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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第7章 相羽リリィの冒険
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7-3.『双竜の娘、依頼を受ける』

 旅に出たらまず一番近い街を目指せとお母さんに言われた。

 1年前、私が無謀にも目指したところだ。そこに着いたらいくつか依頼をこなして冒険者としての生活の仕方を学ぶ。

 お母さんは色々なことを私に施してくれた。戦いはもちろんのこと、家事、各国の特徴、王族や貴族への礼儀作法など多岐にわたる。しかしお母さんは冒険者になったことがないため、その知識は冒険者時代のお父さんの話によるものだった。

 なので冒険の心得は自分で見つけなさいと言われた。

 ここまでたくさんのことを教えてくれたのだからこれくらいは自分で見つけないとね。なんでも親に聞いていたら意味がない。

 1日も歩いていたら街に着いた。そこに着いたらまずは宿の確保だ。お母さんから持たされた所持金のおかげで難なく1週間は暮らせる。そこからは依頼でお金を稼ぐので少しだが貯金できる。

 銀行は色々な企業があるが、お母さんが利用している『アルナイル銀行』を選んだ。理由は世界規模の銀行であり、世界中に支店を持つ超メガバンクだ。ヴェストフォル王国にも当然ある。

 少しずつ貯めて旅をし終えた時の資金にするつもりだ。

 次に向かう先はギルドだ。登録はすでに済んでいるので依頼を受ける。まずは1番簡単な素材集めからする。


『ポーションに使う薬草を各10個ずつ採取』


 依頼としては初級だ。しかし森に入るため油断は禁物。魔獣が跋扈する森に入る時はまず周辺のものから討伐して、自身の安全を確保してから採取する。安全マージンの確保は最優先に行うこと。冒険者の基本中の基本だ。

 ささっと採取してギルドに戻り報告してお金を受け取る。初めて稼いだお金は少ないが何か心の中で湧き立つものがある。

 こうして依頼を受け続けた。討伐系の依頼も何個か受けて自分の実力を確かめる。自分は10体までなら1人で対応可能だということが気づけた。それ以上はまだ対応しきれない。

 討伐系依頼をしていくうちに慣れを感じた。魔獣特有の動きや、魔獣は群れで現れても協力はしないなど些細なことに気がついた。

 それから最初の街に来てから2週間後、この街でやることが無くなり、次の目的地へと向かう。

 ひたすら東に進み、海を渡るといずれヴェストフォル王国に辿り着く。その途中の街に寄っては依頼を受けてやることが無くなればまた次の街へ行く。これを繰り返す。地味ではあるがこれが良い。私には合っている。

 旅をし始めて3ヶ月、ついにレギオン大陸と西の大陸を隔てる海の前まで来た。あとは週に1回出る船に乗れば西の大陸に着く。


「長かったなぁ」


 夕日が下がる太陽を前にグッと背伸びをする。

 ここまで3ヶ月。長いようで短い日々だ。初めてのことばかりで戸惑うこともあったけど私は間違いなく成長している。

 船に乗り込んで個室のベッドで出港するまで寝転んだ。部屋に置いてあった雑誌を片手に港町で買ったツマミと水を飲み時間を潰した。

 船はついに出港した。

 同時に部屋から出て船の後方へ行き、離れて行く大陸を見届けた。私と同じような冒険者が沢山いる。冒険者なら一度は四大陸に行き旅をしたいと思うものだ。この人たちもきっとそうなんだろう。

 自分が生まれ育った所から離れて行く。1年前まで無力だった自分が嘘のようだ。今では冒険者としてそれなりにやっている。これから向かう大陸で起こる全てのことが楽しみで仕方ない。

 港町は完全に見えなくなり、360度どこを見渡しても水平線だ。天気も良いし海風も気持ちいい。

 そんな気持ちのいい海の上は危険がいっぱいだ。海中に潜む魔獣は山ほどいる。海獣種、竜種に、海に潜む悪魔種もいる。船に冒険者沢山いる理由はこういう敵に対処するためだ。


