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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第6章 悪魔大戦線
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6-7.『国会にて』

 ヘリコプターに乗せようとしてきたが、自分で飛んだ方が速いため断り最速で東京に向かった。俺たちはリニアモーターカーより速いからな。

 空から人が降りてきたためか守衛もかなり驚かれた。そしてあまりの速さに国会内でもまだ準備が整っていないらしく外で待たされた。

 1時間ほど待たされた後、中に通された。昔テレビでよく見た場所だな。

 たくさんの議員たちが俺たちをジロジロと見てきた。そりゃ向こうの服装はファンタジーよりだし、何よりも剣を持っているわけだし当たり前だが。

 席に座り説明会及び対策会議が始まった。


「まず、お二人のお名前を教えていただけますか?」


「リチャード・ダリア。ソーサラー……魔法使いです。こちらの世界にも多少過ごしたことはあります」


「相羽拓人。奈良県出身で高校途中から向こうの世界で暮らし始めました」


 いっちゃんの時もざわめいたが、俺の時はさらにざわめいた。こちら側出身というのが驚かれたのだろう。


「相羽拓人さんのご両親も奈良県出身と?」


「父はそうです。母は兵庫県ですが」


「どういった経緯で向こう側に? それと向こう側とはなんなのでしょうか?」


 いっちゃんは俺に目配せをした。俺が話せというわけか。


「向こう側とは地元近くにある神社が向こう側の世界に繋がっています。開錠する条件は分かりませんが、向こう側の世界には----」


 向こう側の世界観をなるべく簡潔に答えた。今頃ネットでは異世界モノじゃんとか言われてるんだろうな。


「お二人はその世界のトップ2というわけですね。他にもこの地球人から向こうに行った方はいますか?」


「今九州で戦ってる人ですね。他にも自分のいる国では2人います。2人とも要職についてます。それ以外は知りません」


 姉は一瞬行っただけだからカウントしなくてもいいだろう。

 それからもたくさんの質疑応答がなされた。流石に疲れたのでいっちゃんにバトンタッチした。

 今回の作戦も全て話し、避難のことや建物や土地に被害が及ぶことも。


「そちらの問題だと言うのになぜこちら側に全て被害を被らないといけないのだ」


 話しに割り込む形で老議員が言ってきた。

 まぁ、ぐうの音も出ないほどの正論だな。本来こちら側の問題だしそれを無関係な地球で戦いをするわけだ。俺たちだってこんなことは望んでない。だがこうなった以上やらねば死を意味するが、おそらくここにいる場全員現状のことは分かっていても真に理解はしていないと思う。

 その老議員を皮切りに多くの議員たちが野次のように何か言ってくる。「静粛に」という声は聞こえていない。

 チラリといっちゃんを見ると顔に困ったと書いてあるほどの困り顔だ。正論だし言い訳できないし仕方ないが。

 俺は剣を鞘ごと抜き、床にドンッ! と突き刺した。ついでに魔力も少々部屋内に伝播させて。要するに威圧だ。

 流石に驚いて皆んな静かになった。


「俺たちは対策会議をしている。野次を飛ばして話を途切れさすな。今は生きるか死ぬかの選択でもある。自らの保身に走っている奴がいるならさっさと北の方にでも逃げろ。あそこはまだ被害がないからな」


 何人か議員が気絶してしまったがまぁいい。


「ちょっ、拓人何してるのさ!」


 小声で言ってきた。


「このままだと終わらないぞこれ。今は一分一秒を争うんだから淡々と話を進めないと」


「でもやり方ってものがあるよ。しかも僕たちが悪いわけで」


「俺たちも被害者だぞ。神がちゃんとやってればこんなこと起きてないわけだし。俺たちは神代の負の遺産を片付けるだけだ」


「まぁそうだけどさぁ」


 いっちゃんは呆れ顔で座った。穏便に済ませようとしたのは理解してるけど時には言ってやらねばな。


「俺たちは死を覚悟で敵と戦っている。というか、向こうの世界は生きるか死ぬかだ。弱肉強食で、持たざるものは安全圏を出ると死と隣合わせだ。行商人だって強い人を雇わなければ魔獣に襲われて死ぬ。強い人ですら強い魔獣や気を抜くと死ぬ。そういう世界だ。野蛮と思うなら思えばいい。だが今この瞬間ここもそういう風になる。死ぬ覚悟、一緒に地獄まで行く度胸のある奴だけここに残れ。それ以外はさっさと東北にでも行け。逃げることは悪いことじゃない」


