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4話 無慈悲

章を作成しました。


そしてPVが100超えました。改めまして皆様読んでいただきありがとうございます。



「後は任せて休んでて。」


 父さんと母さんを背中に俺は言った。


「ちょっとノラ、カッコつけてないでさっさとやっちゃうわよ!」

「その言葉はそっくりそのまま返させてもらうよ。対ミリア用剣技【神速を(アインス・)超える(ゲシュウィン)絶剣(デヒカイト)】!」


 俺は魔物の軍勢に単騎で突っ込んだ。そして魔物の数を3割程減らした。


「その対なんちゃら用って腹立つからやめてくれない?【裁き(ウン・エントリヒ)の光(・シュトラール)】。」


 ミリアは俺がいることを無視して無数の光魔法で魔物を蹴散らす。今ので4割は減っただろうか。


「おい、俺がいることを忘れるな。」

「あんたどうせ躱せるでしょ?配慮なんてするだけ無駄よ。」

「は?だとしても人がいるって分かってるところに撃つような魔法じゃないだろ。」

「何よ。文句あるならかかってきなさい。」

「おいお前たち…、元気なのは良いがまだ魔物は残ってるんだ。喧嘩は後でしてくれ。」


 口喧嘩が始まると父さんが珍しく仲裁に入った。当然だ、ここは家の庭なんかではなく戦場なのだから。

 そして元々父さんと母さんをはじめとする大人達が数を減らしてくれていたこともあり魔物の数は1万程にまで減っていた。


「残りも後ちょっとね。さっさと片付けましょ?」

「ちょっとって言ったってまだ1万は居るだろ。」

「は?」

「は?」

「おいおい…。」


 そんな口喧嘩をしている間に魔物の軍勢が片付いてしまった。


「ふぅ、これで終わりね。」

「数だけは多かったな。」

「ちょっと二人とも、そんなこと言われたら魔力使い切るまで戦った私達の立場が無いじゃない。」


 母さんはそう言うとひとまず皆に魔物の軍勢の防衛に成功したことを伝えに行こうと提案した。

 俺達は負傷した者達を担ぎ村へ戻った。


「無事で良かった!」

「ソラ、皆を守ってくれてありがとうな。」

「僕は何もしてないよ、防衛に行った皆のおかげでここは安全だったから。」


 避難所の皆は俺達に御礼を言ったあと各々自宅へ戻っていった。


 そして自宅にて


「すみません2日連続でご飯いただいちゃって。」

「いいのよ!ミリアちゃんには助けられたもの。じゃんじゃんお食べ!」

「そうだな。ノラとミリアの戦いぶりには正直驚かされた!」


 家族にミリアを加えた6人は魔物の軍勢の時の話をしていた。


「どんな感じだったの?兄さん達は。」

「一言でいうと圧巻だ。俺達が必死こいてやっと2万ほど減らした軍勢を二人が来た途端あっという間に片付いちまったんだからな。」

「ノラお兄ちゃんたちすごい!」

「えぇ、凄かったわ。今まであのレベルの事がうちの庭で行われてたなんて…。」

「「うっ…。」」


 10万を超える魔物の軍勢を瞬殺してなお余力を余し二人は毎度庭先で全力で決闘していた。その事実は母さんにとってはもはや魔物の襲撃よりも大きな問題らしい。


「今度からは場所を変えます…。」

「いやお前がふっかけなければいい話だろ。」

「それだと決着をつけられないでしょ?」

「なんだよ決着って子供か。」

「は?」

「はいはい痴話喧嘩も他所でやってね〜。」

「か、母さん…。」

「ミリアちゃんも早くうちの家族になっちゃえばいいのに!孫の顔を見るのが楽しみね!」

「そうだな!ハッハッハッ!」


