表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第4章 ヴェストフォル王国
46/101

4-18.『マスター・スミス』

 大会の次の日、俺は剣を貸してくれた人物に合うために王都中を探し回った。剣に銘が彫られていたならすぐに見つけることができただろう。だがそう簡単にはいかなかった。

 アイリさんが勝負前に何か匂わせていたことを思い出し彼女の私室に向かった。


「なるほど、それで私に。私は一度その剣を見たことがあります。あまりに高額で印象的でしたので」


「えーっと、それでどこの方の剣何ですか?」


「そうでしたね。この剣はアサヒナリン。現マスター・スミスが打った剣です」


 朝比奈凛? どこかで聞いたことあるような……。


「リンがいる場所は小さな孤島にいます。島はたくさんあるので私が案内しましょう」


「お願いします」


 すぐに支度を済ませて向かった。場所は小さな島で住民がちらほらいるほど過疎した集落だ。その一角にとても大きな建物で、家が2つくっ付いたようなものが佇んでいる。

 その中へ入ると武器がズラリと綺麗に並んでいる。中はとても綺麗に整理されている。


「ここにいない時は大抵裏の鍛冶場にいます。この鈴を鳴らすと来てくれます」


 チリンチリンと鳴らししばらくすると裏の扉が開いた。

 出てきたのは、赤い髪を後ろで纏め、目と眉が凛々しく鼻が高い女性だ。容姿はアシハラ人と誰かとのハーフといった感じだ。


「リン、相変わらずですね」


「ん? アイリ嬢じゃないか。と、隣は双竜か?」


「はい。相羽拓人です」


「双竜で相羽……。おぉ! お前、オロチ退治の相羽拓人か?」


「はい、そうですけど」


 急にテンションが高くなった。それにとても言動が男っぽい。


「いや〜、あの相羽拓人に会えるなんてなぁ。帝様もすごい褒めていたよ」


 帝様? アシハラノクニ? そして朝比奈凛……。


「思い出した。朝比奈凛。突然国からいなくなったアシハラ一番の名工!」


「おっ? 私のこと知ってんの?」


「帝から少し聞きました。こんな所にいたなんて」


「私も色々とあったんだよ? 丁度お前がオロチ退治をした数日後に一度戻ってな。それで聞いたのさ。お前がやってのけたって。そんでそんな相羽拓人が私に何のよう?」


「拓人でいいです。えーっと、この剣はあなたが打った物ですか?」


 剣を腰から外し凛さんに渡した。


「あぁ、私が打ち、昨日お前に送った剣だ」


「なら代金を支払いにきました。流石にこれを返すにも傷が付いて返すこともできませんので俺が買い取ります」


 少し黙り込み、何か考えている。


「いや、金はいらない。それ、もう何年も売れてない品なんだ。だから代金はいらない」


「いや、でも――」


「それ、私がマスターになって間もない時に打った剣でさ。依頼主が飾り用で最高級の剣を作ってくれっていう依頼の下鍛造したんだ。作ったはいいけど依頼主は納品日に魔獣に襲われて死んでしまって、遺族もそんな高価な物はいらないと言うから持ってても仕方ないから売り物として並べたんだが、まぁ売れない売れない。飾り用とはいえ普通に武器としても使えるが何か特殊な効果があるわけでもないし、無駄に高額だから売れないんだわ。だからここにあっても意味ないからお前にやった。大会途中剣が折れたと聞いてな」


「それでもお金は支払わないと」


「いらないよ」


「いえ、支払います」


「いらない」


「支払います!」


「いらないよ!」


 以後それの繰り返し。支払う、いらないの応酬は段々とエスカレートしていき、ついにアイリさんが止めに入った。


「アイリ嬢の顔に免じて1割額はもらう。それで終わりにしよう」


「……わかりました」


 お金を渡しとりあえず一段落着いた。不本意だがそうしないと終わりそうにないからだ。


「で、今日はそれだけか?」


 凛さんがそう言ってきた。


「はい、それだけですが……」


「お前、マスター・スミスが目の前にいるんだぞ。なら神器を作ってくれって言わないのか?」


「神器……」


「確かにタクトも神器を持っていてもおかしくない時期かもです。私はもとよりミツヨシや騎士団長、他何人かは神器を所有しています。持つ能力もそれぞれですがとても強力かつ絶対に破損することはないので永久的に残ります。人によっては過去の人間が作った神器を購入し使用してる者も少なくありません」


