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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第5章 悪魔行軍
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5-6.『終わらない戦い』

「はぁぁ!」


 大鎌を振り敵を斬りつける。使い慣れない形状だが敵を斬るのに剣である必要はない。


「おいおい強気だな! 焦ったところで結果は変わりはしない!」


 男の拳が腹にもろに入った。


「俺の神器は思うがまま形を変えられる」


 メリケンサックだった神器が剣に変わり腹を突き刺した。


「これでいい。お前の負けだ」


 敵の神器は瞬く間に分離され、元の素材へと戻った。


「悪いな、すでに神器は解放済みだ。効果は触れた対象の逆行。武器に触れると素材へと戻る。素材に触れるとかつて生きていた魔獣にまで戻る」


「バカな。こんな力は聞いてねぇぞ」


 突然焦り始めた。


「我が王は魂を抜き取るだけとおっしゃっていたのに。だから悪魔に魂を食われることで対策してたってのによぉ」


「あぁ、確かにそれもある。限定解放だがな。さて、これで終わりにしよう。お前の負けだ」


「待て、待ってくれ。俺は利用されただけなんだ。脅されたんだ。だから許してくれ!」


「そんなもの後の祭りだよ」


 無慈悲な一振りは敵を斬り、次第に体は逆行し消滅した。首から提げているロザリオをぎゅっと握った。このロザリオは誓いを破ると罰が与えられる魔法道具。誓いの内容は殺人をしないこと。この神器は殺すのではなく最初から無かったことにするもの。よってロザリオは反応しなかった。


「終わった……」


 床に落ちている神器の素材を拾い収納した。


 ボスを倒すと戦いは鎮静化していった。国の被害は死者は70名弱、負傷者12名と大量の悪魔の攻撃にしては少ない方だった。

 グラム王も目が覚めことの状況を聞いた。


「双竜、よくやった。アイリ、アナスタシア、魔法師団員もよく生き残った。ひとまずは休憩が必要だがこの国の惨状を見て休むわけにも行くまい。アイリよ、団員の半数を瓦礫撤去などの作業に当てなさい。残り半数は休憩後先の部隊と交代だ」


「承知いたしました」


「ファルチェ王よ。またしばらくはここに滞在させてもらうがよろしいか?」


「街の復興に尽力してくださるのでしたら断る理由はないでしょう」


「ファルチェ王、お話のところ申し訳ありません。この神器お返しします」


「確かに受け取った。どうだ、この神器は?」


「非常に強力です。手に取った瞬間、この神器の沢山の想いが伝わってきました。ただの武器ではありませんね」


「そうだろう、この神器を守ることこそ我が王家ひいては十二騎の役目だ。今回はヴェストフォルに救われたが、まだまだ兵の育成をしていかなくてはな」


 神器アダマス・プルトを返還し、神器ベルヴェルクを腰に提げ直した。やはり俺はこちらの方が似合うな。


「グラム王、伝令です!」


 勝利の余韻に浸っていた俺たちの前に突如としてヴェストフォル王国から伝令が来た。


「本国から伝令です。王国の全方位から突如として悪魔の軍勢が召喚されました。騎士団が応戦しているものの、数が多く現在劣勢とのことです」


「それは真か?」


「はい、王国から中継で確認しましたが映像からわかるだけでもかなりの数です」


「陛下、これは我々がいないところを狙われたのではないですか?」


「アイリの言う通りだろう。双竜にアイリ、最近名を知られ始めたアナスタシアが抜けている今を狙ったとしか思えん。それにこの国を攻撃したのも3人の消耗とも取れる」


「陛下、すぐに国に戻ります」


「双竜、いけるのか? それなりに戦った後で、怪我もひどいだろう。それにここから戻るのに5日ほどかかるだろう」


「怪我は使い魔で治せます。休憩なしで行けば3日ほどで着くことができる。それに俺は戦況を変えられれば、その頃には魔法師団とアナスタシアが到着して一網打尽にできるでしょう。そうしたら俺も多少は休憩できます」


「わかった。双竜、国を守れ。でなければ我々に帰る家がなくなるぞ」


「承知いたしました。風神ボレアスと接続開始」


 俺はナルカミを召喚し、全速力でヴェストフォル王国に戻り始めた。


「では我々も行きましょう。来てください、フェネクス。太陽神ソールと接続開始します」


 アナスタシアはフェネクス=ラーを召喚し、アイリと有力な魔法師団員を乗せて後を追った。

 爆速でレギオン大陸と東の大陸を遮る大海原を駆け抜ける。途中出てくる魔獣も全て無視してヴェストフォルまでの直線距離を最短で行く。

 夜通し走り続けた結果2日でヴェストフォル領にたどり着き、ついに敵対面する。ファルチェ王国よりもはるかに多い悪魔たち。まるで虫だった。

 先に正面から突破して王城に入り、騎士団長に現状を聞き出した。


「王都東側にとんでもなく強い奴がいると。そいつが今回この軍勢を率いていると思われるわけですね」


「あぁ、だが強すぎた。お陰でこのざまだ」


 そう、団長は今動ける状態ではない。今は国に残ったエリート治癒魔法師の治療を受けて話せるが昨日までは内臓を一つ失い意識不明の重体だ。


「双竜。あの男は強いだけじゃない。今、俺は使い魔を使えない」


「えっ、どういう……?」


「そのままの意味だ。悪魔の呪いってやつなんだろうか。そのせいで俺は今使い魔を一切使えない。実際はそれが武器の力なのか使い魔の能力なのかはまだわからない。まぁ、それでも自力の違いがあって勝てるかどうかだったが……」