 そう言うと、何人かの議員は部屋から出て行った。こんな話聞いてられるわけないか。

 俺だって嫌だ。今頃結婚生活で花開くというのに、戦場で命をかけねばならない。

 それから残ったメンバーで話しを詰めていく。避難先や、今は日本全体に結界を張っているがさらに内側に張ることで範囲を狭めることも決まった。

 そこからは早かった。避難民の移動、逃げ遅れも探しギリギリまで怪我の手当をした。

 そして復活前日。マスター・スミスとマスター・メイカーの2人が地球にやってきた。封印具ができたのだ。


「とりあえず私たちができることはやったつもりだ」


「ありがとう2人とも。ここからは僕と拓人の仕事だ」


 封印具を渡されるとすぐに帰っていった。2人は戦闘要員じゃないから当たり前だ。

 復活前夜、俺といっちゃんはいつでも対応できるように封印具の前で待機していた。


「懐かしいな。今じゃこんなに壊れてるけど、昔はこの辺でよく遊んだな」


「あの時は何も考えなくて良かったから楽だったよ。両親が亡くなって追われる身になっていたから」


「そういやそうだったな。本名シャルルだっけ?」


「そうだよ。シャルル・ライナス・オルドリッジ。シャルルはもう死んだけどね」


「一条(リキ)にシャルルにリチャードか。名前多すぎな」


「仕方ないだろ。僕だってシャルルのままがよかったけどそういうわけにもいかなかったんだ」


 こいつにも色んな人生を歩んできたってことだ。おかげでこうして親友にもなれたし、向こうで出会ってもっと親密になれた。


「それと思うんだけど、そろそろいっちゃんて呼ぶのやめない?」


「なんでさ?」


「国にいる時いっちゃんて呼ばれると不思議がられるんだ。一応リチャードで通してるから。その度に言い訳するのも大変なんだよ」


「俺にとってはリチャードじゃなくて一条力なんだ」


「せめてリックとかディックとか。あっ、リッキーとかあるじゃん。そうだ、リッキーにしようよ」


「リッキーかぁ。呼び慣れねぇ〜」


「これから呼ぶんだよ。何年かしたら慣れるよ」


「善処するけど無理だろな。お前は一生いっちゃんだ」


「え〜」


 本当に懐かしい。今だけはただの相羽拓人と一条力だ。こんな平和が続けばよかった。

 朝になった。悪魔王が復活しそうだ。俺たちは立ち上がり戦闘態勢を取る。


「言い忘れてた。アイリさんのことだけど、いいかな?」


「早く言ってくれ」


「実は----」


「なるほどな。だから今回戦うって言ったのか。その辺の心配事を無くすためにそこまで……」


「僕もさすがに反対したけど彼女の目を見たらね。断れなかった」


「本人が決めたことだしいいよ。なおさら生きて向こうに帰らないとな」


 封印具にヒビが入った。ヒビから黒い光共に悪魔王ゲシュタルトが再度復活した。

 手を握ったら開いたりして感覚を確かめている。


「久しぶり、もう一回封印される覚悟はできたか?」


「ハッ! お前たちが死ぬ覚悟の間違いだろう。今回は2人掛かりか。人間は脆いな。群れないと戦えないとは」


「協調性って知ってるか? 悪魔にはそんなものないんだったな。一匹狼さん」


「数日で煽りまで覚えたか。よほど死にたいらしいな」


「来るよ、拓人」


「あぁ、わかってる」


 両者睨み合い牽制する。少しの動作で敵の動きを感じ取り最善の行動する。


「じゃあ頼むよいっちゃん!」


「リッキー!」


 先に仕掛けたのは俺たちだ。いっちゃんが後衛だ。結界維持もあるからメインで攻める役割は俺だ。

 いっちゃんの補助魔法で速さ、攻撃力、防御力をブーストする。ベルヴェルクの一振りで悪魔王が耐えきれず吹き飛んだ。


「すげぇな、マスターの魔法は」


「光属性の魔法だよ。これなら前よりかは戦えるでしょ」


「あぁ、このまま押し切るぞ」


 瓦礫からムクッと起き上がる悪魔王。


「前のようにはいかんか。計算のやり直しだ」


 人差し指と中指を額に当てて何やらやっている。


「よそ見してんじゃねーよ!」


「計算中だ、たわけ!」


 今度はベルヴェルクの攻撃を耐え切った。手に魔力を集中させている。しかも徐々にその量を減らして最小限で調節までしている。


「このぐらいあれば今の攻撃は耐えられると」


 これだからインテリ系はやりにくい。

 最終決戦はまだまだ始まったばかりだ。

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