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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第4章 ヴェストフォル王国
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4-7.『捜索』

 三厳の口から出た突然の告白。最初は嘘かと思った。けれど三厳の顔を見て嘘を言ってる様には見えない。それ以前に三厳が冗談でも『魔法師団長が拐われた』なんて言うはずがない。


「姉さんは王国領内のとある村にて捕まりました。それ以降場所が特定できずにいます。もうすぐこの国は非常事態宣言を発令し、国を挙げて姉さんを探すでしょう。ですが同時にこの国は手薄になる。その隙を狙って襲撃でもされたらこの国は終わりです。ですのでその前に先輩に姉さんを見つけてほしいんです」


「手薄って言っても少なくとも騎士団のいくつかは残るしそれなりの戦力がある。騎士団長だっている。そこまで気にすることも……」


「ですが騎士団の大半は任務に出ているはずです。1番遠い所だと南の大陸でしたか……。少なくとも今残っている第三部隊以外の魔法師団メンバーは出動します。それだけでも十分痛手なんです」


「いや、でもなら尚更俺はこの国に残るべきだろ。俺は騎士団だ。だから残ってる魔法師団に任せるのが良い」


 三厳は首を振った。


「そう言う問題じゃないんです。これはこの国の出身でない先輩だから頼めます。俺はこの国に絶対にいなければなりません。環さんは元々戦闘員ではないので不可能。異世界人かつ戦える先輩だからこそ意味があります」


「……正直なところ俺が言ってもあの人はあまり喜ばない。むしろ屈辱と感じると思う。結局俺はテイマーだ。あの人にとって嫌いな存在。同じ流派の人間だから今まで戦っていたに過ぎない。だから俺に頼むより他の人に頼んでくれ」


 扉を閉めようとすると手を間に入れ閉めさせてくれなかった。


「お願いします! 非常事態宣言が発令される前に行ってください!」


 閉めようとしていた旅を再び開けた。


「どれだけお願いされても無理だって。俺には俺の役割がある。非常事態宣言が発令されたら国の守護だ。だから三厳の申し出は無理だ」


「お願いします! 先輩じゃなきゃダメなんです! 異世界人で戦えて、ある程度自由の利く先輩が! ……俺は第三部隊です。第三部隊の役割は王都の守護並びに国王の安全です。だから王都を離れられないし姉さんを探しに行けない。だから俺の思いを託せるのは先輩だけです」


「けど無理だ。自由なんて殆どないしそれに非常事態なら尚更。だから諦めてくれ」


 俺は扉を閉めようドアノブに手を掛けた瞬間俺の肩をガッシリ掴んできた。


「姉さんは……、姉さんは……」


「……?」


「姉さんは元奴隷なんです!」


 突然のカミングアウトだった。


「だからって今回と何の関係が……」


「今回姉さんが連れた団員の証言だと、姉さんを連れ去って行ったのは北の大陸で拠点を置いている裏で暗躍している奴隷商人だと聞きました。姉さんは村人が奴隷にされかけているところに駆けつけて解放するため動こうとしましたが、村人が人質になり手出しできなくなりました。そして自身を連行される代わりに村人の解放しました。姉さんは今でも奴隷商人たちがトラウマです。いつも長袖の隊服を着ているのも肌に残った手枷や足枷、暴力によって付いた痣を隠すため。一度もドレスを着ることなく淡々とただ任務を遂行する。年は先輩と変わらない19歳。街の女の人の19歳は結婚して家庭を持っていてもおかしくないし、綺麗に着飾ってオシャレしたりしてもおかしくないに……」


 涙しながら言う三厳に心打たれた。何よりもあの魔法師団の片鱗を知りそれどころではない。


「三厳、魔法師団長が向かった村はどこだ。教えてくれ」


「行ってくれるんすか?」


「そう頼んだのは三厳だろ。さっきまで悪かった」


「いえ。場所は王都から離れた東にある村です」


「わかった。俺のことはそうだな……幻術とかで居るように見せかけてくれ。あと城門からいつでも出入りできるようにしておいてよ」


「はい!」


 三厳はすぐにここを去り準備にかかった。俺も服を隊服から旅装に着替え、剣を携え準備した。

 私室を出て急いで城門に向かう。着いた時には三厳がいた。


「非常事態宣言が発令されてしまいました。できる限り急いでください!」


「任せてくれ。お前の姉さん、絶対に連れて帰ってくる! 来い、ナルカミ!」


 麒麟の神霊にまたがり目的地である村に向かった。

 村では当時いた魔法師団員がその場で居残って何かやっていた。聞いてみると村人のケアと魔法師団長の捜索。しかし未だ見つからず困難を極めている。

 空を見渡すと雨雲が少し先にあるのがわかった。オロチとナルカミの力を使えばそんなこともわかる。そしてこれはとても好都合だ。


「ナルカミ、雷雲を王国全体に持ってこい。それでお前は雷雲を通して空から魔法師団長を探してくれ」


「わかりました」


 ナルカミは空に昇って行った。空はあいつに任せて俺は魔法師団長が連れられた方向を聞き出しだ。


「で、君たちはサーチしたか?」


「あれは何かしらの縁がなければ使えない。私たちにそのような縁は存在しません」


「いやいや、縁しかないだろ? その服だって十分な縁だろ」


「これは団長からではなくあくまで国から支給されたもの。私たちに団長から与えられたものは現在持参しておらず、持っている可能性があるとしたら第三部隊長のミツヨシくらいで」