 相当落ち込んでいる。国を守る騎士のトップが無様に負けたんだ。当たり前だ。


「団長の仇は俺が取ります。俺の平穏と夢を潰す奴は誰であろうと許さない」


 王都東側には確かにそいつがいた。シルクハットを被りステッキをつき整えられた髭を生やした男だ。

 空からの着地と同時に数体悪魔を倒した。


「お前が今回の親玉か?」


「ん〜。ものすごい数で悪魔がやられていると思っていましたが、やはりあなたですか」


「そんなことはどうでもいい。質問に答えろ」


「この集団の長はやってはいるが親玉というのであれば私ではない。悪魔王ですとも」


 こいつも悪魔王……か。どいつもこいつも口を開けば悪魔王だ。


「俺が来たからには好きにはさせない。ここで倒れろ」


 ナルカミを使った神速の攻撃。何も構えてない敵を倒すのは容易だ。


--もらった!


 しかしこの男は神速で動く俺と目を合わせてきた。そして迷いなく手に持っていたステッキで攻撃を防いだ。


「なっ!?」


「速い。ですが私には通じません」


「たった単発の攻撃を防いだくらいでいい気になるなよ!」


 六連一刀流奥義六ノ型『填星』ならば受け切れない!しかしこれも全て見切られた。


「瞬時に3連撃。見事です。六連一刀流使いでもこれほど速いものはあなたくらいでしょう。加えて威力も十分といえる」


 それを簡単に防がれているんだがな。


「では私の番ですね」


 間合いを一気に詰められた。ステッキで攻撃してくるが思っている以上に重い。


「やはり戦い方うまい。場数を踏んだのを見て取れる。冷静に一撃を防ぎながら攻撃を仕掛けてくる。しかもバカスカと打ちまくる阿保とはわけが違う」


「戦い中におしゃべりとは余裕だな!」


 神器を限定解放して魔力を斬撃状に放った。


「いえ、同等もしくはそれ以上の相手と戦う場合短期決着は阿呆のするマネ。先に魔力と体力を失えば確実に負けるのですからね。その点あなたは確実に隙を狙ってくる。昨日戦った雷牛を扱う男とは違う」


「そうかよ。そんなもん関係ない。団長は国を守るために動いたんだ。その行動をバカにされる筋合いはお前にない!」


 剣とステッキが激しくぶつかる。


「はぁぁ!」


 男からステッキを手から離せた。ここを狙えば勝てる。


「戻りなさい。九難災禍くなんさいかアロンのじょう。神器解放」


 このステッキ、神器か。だが戻ったところで何ができるんだよ!

 ステッキに目をやるとそこにはむき出しの刃あった。仕込み杖だ。そこは問題はない。問題なのは神器を解放されたこの刃は嫌な予感がきた。全身に寒気が走った。

 無理矢理身体を捻り避けようとしたが腕に軽く当たり切った。見た感じ何もない。今は相手から目を離さないこと。カグツチの力を使おうとしたが発動しなかった。


「ナルカミ、ラウラ、オロチ! 何で急に使えないんだ!? 答えてくれみんな!?」


「あなたに今、私から目を離す余裕はあるのですか?」


「くっ! 神器限定解放……!」


 魔力を爆発させ無理やり距離を取った。


「団長の言ってたことがこれか。まさか神器とはな」


「九難災禍アロンの杖の解放状態の力です。ここまで長かった。あなたにはここから退場してもらう必要がありました。そのためには使い魔を使えなくして無防備になってもらうことが条件でした。これで心置きなく使える。やりなさい我が使い魔アバドン」


 地面がなくなり真っ黒の穴に落とされた。

 やられた。完敗だ。けれど、こんなところでは終わらない。


「今に見てろ! 奈落だろうが、どこに行こうが、俺はお前の首を斬ってやる!」


「負け犬の遠吠えですな。出ることはできません。一生そこで暮らしてください」


 穴がどんどん閉じていく。同時に意識も遠のいていく。

 目が覚めるとそこは真っ暗な世界。あかりがなければ何も見えない。


「ふぅ」


 俺は魔力を自分を中心に放射状に飛ばして辺りの状況を把握した。ここは洞窟だ。360度硬い岩に囲まれている。そして目の前には道がある。そこを通れば出口にたどり着くかもしれない。だが、その前に。


「誰だ。お前は」


 魔力を飛ばした時に引っかかった魔獣の類。


「お前、オイラが見えるのか?」


 サイズは小さめの魔獣。感じる気配から悪魔だ。殺気立つ俺に対して怯えることなく近づいてきた。


「お前強そう。うん、決めた。オイラをここから出してくれ」


「何言ってんだお前」


 この悪魔との出会いがこの奈落で意味を持つことになるとはまだ知らなかった。



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