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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第4章 ヴェストフォル王国
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4-21.『偽りの楽園-1

遅くなり申し訳ございません。

「アイリさん、アイリさん!」


 扉を何度も叩き、部屋の中にいるアイリさんを呼ぶ。しばらくして扉が開いた。


「何ですか? こんな夜遅くに……」


 目を擦りながら出てきたアイリさんを再び中に入れ、扉の鍵も閉め、さらに魔法で防音効果を付与した。


「本当にどうしたのですか?」


「アイリさん、とりあえずこれを見てください」


 目覚まし時計を見せるとアイリさんは驚いた。そして何度も俺に確認して今の状況を把握し、急いで着替えた。


「今すぐにここから出るにしてもまずは……来てください、風剣フレズベルク」


『…………』


「フレズベルク。来てください、フレズベルク」


『…………』


 何回読んでもアイリさんの神器は戻ってこない。


「アンチ・アリアですか。厄介なものを」


「ここにAAがあるなんて。予想外ですね」


 AA、通称アンチ・アリア。対神器召喚であり、神器の呼び出しを無効にする空間。製作者は現マスター・メイカーのアラン・カー。


「ここから逃げるとしてもまずは神器を回収してからですね。万が一戦闘になるかもしれません。アイリさん、武器は持ってますか?」


「武器は全て預けています。今の私は魔法で手助けすることしかできません」


「わかりました」


 俺は神器ベルヴェルクと銀光に輝く剣を取り出した。


「前に凛さんからもらった物ですが、無いよりはマシかと思うのでどうぞ」


「確かに無いよりは……」


 アイリさんは急いで着替え、まずは神器の保管場所を探すことにした。

 夢の国の案内マップを広げ、目ぼしい所をペンで丸を描き、絞っていく。候補は2つ。1つ目は入り口。2つ目はこの夢の国の中央に佇む王城。これらに絞り夜中に無断で入園する。

 入り口に着くとまだライトが点いていた。気配遮断の魔法を使い入った瞬間、警報が鳴り響き気づかれた。そこからは急いで中に入り中にいる職員を気絶させた。


「ありましたか?」


 中にある一時預かりとなっているものを片っ端から探した。


「神器はありません。しかしシベリウスなら」


 伸縮魔剣シベリウス。アイリさんが愛用する刀身がない剣だ。これも目当てではあるが神器はここにはない。あとはあの王城のみ。敵の本拠地だ。

 警報がなってしまったためここからは悠長にことを成す余裕はない。休む間も無く王城に乗り込み、一旦隠れるため誰もいない部屋に身を隠した。


「とりあえず、鍵をかけました。これからどうしますか?」


「AAの場所は大体限られます。この城は上に行けば行くほど狭くなっています。AAは狭い空間だと機能しません。なので1階か2階のどこかにあるはずです」


「では俺は2階を探してきます」


「私は1階ですね」


 少し扉を開け廊下の様子見て、各々行動に移した。

 2階に登る階段を登る。途中、兵士と戦闘になるも問題なく突破して、扉を片っ端から開けていき、そこで気になる部屋があった。


「ここは?」


 明かりをつけるとそこは書庫だ。なぜそんな部屋が施錠されていないのか。本は様々な知識が詰まっている。ここにあるのはほんの一部だろうがそれでも価値はある。そしてその書庫には1つ机があり、その上には何やら計画書らしきものが置いてあった。


『永久幸福楽園』


 というタイトルで始まるそれを読んでみた。

 まず始めはこの施設の設計からだ。魔法を駆使しテーマパークの実現を可能とするこれは見事なものだ。仕組みから何から何まで細かく記載されている。

 2ページ目、それを読んだだけで怒りが湧いてきた。これは止めなければならない。自身の正義感がそう訴えかける。

 ページをめくり読み進めていると背後から殺気を感じ振り向いた。目の前には覆面の男。手には拳銃。すでに引き金に指が添えられていた。そしてパァン! という銃声がなる前に何とか躱すことができた。