「出たぞーー!!」


 噂をすれば早速現れた。巨大なヘビの様で竜のような姿。鋭い目に刺々しい背びれ。白金色で硬そうな鱗。

 海獣種っぽいけど、おそらく海にいる竜種だ。

 冒険者たちは急いで集まり攻撃を仕掛ける。しかし7割の攻撃は硬い鱗に弾かれて聞いていない。ただ手数のおかげでこちら側の被害は今の所少ない。


「やるよ、ラウラ」


 私はテイマーだけど魔法が使える。


 魔法には複合魔法が存在する。別々の魔法を合わせて放つ技だ。ソーサラーなら割と使うことが多い。しかしこれは火と風を合わせて火力を上げても属性はただの火となり、火と水を合わせて熱湯を作っても属性は水だ。

 でも私は違う。お母さんでもできなかった新たな属性を作り出した。水と風を100%合致させることで生まれた第8の属性――


「アイス<キャノン>!」


 鋭く尖った氷塊を回転させ、竜種に向けて放つ。狙う場所は口だ。体は硬いからきっとこれでも貫けない。けど体内はどんな生物だろうと柔らかい。

 氷塊は見事に的中した。暴れ狼狽える竜種に追い討ちをかける。


「アイス<バレット>!」


 口の中で砕けた氷を弾丸の様に操った。竜種にとっては口の中で無数の針が突き刺している様な感覚だろう。

 竜種はついに力尽きた。しかし船側に頭部が倒れてきそうだ。


「テイム!」


 元々竜種は欲しかった。それに海にいる魔獣をテイムしておけば今後水関連は楽になる。あとは自身の得意な属性が水と風だからだ。


『水天竜童 シーサーペント《水》A級

 →水天竜王メルクリウスがいる水宝宮から出てきた竜種。メルクリウス系譜のため攻撃が高く、鱗のお陰で防御力も高い汎用型の竜種』


 私は家族の中で1番等級が低い。けれど、氷の属性を編み出した。自分でも驚きだが、等級の低さを代償に得たと考えれば五分五分なんだろう。


「お嬢ちゃん、すげーな!」


 冒険者たちが私に駆け寄ってきた。テイムしたことよりも氷の属性の方に驚いている。


「なんだよ、あれ!? 氷なんて聞いたことないぜ!」

「あなたのおかげで助かりました」

「俺にも教えてくれよ!」


 など、何人もが一気に話しかけてくるので対応しきれない。


「あはは〜。疲れているのでこれにて〜」


 逃げるように部屋に戻った。

 これで3体目の使い魔だ。魔法が使える万能型のラウラ。火力を上げてくれる魑魅種。そして汎用型のシーサーペント。

 冒険者としてはこれだけでは物足りないだろう。S級の魔獣は1体くらいは捕まえてみたいものだ。

 ゆらりゆらりとゆっくり進む船は半分を過ぎ、それからも特にすることもなく順調に進み、船からは西の大陸の沿岸が見え始めた。

 船旅で疲れている人たちから喜びの声が聞こえる。

 かく言う私も心はウキウキで今すぐにでも飛び出したい。

 西の大陸の港に着き船から降りた。


「ここが、西の大陸……。やっぱり発展してるなぁ」


 出航した港町にはこんな暮らしやすそうな街ではない。宿もボロボロだし街灯はあるけど暗い。何よりも不衛生だ。

 建物ひとつ見ても綺麗に造られてる。街の雰囲気を整えるためにあえて似たような造りにしているんだろう。きっと宿もすごく綺麗に違いない。


「たっか!!」


 宿に着いて驚いたのは料金だ。この金額だと向こうじゃ4日は泊まれる。内装は綺麗だし、運ばれてる料理もすごく美味しそうだからこれがこの街での相場の金額なのかもしれない。

 悩んでいると、ここは他よりかは安いと言われて渋々お金を出した。朝と夜付きの個室の部屋だからいいんだけど。

 部屋に案内されてまず最初にベッドに飛び込んだ。ふかふかだ。こんなふかふかベッド実家以来だった。そう思えば実家はすごく暮らしやすい家だったんだと思えた。部屋はあるし、お風呂もある、キッチンも居間もある。


「明日からいっぱい依頼受けて、お買い物もして、次の町にも行きたいなぁ。あ、でも先にヴェストフォル王国に行かないとなぁ。やること多すぎだよ〜」


 そんなことを考えながらいつの間にか眠ってしまった。



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