 父さんと母さんは勝手なことを言って笑っている。おいミリアお前は何顔を赤くしているんだ。否定しないから決定事項みたいになってるぞ。


 ご飯を食べ終えた俺達は外に出た。魔物の襲撃で1日が長く感じたがまだ時間は夕方手前だったのだ。


「さて、俺は仕事を終わらせに行くか。」

「わかったわ。私はミリアちゃんと一緒に晩御飯の買い出しに行ってくるから!」

「そ、そんな。晩御飯までいただくのは流石に…。」

「もう、ミリアちゃんは近い将来本当の家族になるんだから遠慮しなくていいのよ!」

「…。」

「おい、なにか言い返せよ。それじゃあ認めてるみたいじゃないか。」

「あんたは黙ってなさい。」

「え…?」


 1つの危機を切り抜けた事で皆を少し浮足立っているのか、話のスケールが一々大きかった。

 だが俺はいまいちついて行けなかった。何故なら懸念すべきまだ問題は1つ残っていたからだ。


「父さん母さん、空の様子がまだおかしいんだ。魔物の襲撃とほぼ同時に変わった空模様がまだ治ってない。俺はまだ何か起きそうな気がしてならないんだ。そう、何か、さっきの規模とは比べ物にならないほどの何かが…。」

「ノラの考え過ぎじゃない?」

「そうね、時期に戻ると思うわよ?」

「だと良いんだけど…。」


 俺の思い過ごしで終われば何の問題もない。明日からはまたいつもの暮らしに戻って1週間後にはじいちゃんが来る。

 俺は何も起こらないことを願ってもう気にしない事にした。


 しかし事態は急に動き出す。


 急な地響きと共に禍々しい色をした空が不気味に光りだしたのだ。


「な、なんだ?何が起こってるんだ!」

「あなた!空が!」

「なに!?怖いよお母さん!」


 そして俺達の目には信じられない光景が映っていた。


「な…んだ……。あれは…魔物なのか…?」


 俺たちの目にはさっき倒した魔物の10倍…、いや100倍は居るであろう魔物の大群と、それを率いる見たこともない巨大な魔物が映っていた。


「…なんだ、先兵隊はやられたのか?こんな事なら王都に直接降りるべきだったな。」


 巨大な魔物はそう言うと小さな村を指差す。


「!?ま、まずい!早く住民の避難を!―」


「【絶望の雨(トート・レーゲン)】。」


「くっ、ミリア!!!」

「村全体は間に合わないっ…!!!【聖女(アブソルート・)の加護(フェイタイディグング)】!」


 ミリアの魔法が俺たちを包む。そして魔法が解けた時、俺たちは絶望した。

 生まれ育った村が、家が、他の住民の姿が…そこには無かった。

 謎の巨大な魔物が撃った魔法で俺たちを除く村に関する人や物の全てが消え去ったのだ。


「そんな…。うぁあああああ!!!!」


 皆を守れなかったことに絶望して泣き崩れるミリア。違う、ミリアのせいじゃない。これはどうしようもなかった。寧ろ俺たちだけでも人を救ったんだ。感謝はされても責められることではない。


「…ハナ、魔力はどれくらい回復した?」

「そうね、3~4割くらいかしら…。」

「そうか、皆の仇を打つぞ。」

「もちろんよ…!」


 突然失った仲間達に父さんと母さんは今にもその場を飛び出しそうだった。


「待って!父さんと母さんはソラとサラを頼む!あの魔物は…俺がやる…。」

「私達で…でしょ…!」


 涙を目に浮かばせるミリアはそう言って俺の横に立った。正直満身創痍の父さんと母さんがあいつに挑むのは自殺行為だ。かと言って俺とミリアが勝てる保証もないのだが。


「ほう。今ので生きているやつが居たのか。これは王都襲撃の丁度いい余興になりそうだ。」


 巨大な魔物はそう言った。王都襲撃…?なら皆はなんのために殺された?ついで?ついでに殺されたのか?

