うーん…。」
俺は不安に思いながら歩いていた。どんなことを聞かれるのだろうか、そしてどう話せばいいのか。
そんなことを考えていると大きな門の前に着いた。
「でっか…、」
俺は思わず声を上げた。
「ハッハッハッ、やはり最初の感想は皆同じじゃのう。ほれ、入ろうか。」
「う、うん。」
じいちゃんが門の前に立っていた騎士に声をかけると、騎士はその大きな門を開け会釈をすると静かに持ち場へ戻った。
俺とじいちゃんは玉座の間へ足を踏み入れる。
そして俺はその空気感に気圧された。
「そなたがノラか…。」
声を出したのは玉座に座っていた男性だった。玉座は見るからに高価で、豪華な装飾が施されている。
そして玉座まで続く道に並ぶ10人を超える人達は俺を萎縮されるには十分だった。
「これこれ、国王よ。あまりノラをからかうのはやめてくれんか、ノラが縮こまってしまったぞい。」
「ハッハッハッ!これは失礼したクロノフ殿!皆が最初からこうだと王としての威厳がどうのとか言い出すものだからな!」
「は、ははっ…。」
じいちゃんの言葉に急にフランクになった国王。だめだ、何か既に頭が追いつかない…。
すると玉座へ続く道に並んでいた人の中で1番若そうな男の人が俺の前に出てくる。
「やあノラくん久しぶりだね。って言っても君は意識を失っていたから記憶にないと思うけど。」
「こんにちは。じいちゃんこの方は?」
「こやつはこの国の第1王子のアレスじゃ。こう見えて王子でありながら王国騎士団の団長であり、王国最強の騎士じゃ。」
「クロノフ殿やめてください、確かに騎士の中では最強の称号を頂いておりますが剣士としては既にノラくんには及ばないでしょう。」
謙遜する王子に対しじいちゃんはドヤ顔を決めていた。恥ずかしい。
「そういえばクロノフ殿の護衛に当てていたな。」
「ええ、ノラくん達の村へ向かう道中でクロノフ殿からお孫さん達のことを聞かせてもらったんです。」
そうか、あの時この人はじいちゃんと一緒に来ていたのか。
(※実際はクロノフに置いていかれたため着いたのはもう少し後。)
俺があの時のことを思い返していた時、国王が最初に玉座の間へ入った時の雰囲気に戻った。
「ノラよ。そなたの聞かせてくれないか。あの日、リュージン村で何があったのかを。」
俺はその真剣な眼差しに全てを話す覚悟を決めた。
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