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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第4章 ヴェストフォル王国
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4-23.『帰還』

久しぶりに投稿しました。

 大陸の管理者とは、4大陸を各自で運営する者たちのことを言う。一般的に国や対国家間においてのいざこざについては乱入してくることはないが、夢の国の事件のように無闇に人を陥れる行為は見逃さない。大陸の管理者たちの祖先は初代マスターたちだ。北はソーサラー、南がスミス、西がメイカー、東がテイマーのマスターを祖先に持つ。

 ちなみに南の大陸の管理者、テリス・アストライアは盲目だ。それでも管理者として責務を果たしている。


 ◇


 今回の騒動をグラム王に伝えてから3週間後、王様からの呼び出しを受けた。


「近衛騎士、“双竜”、拓人です。王への拝見を許されたし」


 門番の許しを経て玉座に座るグラム王の下へ。


「双竜、ここに推参しました。陛下、此度は如何様でございましょうか?」


「うむ。今回読んだのは他でもない。明後日に控えているダリア王国への訪問に、共に同行してもらうということだ」


「それは団長の役目ではないでしょうか?」


「本来はそうなのだがな。大賢者からの指定なのだ。無視するわけにもいくまい。今回のみ、騎士団長の代行で双竜が同伴することを命ずる。わかったな」


「わかりました」


 何があったのだろう? いっちゃんが俺を呼びつけるなんてことはなかったはずなのに……。

 日は流れ、ダリア王国に到着すると、ある人が俺に手紙を渡してきた。中身はいっちゃんからだ。


『着いたらすぐに来るように』



 と書かれていたので真っ先にいっちゃんのもとに行った。

 いっちゃんの私室に到着し、扉を開けると既に紅茶とお菓子は準備されていた。


「やあ、久しぶり」


「久しぶり。で、何でわざわざ呼びつけたんだ?」


「今から話すから。まぁ座りなよ。会談は明日だ。ゆっくり話そうじゃないか」


 言われた通り明日に座り、紅茶とお菓子を一口食べてからふぅ、と息を吐いた。


「さぁ、要件は?」


「単刀直入に言うと、向こうに帰る扉が開こうとしている、ということだね」


 俺はガタッと驚きのあまりに立ち上がった。


「それ、本当なの?」


「ソーサラーの神ナヴィアと通じる僕が言うんだ。間違いない」


 ならその情報は間違いない。帰れるのなら帰りたい。けれど一度出てしまえば、次いつ開くかわからない。約束が果たせてない以上はまだ帰るわけにもいかないけど……。


「ほんと、ジレンマだよね。でもそんなジレンマを解決する方法はある」


「えっ?」


「これだよ」


 テーブルに置かれたのは球体で大きさはビー玉くらい。


「何これ?」


「ナヴィア含む四職神の力の解析して擬似的に発動できる魔法道具。完全再現じゃないから効き目は一瞬だけど」


「で、その効果は?」


「一時的に扉を無理矢理こじ開けることができる、かな。行きは普通に扉を通って、戻ってくる時に壊せば扉が数秒だけ開くから」


「じゃあ、ありがたく使わせてもらうよ。いっちゃんは帰らないのか?」


「僕はもういいよ。君だけじゃなくて、他の異邦人たちと一緒に使ってくれ」


「そうさせてもらうよ」


 ここでいっちゃんとは別れ、次の日の会談に臨んだ。


 ◇


 数日間の会談が終了した後に国に帰り三厳と環さんにいっちゃんとの件について話した。2人とも一度は帰りたいと言うので3人で実家に帰ることにした。

 そして扉が開くその日の朝。帰る支度をして家を出た。城門の前には三厳と環さん、アイリさんが既にいた。


「アイリさんが何でこんな所に?」


「見送りです。少しの間寂しくなりますね」


「俺も寂しいですよ。この世界と少し別れるのは」


 そう言うと環さんから後ろから突かれた。しかもかなり強めに。

 アイリさんとの別れ(一時的な)を済ませ俺たちはこの世界と向こう側を繋ぐ門へ向かったのであった。


 ◇


「懐いなぁ、ここは」