 怒りで我を忘れそうな俺は必死に頭を落ち着かせ問う。


「お前は何者だ!何故王都を狙う!」


「それは我に聞いているのか?面白い、我の攻撃を防いだ褒美に教えてやろう。我の名は魔王デルヴァント。冥界の統率者の一人にして下界を憎む者。あぁ、人間は冥界のことを魔界と呼ぶのだったな。王都を狙う理由は簡単だ。忌むべき人間を根絶やしにする手段として最も手っ取り早いからだ。」


 魔王…?それに人間を根絶やしにするだと?俺は考えるのをやめた。


「聞いておいて悪いがそんなことはどうでも良かった。お前が村のみんなを殺した。その事実だけで十分だ。」


「随分な威勢だな。だが…!?お前は…なぜ生きている!」


「なんの話だ。」


「…そうか、合点がいったぞ。なぜ今になって我々が下界に出てこれたのか!そして我は運が良い。この手で忌まわしき英雄を葬れるとは…!」


「一体さっきからなんの話をしているんだ!」


「そんなに知りたければ聖竜にでも聞けばいい。死んだ後でな…!英雄よ、今ここで死ね!」


 訳がわからない。英雄だとか聖竜だとか奴はおとぎ話でもしているのか?


「死ぬのはお前だ。仇は取らせてもらう。」


「人間風情が調子に乗るな【死撃(フルヒト・シュラーク)】。」


「対ミリ…。」

「もっといい名前あるでしょ。」


 俺は言いかけた言葉を止めた。対ミリア流、もう戦う相手はミリアだけではない。ならこの際に改名しよう。


「そうだな、丁度いい名前を思いついた。()()剣技・【弐ノ舞・神殺し(ウン・エント)(リヒ・ゼー)(デルヒープ)】!!!」


 俺は魔法を相殺する。同時にミリアは下がり父さんたちを守るために【聖女の加護】を発動した。


「あんたにしては良いセンスしてるんじゃない?あとトドメ刺すときは絶対言うのよ!」

「あぁ、わかってる。」


「ならこれで散れ【絶望の雨(トート・レーゲン)】。」


「【神速を(アインス・)超える(ゲシュウィン)絶剣(デヒカイト)】!」


 ミリアの【裁きの光】の様な無数のどす黒い魔法を俺は回くぐる。父さんたちのことはミリアが【聖女の加護】で守ってくれているから俺も魔王に意識を集中できる。本当に頼もしい。


「小賢しい…、ただ避けているだけでよく我を殺すと豪語できたものだな。」


「そういうお前は俺に攻撃の1つ当てられていないだろ。【狂乱の(ヴァーン・ズィニ)舞吹雪(ヒ・ドレーウング)】!」


 数メートルあった距離を一気に詰め魔王の腕を周りを外周するように斬りつけながら登っていった。


「ネズミがっ…!叩き潰してやる!」


 魔王は俺めがけて自分の腕を思いっきり叩いた。だが俺はそれをかわし上空へ飛んだ。


「これで終わりだ。【伍ノ舞・閃突(ブリッツ・ランツェ)】!」


 俺は魔王の心臓があるであろう部分に突っ込む。



ガキンッ



 だが俺の剣は魔王の体を貫くことなく折れた。


 そして魔王は不敵な笑みを浮かべ俺を地面へ叩き落とした。

読んでいただきありがとうございます。


次回の展開にご期待ください!



補足として敵側のステータスを載せておきます。


ー ー ー ー ー



名前/魔王デルヴァント

年齢/?

種族/魔族

魔法属性/闇・霊


HP/4790000

MP/5300000


攻撃力/89000

防御力/75000

すばやさ/520

知力/320

魔力/530000




名前/魔の者(小)

年齢/?

種族/魔族

魔法属性/闇


HP/8000

MP/10000


攻撃力/15000

防御力/6000

すばやさ/1400

知力/20

魔力/10000




名前/魔の者(中)

年齢/?

種族/魔族


HP/17000

MP/25000


攻撃力/4600

防御力/4600

すばやさ/600

知力/40

魔力/25000




名前/魔の者(大)

年齢/?

種族/魔族


HP/23000

MP/50000


攻撃力/8200

防御力/16000

すばやさ/200

知力/100

魔力/50000



ー ー ー ー ー


参考になれば幸いです。

(今更ながらすばやさって言い方があれっぽい…)

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