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パラディン・ベルヴェルク 〜転移した世界で最強を目指す〜  作者: 天月 能【あまつき あたう】
第1章 東国の異形
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1-1.『第一異世界人』

 俺は久米野御縣神社の鳥居に飛び込んだ。その瞬間のことは覚えてない。次に視界に映ったのは青い空と雲。しかしそんな関心する暇もなく、盛大にコケてしまった。


「出てきて初っ端からこんなんとか格好つかないだろ。てか誰かに見られたりは?」


 してないようだ。というより誰もいない。おかしいな。ここはまさか無人島なのか?

 立ち上がり、島の端っこに立った。そこは海の真ん中とかそんなもんじゃない。ここは簡単に言うと浮遊島。よく見ると辺りに沢山ある。


「マジか……」


 そんな言葉しか出てこない。

 浮遊島のお陰ではっきりした。ここはズバリ異世界だ! 俺は異世界に来てしまったのだ。心なしか空気が美味しい。あれだな。異世界特有の時代遅れの文明。機械がないから余計なガスとか環境汚染がほとんどない。

 そんなことはさて置き、まずは降り方を探さねばならない。後ろを振り向けば簡素な造りの建物がある。そこにある門からここにやってきたとみていいだろう。1年前の話だといつ開くかもわからない。それにここに来てからもう1分は経っている以上帰ることはできない。そして降りる方法がどこにも見当たらない。さてどうしようか……。

 絶望しかない。安易に行動した結果がこれだ。建物の中はすっからかん。なんか家具くらい置いとけよ!

 お腹すいた。けれど木の実どころか水もない。建物の中は埃だらけ。地面に寝ても寝心地悪いプラス汚い。おまけに上空だから寒い。日本の季節は夏だ。半袖の法被、一応長ズボンだけど夏用のため風通り抜群。あと手持ちには応援バットとその他応援グッズ諸々。何1つ役に立つものがない。

 もう諦めた。異世界に来て初っ端からバッドエンドなんて思いたくもないがこれが現実だ。マンガとかでハーレムやら最強とかは全部御伽噺だったんだ。


「あっ! やっぱり人がいた!」


 そんな乾ききった心を癒してくれたのは1人の女の子の声。太陽の当たり具合のせいではっきり見えないがまるで女神のようなそんな佇まいに見えた。その子は俺に近づいて来て手を差し伸べてくれた。もちろんそれに応えて手を握り、そして座り込んでいた俺を立ち上がらせてくれた。


「ありがとう」


 俺は開口一番そう言った。


「どういたしまして。何か上の方で光った気がしたから来てみたらまさか人がいるなんてね。どうしてこんな所に?」


 異世界の日本から来た。なんてこと言って通じるだろうか。答えは否だ。この手のモノは基本通じない。


「えっと、極東の島国から来たんだよ。そしたらいきなりこんな所に着いちゃって」


 あながち間違いではない。日本はアジアでは一番東の国で島国だ。困った時の“極東の島国”。便利である。


「極東の島国? それって“アシハラノクニ”のことかな?」


 “アシハラノクニ”。日本には天界(高天原)と死者の世界(黄泉の国)との間、つまり人が住む世界のことを“豊葦原中国とよあしはらのなかつくに”なんて呼ばれる。どこか似ているし、これは俺に近い人種がそこに住んでいる可能性がある。


「そうそう“アシハラノクニ”から来たんだ」


「そっか、かなり遠い所から来たんだね。なんかすごい格好してるけど」


「あぁ、本当の本当に特別な時にしか着ない服だから気にしない方がいいよ。そんなことより君は下から来たんだよね? 降りる方法はあるの?」


「あるよ。ここから飛び降りるだけ」


 はい? 飛び降りろだと? どう見ても遥か上空だぞここは。飛び降りたら確実に死ぬんですけど……


「飛び降りたら死ぬんですけど?」


 思っていたことがそのまま声に出てしまった。


「大丈夫、大丈夫。降りたいなら早く行こ!」


 女の子は俺の手を握り引っ張った。そしてなんの躊躇もなく浮遊島から飛び降りのだ。手を握られてるため俺も同じように落下する。


「うああああぁぁぁぁ!!」


 やばい、やばい、やばい。死ぬってこれ!? 