 環さんはここに来て以降一度も寄ったことがないらしい。俺も一度もない。三厳は何回も来てるらしいけど開いたところは見たことがない。

 指定された時間の前に空からいっちゃんが舞い降りた。


「何とか間に合ったね」


「何でお前がここに?」


「見送りさ。それと拓人。これを」


 いっちゃんからブローチを渡された。


「おばさんに渡しておいてよ。あの時はお世話になったし、そのお礼。僕のことは元気にやってるって言っといて」


「そう言っとくよ。じゃ、行ってくる」


 扉は白い光を放ち、俺たちを包み込んだ。そして次に目にしたのは懐かしさ溢れる地元の風景と空気。


「帰ってきたんすね。なんか実感湧かないって言うか何て言えばいいんすかね……」


「言いたいことはわかるけどとりあえず、ここからは各自で行動やな。三厳はどうやって帰んの?」


「俺はじぃちゃんとばぁちゃんの家が近いからまずはそこに行きます」


「拓人は? ってここお前の地元やったわ」


「なのでそのまま家に行きます。どれくらいここに滞在します?」


「1週間くらいでええんとちゃう? 向こうの人にも迷惑かけてるわけやし」


「賛成っす」


「では1週間後再度ここに集合しましょう」


 俺たちは各々の向かう方向に歩いた。俺は当然実家に帰るが今どうなっているんだろうか。喜びより不安の気持ちの方が今は大きい。

 2年前と一切変わらず古い木造の家が俺を迎えてくれた。インターホンを鳴らした。しばらくして……


「はい、どちら様?」


 母の声だ。久しぶりに聞いた母の声は何も変わってない。綺麗でおとなしい感じだ。


「ただいま」


 そう言うとインターホンは途切れ、すぐに家の門が空いた。

 少し前より老けた母は俺を見た途端、涙を流し抱きついてきた。


「痛い、母さん。離して」


「今までどこ行ってたのよ。心配かけて」


「ごめんなさい」


「その話はお父さんと一緒に話してもらいますから、まずはその変な格好を直してきなさい」


 そういえば服装はそのままだった。

 懐かしい玄関と家の匂い。家で靴を脱ぐのは久しぶりだ。居間には父親が新聞を片手にお茶をすすっていて、昔から変わらない父親の姿がそこにあった。


「ただいま」


「拓人か。何してたかは細かいことまでは聞かんが、母さんを心配させたんだ。反省はしてもらう」


「わ、わかってる」


「さっ、早く着替えてらっしゃい」


 そう言われて2階の自室に向かった。

 2階には部屋が2つ。俺と澪ねぇの自室。クソ兄貴こと拓実の部屋は1階、両親も同じだ。

 澪ねぇの部屋にノックして入るとヘッドホンをして音楽を聴く澪ねぇがいた。俺が入ると気が付きヘッドホンを外し、


「ん、おかえり」


「うん、ただいま」


 それだけ言うとまたヘッドホンを付けて音楽聴き始めた。何事もなく過ぎ去る家族。クソ兄貴は出かけていて、父親と姉は久しぶりの再会だと言うのにテンションが低い。元々高い人たちではないが、こうも何もないと逆にどうすればいいのか正解なのかわからない。


「ったく。こっちは合宿帰りじゃないだけど……」


 剣は念のためキャリアポートに収納せず布だけ巻いてある。それを壁に立てがけ、服を脱ぎこっちで世話になったジャージを着て1階に降りた。

 久しぶりに帰ってきた我が家。母さんの入れた緑茶を飲みつつ茶菓子をつまんでいると、  


「拓人、以前より身体が締まっているな。今の時代奴隷などあるまい。何をしていた?」


 やっぱり気になるよな。だからといって正直言って信じてくれるのか。


「まぁ、色々世界を見てきたんだよ」


「金はどうした、パスポートも」


「その辺は何とかなったよ。いっちゃんもいたし」


「一条くん見つかったのか。どこにいるんだ?」


「本人希望で居場所は言えないんだ。探して欲しくないから。でも元気にやってるよ」


「そうか。でも今もしっかり生きているならそれでいい。母さんも喜ぶ」


 話は何とか逸らせた。パスポートとか聞かれたら何も言い返せない。

 夜、クソ兄貴も帰ってきて家はそれなりに荒れた。会って早々に「そのままくたばっておけば静かに暮らせたのにな!」だ。嫌味ったらしく。一発殴って何事もなかったかのように座り晩ご飯を食べた。 

 そうして帰還1日目を終えた。



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