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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第6章 悪魔大戦線
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6-6.『悪魔王①』

 いっちゃんから緊急招集を受けて集まった。今こちら側が用意できる最高戦力だ。マスター・ソーサラーであるリチャード・ダリア。現マスター・テイマーの相羽拓人。元マスター・テイマーの桐生勲。ヴェストフォル王国の『太陽』であり、最強の星の属性を持つアナスタシア。ヴェストフォル王国魔法師団長のアイリの5人だ。他にも何人かはいるがこちらの世界を手薄にするわけにはいかないためこのメンツが集められた。


「向こうに送られたものが活動を開始し始めたと神々から報告があった。被害も出ている」


「でも向こうに魔力がないから行っても戦えないぞ」


「そこは神々が向こうに一時的に魔力を送り込んでいる。もうすぐ日本全域に行きわたると思うよ。僕が向こうに着いたら橿原神宮を中心にして日本全域に結界を張る。しばらく動けないからその間本命の相手を拓人に。そして普通の悪魔たちも召喚され暴れ回ると思われるのでその対処を残りのメンツで対処してもらう。結界が完璧になり次第僕も本命の所に行き、一時的に封印できる剣を刺す」


「何で橿原神宮なんだ?」


「神性度の問題だよ。向こうの神性度合いとこちら側の魔力にはシナジーがあるんだ。橿原神宮は日本始まりの地だから神性度が伊勢神宮や宮崎の高千穂とも引けを取らない。あと単純に近いから」


「なるほどな。ちなみに一時的な封印ってどれくらい?」


「今あるものだから良くて2週間てところ。その後に今2人のマスターに作ってもらっている封印具を使い封印する……んだけど」


「歯切れが悪いな。隠すのは無しだ。何より急いで向こうに行かないと」


「これだけ短い間で作るとなると封印具として不完全なものしかできない。これも良くて15年と言った感じかな」


「となると封印から15年の間に永久的に封印できるものを作らなければならないということか。とりあえずそれが今の最善ならそれで行こう。15年後になればまたこっちで戦って封印すればいいさ」


「倒しゅっちゆう選択肢はなかんか?」


「倒すことができればそれがベストだけど、今回の相手は格上も格上。情報によるとかつて神々の戦いにおいて悪神側についた筆頭だとも言われてるらしい」


「実質神と同格ってことね。宇宙龍よりもやばそうなのはわかった」


 かつての戦いというはこの世界における英雄譚に描かれている話で、世界の覇権を争う物語である。第一勢力として大昔から絶対神と呼ばれていた神陣営、第二勢力として絶対神の弟率いる神陣営、そして第三勢力の悪神率いる陣営と今現在世界を治めている人と共存する神(元々は精霊)陣営の4つある。今回の相手は第三勢力に加担していた悪魔王というわけだ。神々と互角に争い神ですら封印という手段を取らざるを得なかったほどの敵にどこまで戦えるのか不安で仕方ない。


「ここで話し合っていても向こう側の被害が広がるだけだ。早く行こう」


 マスター・テイマーになってから不安になることなんてなかったが、今は心臓が張り裂けそうなくらい不安が積もっている。場合によっては向こうにいる家族が全滅なんてこともある。頼むから無事でいて欲しい。

 恐る恐るゲートをくぐり抜け故郷に戻ってきた。その惨状は言うまでもなく最悪の状態だった。建物や電柱なら押し潰されている人。悲鳴すらあげる暇なく圧死した人。道端には石ころのように胴体を斬り捨てられている人。


「じゃあ僕は行くよ。先に結界を張らないと行けないから」


 それだけいい、目的地である橿原神宮を目指して飛んでいった。


「じゃ、じゃあ各々行こう。考えるのはやるべきことをやってからだ」


「タクト、無事を祈ります」


「そっちも体だけは守ってあげてください」


 アイリさんも一言だけ言い去った。


「師匠……」


「気にすんな。覚悟はしていたから。アナスタシアも無理はするな」


「はい、師匠もご武運を」


 アナスタシアもアイリさんの後を追った。


「これの20年も前に来よる町っちは思えなかなぁ。先輩からんアドバイスっちして、怒りに囚われて戦うこつだけはやめておけちゃ。ロクなこつの起きなか」


「わかってます。今はそれとこれとは別です」


「なんかあいば呼べ。力貸してやる」


 勲さんも自身の持ち場である九州まで飛んでいった。

 俺の後方から感じたことのないドス黒いオーラを感じる。まだ復活して間もないのかじっとしている。それなら好都合だ。今のうちに第一段階の作戦を遂行する。

 やるなら不意打ちをして短期決戦しかあるまい。空高く飛び空から悪魔王のちょうど真上に行く。


「……行くぞ」


 深呼吸をしてから、一気に降下して悪魔王に攻撃する。


「今体を慣らしている最中だ。邪魔をするな」


 カグツチによる初速を速め、さらにナルカミの力による爆発的な速さでの不意打ちをいとも簡単に受け止めた。しかも神器ベルヴェルクの鋭さをもろともしない硬度。これを生身でやっている化け物具合。


