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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第4章 ヴェストフォル王国
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4-2.『武闘会』

 現在は高級ホテルのスイートルームにいる。分相応を弁えず、ふかふかのベッドでくつろぎながら大会案内とパンフレットを見ていた。


『誰もが騎士になる資格あり! 大会で優勝して勝ち取ろう! 騎士道を歩みさらなる高みへ!』


 というキャッチフレーズで始まる大会案内書。この大会は貴族を含む一般人のみで行われる大会で優勝者にはこの国の武力、近衛騎士団に入団を許されるビックイベント。テイマーとソーサラーが参加可能。その他に魔法師になれる大会も存在しこちらはソーサラーのみ参加可能となっている。

 で、今回は騎士団に入団したい者を対象に行う。これは入団を断ることも可能。ただ戦いたいだけの人間もいるからだ。入団するかどうかは本人による。


「騎士か……騎士も悪くはないんだけど。レオンなら喜んでこの大会を受け入れてたろうな」


あれから2年。レオンの死からそれだけの年月が経った。どれだけレオンに追いつけたかは知らない。けれど近づくための努力はしてきた。だから『双竜』という名前で呼ばれている。


「まっ、騎士になるかどうかは後から考えるかな」


 その日は王都の観光をして明日に備えて早くに寝た。

 そしてついに当日がやってきた。ホテルを出た瞬間から王都は大騒ぎ。酒とツマミを持つ人がよく目立つ。

 会場入りするとまずは持ち物検査を行う。持っている剣は全て一時没収し、木剣又は杖を差し出される。刃渡りはいつも持つ剣より少し長く軽い。


『さぁ、ついに始まったぞ武闘会! 実況は私、近衛騎士団所属のグレーゲルがお送りします!』


 実況のコールとともに盛大に沸く観客。朝から元気なことだ。


『今回のルールをご説明いたします。今から行われますは予選大会。64人の参加者を2グループに分け、ここメイン会場とサブ会場にて各会場2人だけになるまで払い落とし戦を行います。その後合計4人で本戦を行い優勝を決めるという物でございます』


 という風なルール。ちなみに俺は実況グレーゲルがいるメイン会場で戦うことになっている。


『では早速選手入場! 特に隊列とかないのでさっさと出て早く戦おうぜ!』


 男女が雄叫びを上げて会場の中に入っていく。さながら組体操の入場の時、自身の定位置まで行くのに走るかのように。


『では、バトル、かいぃぃぃしぃぃぃ!』


 いちいち雄叫びがうるさい。だけどこういう祭りはきらいじゃあない。


「カグツチ、ナルカミ。頼んだ! 長期戦とか無用。さっさと終わらせて休憩しようぜ!」


「御意」


「拙にお任せを」


『おぉっと、何だ!? 突然炎の渦が闘技場を包み込んだぞ! よく見ると黄色い閃光も見える! この火と雷の大技、まさか……『双竜』だぁぁ! 双竜が何か仕掛けてきます!』


「やれ、2人とも!」


 俺の合図ともに闘技場に高速で雷が落ちてきた。その時1人殺さない程度に直撃しその場で倒れた。しかしこの技はそんな1発で終わるような甘っちょろいわざじゃあない。何発も火と雷が闘技場内を無作為に攻撃し始めた。


『炎の渦で中身がはっきり見えないので中継機器は真上から撮影を……って何だぁぁぁぁ、これは! 中では渦から射出された火と雷の流星群によって次々に攻撃しているぞ! これは他の参加者もひとたまりもない! この怒涛の流星群を耐える者は現れるのか!』