「アイリ嬢の言う通り私より前のマスターが作った神器もある。それを使うのも悪くないが自身に合う神器を見つけるのは骨が折れる。だから自分で素材を見つける方がどんな効果にするか決めることができる」


「神器の効果は自分で決めれるんですか?」


「いや、そうじゃない。神器の効果は使う素材に由来する。アイリ嬢なら風の魔獣フレズベルクの羽毛を使ってる。魔獣フレズベルクの能力は全てを飲み込むことができる。だからそれがそのまま神器の効果として昇華してる」


「素材の能力さえ分かれば自分の力に合うかどうかわかるってわけですね」


「おうとも。ただ、素材にできる物は“この世に存在し続けて千年以上の物”とされてる」


「なるほど。そもそも羽毛を剣にすることできるんですか?」


「羽毛の他高ランクの金属を合成してる」


「そんなことできるんですか?」


「そこはマスターとしての力で何とでもなるんだよ」


 マスター権限。神器作成は便利なことだ。

 確かにもうそろそろ作らないとな。剣が折れたわけだしいい機会なのかも。


「では神器の作成お願いします」


「あいよ。素材さえあれば最高の物を作ってやる」


 ということで急遽神器を作ることに。素材を探さなきゃならないからまず休暇申請してからすぐ出発だ。

 すぐにグラム王の所に行きことの旨を話した。


「神器の作成か。お前ならもうそろそろ言うのではないかと思っていたが大会が終わって次の日とはな」


「申し訳ございません」


「謝ることではない。誰しも通る道だ。まぁできれば早くに帰って来なさい」


「ありがとうございます」


 グラム王との面会を終え一旦帰宅して必要な分のお金を持ち、三厳、環さん、アイリさんの所に挨拶して出かけた。

 アイリさんとの別れ際、神器の素材について情報を手に入れた。それは西の大陸の南西にある島だ。通称モンスターエリアと呼ばれ魔獣の湧きが異常ということで有名だ。さらに偶然発動してしまった天然の結界で魔獣たちはその中から出ることができない。それ以外は出入り可能と聞いている。そしてそこにある素材は英雄によって世界が平和となり、神々の争いで混沌となった大地に一番最初に芽吹いた植物、紅葉の木があると言う。素材のアテがないのでとりあえずはそこに向かうことにした。

 ナルカミのおかげでその日の内にたどり着いた。1日近くの町で休み、そこで水と食料を買い、モンスターエリアに向かった。

 結界の中に入ると草原が広がる。1つ山がありそれを超えた所に紅葉の木がある。そこからは修羅の道だ。魔獣の応酬、倒してはまた現れ、前に進むのも困難だ。空にも陸にも魔獣はわんさかいて一体ずつ倒すのは非効率なので纏めて討伐していった。山の中にも魔獣たちが襲ってくる。山は道が凸凹で戦いにくいが木や茂みを利用して何とか突破する。

 そして山を降りて、また草原が広がり、その中央に噂の紅葉の木が真っ直ぐに立っている。千年以上生えているため木の幹が異常に太く頑丈だ。触れると大量の魔力を内包していることもわかる。


「これは大変そうな作業になるな」


 アイリさん曰く、木を素材に使う神器は根っこから引き抜く方が良いと言っていた。理由は残った切り株も神器にすることができることと、根に1番大地の魔力が内包されているからだ。

 シャベルで穴を掘る。魔法やその他の力を使うと木にダメージを与え素材の質が悪くなる他、無駄な魔力消費は帰ることができなくなる可能性ある。よって手作業だ。何日間の作業になるのだろうか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