「さすが王と名乗るだけはあるな!」


 神器を振り回して無理やり手から解いた。


「お前のことは知っているぞ。双竜と呼ばれているらしいな」


「何千年も眠っていたやつに知られてるとは、俺の知名度も舐めたもんじゃないな」


「眠っていたのではない。見ていたのだ。何千年も前からあの世界を。そうしたら突如数年前からお前が現れた。私にとっての脅威はキリュウとかいう人間だと思っていたが、まさかお前とはな」


「じゃあその人に勝った俺は更なる脅威ってわけか」


「そうでもない。お前のその武器。切り札はないのだろう? ならばやりようはある」


 とにかく時間を稼ぐ。話でも打合いでも何でもいいからいっちゃんが来るまでの時間は何としてでも稼ぐ。

 目覚めてすぐだというのにどんな攻撃も容易く対応してくる。だがまだ本調子じゃないのは戦っていればわかる。


「やるではないか、人間の割にはな」


「じゃ、ギア上げてくぞ」


 さらに加速して攻撃する。その速さに悪魔王も後退せざるを得なかった。


「だが……」


 ベルヴェルクでの攻撃を手で鷲掴みで止められた。


「所詮は人間の攻撃だ」


 力ずくで振り払おうとする俺と片手で易々と対抗する悪魔王。


「やめておけ、人と我とでは規格が違う」


「ハッ! さっき後ろに下がってたくせに」


「フン!」


 軽々と俺ごと持ち上げ投げ飛ばされた。


「お前は間合いを取るのが得意のようだな。戦いにおいて間合いを制すれば勝てることが多い。だが、『ただ間合いを取る』は言うに易い。完璧に自身の腕の長さ、武器のリーチを把握せねばならない。それだけではない。歩幅から体の向き、ありとあらゆるものを網羅せねば完璧な間合いとは呼べん」


 なんだ、いきなり説教か。

 だが、言っていることは分かる。だからこそ腹が立つ。


「お前は後ろに下がったと言ったな。お前目線ではそうかもしれんが我もまたお前との間合いを測っていた。そのためには数歩下がる方が受け切りやすいとわかった」


「それだけの魔力量、力を持っていてインテリ系かよ」


「どうとでも呼べ。これが我の戦い方だ。無策に飛び込むなど自殺行為だ」


 こいつとの戦いは今まで一番戦いにくい。派手さこそないが完璧に受け切り、攻撃してくる。しかもまだ完全に力が戻ってない状態でだ。戻ればおそらくもっと苛烈を極めるだろう。


 本来倒すなら今だが、市民が避難しきっていない状況から俺自身も本気を出せない。街一個くらいなら簡単に壊せてしまう。

 だから早くいっちゃんに来てもらって仮封印を施さねばならない。

 拮抗する戦いの最中日本全土に結界が張られたのを感じた。ということはもうすぐいっちゃんが来る。


「結界か。マスター・ソーサラーという奴が張ったのか。なるほど何やらコソコソしていると思えば」


「お前と雑魚をここから出さないためのな!」


 ベルヴェルクを上から振り下げ、さらに追撃する。

 お前の言う『間合い』が今回の敗因だと知れ。

 悪魔王は後退して距離を取る。しかし下がった先には一本の剣があり心臓部に突き刺さった。


「なっ……!」


「悪いけど一度寝てもらうよ」


 いっちゃんが魔力も気配も完全に消し去り背後から近づいていたのだ。これで第一の作戦は終了だ。


「だが、これだけ弱い封印だと長くは持たなそうだな」


「あくまで仮封印だからな。悪いけど今度は万全の状態で相手してやる」


「いいだろう。お前たちも我に時間を与えたことを後悔するがいい。悪神アングラの副臣にして悪魔王ゲシュタルトがお前たちを必ず殺してやる。そしてこの世界を我の手----」


 剣に吸い込まれていった。いっちゃんはそのまま大地に剣を突き刺し封印した。


「この剣をそのまま向こうに持って行ったらダメなのか?」


「そうしたいけど、この封印具は土地に封印対象を縫い付けることでさらにその力を増すんだ。既存だとこれが一番効果的。本命が出来上がるまでの時間稼ぎもしないといけないし」


 今回の目的は時間稼ぎだったな。なら仕方ないけど。

 辺りを見渡した。生まれて10年以上過ごした街がめちゃくちゃだ。人も死んでいる。


「ん?」


 遠くから自衛隊がやってきた。


「今回の件で話がある。至急国会にて説明をしてほしいと首相及び大臣からの伝言です」


 そりゃそうか。やばい敵が現れてそれを封印したのだから何があったかは話さないとな。避難のこともあるし。


「わかりました。すぐにでも」


 俺たちは東京にある国会で説明をすることになった。



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