「もういいぞ、2人とも。これで終わりだ」


 炎の渦を消し広範囲に舞った煙を風の魔法で吹き飛ばし会場の状況をすぐに確認した。しかしたった1人、盾を持った屈強そうな男がギリギリだが耐えていた。


『し、試合終了ぉぉぉ! 『双竜』の攻撃を何と耐え抜いたぁぁ! 番号9番選手、そして『双竜』タクト選手、本戦出場決定ぃぃ!』


 俺は控え室に案内され、闘技場から出た。


「ふぅ」


 全員倒す予定だったが、耐え抜いた人もいたなんて。俺もまだまだだな。レオンならもっと上手くやっていたはずだ。

 長らくして本戦開始のゴングが鳴った。勝ち抜いた4人が競技場の真ん中に集合した。


『これより本戦開始を宣言いたします。それでは皆さま東側観客席にご注目ください。まず現れますは我らが近衛騎士団団長、『金剛』ヘンドリック・デルプフェルト!』


 銀の鎧を纏った騎士団長は歓声とともに現れ手を振りすぐに椅子に座った。


『次に現れますは宮廷魔法師団団長、『旋風』アイリ・エーヴェルト・ノート!』


 金色の長い髪を持つ同い年か少しだけ年上の女性は静かで無駄のない動作で、歓声など気にせずにスッと椅子に座る。


『そして最後に現れますは、現王にして20年前の戦を勝利に導いた戦王。我らがヴェストフォル王国第24代国王、マグヌス・レオ・ヴェストフォル!』


 歓声、口笛、拍手。会場は一色に包まられ国王マグヌスに視線が注目した。


「本戦を勝ち抜いた者たちよ。この場に登ってきたからには妥協は許さぬ。死力を尽くして戦うといい」


 国王マグヌスはそういうと椅子に座った。

 まず第1回戦は俺とワイルドな女性。お互い握手をして一定の距離を離れた。


『では、試合開始!』


 巨大な銅鑼が鳴り響き試合は開始された。

 女性の剣を一ノ型で軽く往なし、二ノ型でトドメを刺す。つもりだったが斬ったのは幻影。斬られた影は消えていきその背後から木剣の攻撃を仕掛けられた。俺は後ろに体重を移動させ避けきり、ライコウとウィッチクラフトの魔法で加速、女性の後ろを取り剣を首元に添えた。


『勝負あり! 勝者は“双竜”だぁぁ! 双竜としての力を一切使わず勝利! 強者の余裕を見せつける!』


 歓声に俺は手を振り闘技場を去った。


『双竜』が戦っている最中、鎧の男と金髪の女性がこの戦いに注目していた。『双竜』というだけではなく、耳飾りに注目していたのだ。


「なぁ、魔法師団長。あの耳飾り、噂通り六連一刀流のものだったが実際この目で見てどうよ?」


「陛下を挟んで会話とは。少しは口を慎んだらどうですか、騎士団長」


「構わぬ」


 国王マグヌスは一切顔色を変えず平坦に答えた。


「……気にはなりますが、例え彼が六連一刀流であろうと関係ありません。私は私のすべきことをするだけです」


「そう素直になれないとことか俺は嫌いじゃあない」


「私はあなたが嫌いですので正直言うと話しかけないでください」


「そうですか。少しはこっちを向いてほしいものだ」


 第2試合、つまり決勝までの時間は控え室にて目を瞑り心を落ち着かせていた。試合直前に声をかけられパッと目が覚めた時、コンディションが最高であることを感じ取った。

 静かな廊下を歩き、騒がしい闘技場に足を踏み入れると既に相手は中央で不機嫌そうに待っていた。焦ることなく自分のペースで進み中央まで行くと握手をして一定の距離を離れた。


『それでは本戦決勝、勝負、開始ぃぃぃ!』


 相手は合図とともに距離を詰めてきた。何合かやり合ってわかった。先程相手より強いということを。


「『双竜』ともあろう人がこうも防戦一方とは、拍子抜けだな」


 嫌味ったらしく言ってきた。


「そういうお前、1回戦勝ったことに驚いたよ。ヒョロヒョロのお前がどう勝ったのかすごく気になってな」


「生意気だぞ、僕は貴族だ。例え双竜であってもその口の利き方は侮辱に値する」


 身なりがとても整っていたからこだわりかと思っていたが貴族だったとは。


「僕は騎士にならなきゃいけないんだ。だから双竜、君には負けてほしいんだ。貴族である僕の言うことは命令だ。それに双竜が降参すれば多少なりと箔がつくだろうし。さぁ、早く剣を置いてくれ」


 テンプレ貴族だことだ。「おい下民、僕の方が身分上だからさっさと降参してね」ってか。中々言ってくれる。だが簡単に負けてあげるほどバカではない。


「お前が貴族だろうと関係ない。それに俺はこの国の人間じゃないからその命令は適応外だ。残念ながらな」


「僕をバカにしてるのか」


「あぁしてるとも。お前、剣さばきとか足の運びとかちゃんとできてんのに何で正々堂々戦ねぇの? それってさ俺には敵わないからだろ? 俺はそんな戦う前から諦めてる奴に優勝は渡さない」


 一拍を置き、剣を構えた。


「俺は騎士になるとかどうとかは興味ない。騎士なんてのは俺にとっちゃ通過点に過ぎないからだ。俺の目指す場所はただ1つ――」


 ナルカミを呼び雷を纏った。


「マスター・テイマーの座。それだけだ!」


 尋常じゃない速さとともに相手に剣を振るった。相手は腹を抑えながら倒れこみしばらく動かなかった。


『ウィィィーーーーン! “双竜”のタクト。最後まで余裕を見せつけ無傷で優勝!』



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