 俺は何かにしがみ付こうとする素振りをするがもちろん掴むモノはない。けれど身体が勝手にそうしてしまうのだ。


「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……死……ん?」


 あれ? なんか落下スピード遅くなってないか? 


「この真下に落下スピードを遅くしてくれる魔法道具があるんだよ。だから大丈夫。上に上がりたい時はその上でジャンプしたら浮遊島に行けるんだ」


 さいですか……。てか早く言ってくれよ! マジで漏らすとこだったわ。

 落下スピードはさらに遅くなり着地する時にはかなりゆっくりに。そしてやっと俺は異世界の地面に足を踏み入れることができた。


「そういえば名前はなんて言うの? 私はベル」


「拓人。相羽拓人」


「アイバタクトが名前?」


「相羽がファミリーネーム。ファーストネームが拓人」


「じゃタクトって呼ぶね」


 まぶしい。少し田舎娘っぽさはあるがその笑顔は女神みたいだ。

 そんなことよりある情報が手に入った。それは口語だ。普通に会話してる事から口語は日本語、さらに『スピード』や『ファミリーネーム』、『ファーストネーム』が通じるとこを考えると“日本語英語混じり”が正確だろうか。


「これからどうするの?」


 ベルさんが話しかけてきた。


「もし許してくれるならベルさんに付いて行きたいんだ。もちろんベルさんが良ければだけど」


「もっちろんいいよ! 旅は1人より沢山の方が楽しいし。それと、さん付けはやめてほしいなぁ」


「じゃベルって呼ばせてもらうよ。これからよろしく」


「うん、よろしく!」


 あぁなんてまぶしい笑顔なんだ……

 ベルに服装とバックパック、剣を雑貨屋で1本買ってもらい旅をすることになった。

 さらに情報追加。それは“お金”だ。ここでは大陸協定というものがあるらしく、東西南北の各大陸を収める当主様によってかなり前に結ばれたものだ。

 その中にある硬貨について。硬貨は全大陸で共通貨幣を使用。全部で4種類『銅貨、銀貨、金貨、純金貨』の4種類。金貨と純金貨の違いは金の含有量によって価値が変わる。オレンジっぽい果物が銅貨1枚のため日本円と比べた場合およそ100円と少しといったところだ。

 早速今いる町を出て、いざ冒険へ! と格好良く行きたいが現実はそんな生易しいモノではない。

 魔獣が出てくるも全てベルにお任せ。男の威厳もクソもない。俺は木に隠れてエールを送る。


「タクト? 倒したから早く行くよ」


「うっ、うん」


 終始無言だった俺たちだがベルが話しかけてくれた。


「タクトは戦ったことないの?」


「あるわけない」


 そもそも日本は70年以上戦争はしてないんだ。戦争していた世代の孫世代が俺だ。戦いの『た』の字も知らない素人である。


「そっか。そういえば職業は?」


「職業?」


「うん。私はソーサラー、つまり魔法使いなんだけど、その他には使い魔を操るテイマー、武器や防具の生成や鍛錬を行う鍛冶師(スミス)、魔法道具を発明できるメイカー。この4種類あるんだけど、タクトはどれに当てはまるのか気になって」


「俺はまだ何も。というより意外と職業少ないな」


「別に4つ以外の職業はあるよ。例えばテイマーが商人やってもいいし、メイカーが(きこり)やってもいいよ。特に制限はないけどとりあえずこの4つには全員、人であれば当てはまるようになってるんだ」


 なるほど。あくまで仮の4つの職業というわけか。


「まだ職業が決まってないなら次の村か町で申請しようよ。職業さえ決まれば戦いも楽になるし」


「お、おう。その辺については任せるよ。田舎から来たから右も左もわからん」


 こうして俺たちは次の目的地を目指した。



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