「そういや、三厳はあの人から妙に気に入られてるな。何かあるのか」


「そもそも三厳ができる奴というのもありますが、団長は気に入った存在を手元に置く癖があります。なぜかはわかりませんが」


 三厳がいればあいつの縁を使い探せるというのに。そして意外と魔法師団の奴らが使えない。


「……」


 無闇に探し回っても時間のロスだ。他に縁がないか手当たり次第試した。いくつか反応したものもあったが捜索するには少し頼りないものが多い。

 そんな時ある魔法師団員が言ってきた。


「あの……。双竜のその耳飾りは縁として働かないでしょうか?」


「これ?」


「それは団長と同じ六連一刀流保持者の証。多分団長の方が早く習得したと思うので双竜にとっては姉弟子になります。それにここ最近、毎日試合してるそうですし、可能性はあるのでは?」


 試す価値はある。耳飾りを外し魔法をかけた。すると、耳飾りを起点に赤いラインが地面を這うようにどんどん伸びていく。


「全員は来なくていい。5人ほど一緒に来てくれ」


 魔法師団員とともに赤いラインが向かう方向に沿うように走った。


 しかしラインは途中不自然に途切れておりそれ以上はそれを頼りに捜索できなくなった。そんなどうしようもない状況下で雨が降り出し、雷の音が聞こえた。これはナルカミだ。雷は俺の真横に落ち、そして雷は竜の形に姿を変えた。


「場所がわかりました。方向自体はここですが、もう少し先に行くと怪しい者らがウロウロとしておりました。おそらくその周辺かと」


「ナイス! ここからは慎重に行こう」


 ナルカミに案内され辿り着いた所は何もなく、ただ平原とちらほら岩と木が生えている場所。さらにナルカミが進む先には辺りにある岩よりもより大きな岩があった。


「いや、これをどうしろと?」


「確かここに入って行った者はこの辺に手のひらを押し当てていました」


 言われた通りやってみたが反応ない。


「多分登録された奴だけが開くようになってんだろうよ」


「どうします?」


「ここに入る奴を待ち伏せる。そこを捕らえよう」


 ということで各々バラバラな所で待ち伏せることになった。俺はナルカミに乗り空へ。他は岩陰、木の上など。

 さっきの認証システムもそうだが向こうで使われているシステムや機械は大体こっちで魔法道具として再現可能なのだ。例えば魔道車。あれも当然向こう側に存在する。ただしこの世界にガゾリンは無いため魔力で代替する。そのおかげで排気問題もなく走れる。電気よりも燃費が良い。はっきり言うと車ならこちらの方が性能はいい。

 と言う風に指紋や手形の認証のシステムも簡単に作れる。割と色んな所で使われてたりする。

 そうこう待っていると、1人大岩に寄って来て手を当てた。それをみすみす逃すわけがない。

 雷の速さで地上に降りその者の首に剣を当て脅す。それと同時に他の隠れていた5人も出てきて無理やり認証して扉を開けた。敵は適当に気絶させその場で置いておく。

 扉の向こうは特に何もない。ただ地面には魔法陣、それをラウラに鑑定してもらい、耳元で結果を聞き出し、俺は決意した。


「みんなはここで待っていてくれ」


「何故です? ここまで来てそれはないでしょう? 魔法師団員として最後まで行きます」


「そうじゃない。これは少なくとも別大陸に繋がってる。三厳の話からしておそらく北の大陸。魔法師団員である以上、他国の領地に勝手に行けばどうなる? しかもそれが見つかれば。何の通告なく突然領地に踏み入れるとどうなるかくらいはわかるだろ。俺は冒険者としての双竜の方が名は売れてる。だから最悪無理やりだけど話をつかせることができる。それに国外追放とかなってもいくらでも行くアテはある。でもあんたらは流石に無理だ。だからここからは俺1人で行く」


 その言葉にまだ納得できない者もいた。何が何でも行こうとする。が、それを抑えてくれたのがおそらく今回来てくれた団員の中で1番の年長者。その者を諭すように、俺の言い分、自身の気持ちを言い、それでもここは双竜に任せるべきだと言ってくれた。


「ありがとう。必ず連れて帰る」


 そうして俺は敵の本拠地に乗り込むのであった。



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