「やれ、ベルヴェルク!」


 短剣を射出させ、相手の脇腹と足を負傷させた。相手はそれに動揺しその場から逃げ出し、後を追うとすでに男はいなかった。


「拳銃、この世界にもあるのか」


 2年前には拳銃というものはない。精々猟銃だ。この国の技術ならそれも可能なのかもしれない。


 一度アイリさんと合流し、今後の作戦を練ることに。


「神器は見つかりました。早くここを去りましょう」


「その前に。俺はやらなくちゃいけないことがあります」


「何ですか?」


「この国の異常を問いただします」


「何か……あったんですね」


「はい」


 書庫で見つけた計画書を見せた。


「本来であればこんなことに手を出すのはよろしくはないのでしょうが、私も手を貸しましょう」


「すみません」


「礼は結構です。それよりも早く上に行きましょう」


 上へ、上へと登り最後のフロアに続く階段を登りきり扉を開けた。フロア全体が玉座となっている。


「そなたらが侵入者か?」


 玉座に座る王が発言した。その隣にはスーツ姿の男がいる。護衛というわけではなさそうだが。


「そうなるな。だが、俺たちがここに来た理由はわかるんじゃないか?」


「はて、何なのだ?」


「とぼけるのもいい加減にしろ! 俺たちをずっとここに閉じ込めて利益を貪ろうとするその悪逆、許される罪じゃないぞ!」


「アマクサ、ワシは今心底面倒だ。頼むぞ」


「はい」


 アマクサと言う名の男が王から離れ、近づいてくる。


「お前はあの書庫で見ては行けないものを見てしまった。本来なら知る必要がないものを。今度こそ仕留めねばならない。陛下、玉座を穢すことになりますがご容赦を」


 そう言ってポケットから筒状のボタンを取り出し、押した。


「アイリさん!」


 嫌な予感が的中した。玉座は発光し、熱を持ち始め、そして爆発を起こした。


 アイリさんの手を取り急いで城から飛び出た。危機一髪逃げ延び、中庭に着地。


「大丈夫ですか?」


「はい。あんなところで爆発を起こすなんて、自爆もいいところですが、おそらく対象には爆発の被害に合わないのでしょう」


「そんなことできるんですか?」


「対象を認知する魔法道具と爆発を起こす魔法道具接続させて1つの物として開発できます。違うもの同士の合体は燃費が悪いことで有名です。なので魔力貯蔵庫がこの国のどこかにあるはずです」


「それを破壊すればこっちのものですね」


「はい。その役目は私がやりましょう」


「わかりました。ではご武運を」


 俺はナルカミに跨り上を目指した。


 そしてもう一度あの2人とご対面。アイリさんの言う通り無傷だ。


「またあったな。アマクサさん」


「お前にその名を呼ばれたくはない」


「なら呼ばないよ。だけど1つ聞かせてくれ。あんた異邦人だよな?」


「だったら、何だと言うんだ?」


「ならあなたも奈良の人間なんじゃないか? 同郷なんだからできれば戦いたくはない」


「それはお前の考えだ。私は違う。お前はこの国の異物。それをいち早く排除せねばならない」


「だったらやってみるか? さっきの爆発は2連射は不可能だろ、多分。この玉座だけを対象に爆発させて、さらに建物に被害を与えないようにするための魔法が必要だ。それを加味して、1発にかなりの魔力量を使用してるはず。今はそのための魔力補給中なんだろ?」


「だとしたら……?」


「それまでには俺たちの方もやるべきことが片付く。それまで話くらいはしてもいいんじゃないか?」


「先程の怒りはどこにいったのだね? 初めてここに来た時は怒りの形相だったと言うのに」


「今も怒りでいっぱいだ。それを我慢してる」


「そうか。それは気の毒だ。だから今、楽にしてやる」


 拳銃を取り出し、引き金を引いた。不意打ちじゃない限り俺にそんな攻撃は当たらない。

 素早い動きでアマクサの背後を取り腕を背中に回し上げ、身動きを封じた。


「チェックメイトだ。さぁ、全て話せ」


「誰がチェックメイトだって? 私はまだ負けてないのだよ。スイッチオン、エクスプロージョン、起動」


「音声入力か……!?」


 やばい、もっと時間があると思っていた。外に逃げなくては。


「クソ! またやり直しかよ」


 アマクサから手を離しその場から去る態勢に入った瞬間、爆発は途中で止まった。

 何が起きたと動揺するアマクサがシステムの異常がないか、壁にあるモニターのようなもので確認を取った。


「貯蔵庫と主電源が破壊されている。何者の仕業なのだ」


 その言葉を聞き、俺は確信した。アイリさんがやったんだ。ものの数分で探し出し不発に追い込んだ。


 そして外からはアイリさんが颯爽と現れた。


「これで終わりです。偽りの国の王よ」



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