第二話〜常識〜
ハロー、クロムです。世界についての常識は、転生で理解しておくべき重要な情報だと思うのです。
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今、オレは三歳だ。魔法教本、この本を読むには三年間もの日数を費やした。自分でも、よくここまで耐えたと賞賛の言葉を送りたい。
それともう一つ。本が読めるようになったので、知っておきたかった情報。この世界についての情報を本を用いて調べた。題名は【世界地理】。もともと本は好きだったので苦痛ではない。ほとんどラノベだが。え、この本は父の書斎から持ってきたんですよ?やだなぁ、勝手にとってなんてないよ。いやマジで。
というわけで、まずこの世界の名前。この世界は【マクリア】と呼ばれているらしい。世界は七つの大陸と幾つかの島からできていて、円形に橋で繋がっている。
一つ目がオレのいる人間界。思いの他大きく、オーストラリア大陸程。人口は三億人程だが、北や南西、南東に様々な秘境がある。
その東に位置するのが、シルフィード帝国と呼ばれ、大きさは日本程度だ。人口もこれまた日本程度で一億ちょいだ。この国は世襲制で、代々シルフィード家が治めてきている……らしい。
その更に東、正確には北東辺りには海人界がある。ここだけは、大陸ではなく幾つもの島が浮かんでできている。つまり、大方は海である。海の名前は【ポセイン海】。多分ポセイドンからだろう。
しかし、ここの伝承は、日本のものとかなり類似している。西洋風の文化っぽいのに、何故か和風な物もあるし……。
海人界の北、そこに幻人界がある。幻といっても会えないなどということはなく、長耳族や妖精族といった幻想的な種族が居住しているからである。
そんな幻人界の西。そして帝国の北に位置するのが魔界。とても広大な土地は現実のユーラシア大陸程あり、魔界の全てを見たという者は未だいないらしい。
また、大陸の中で一番広いのが魔界である。魔物も強力な個体が多いらしい。
帝国からの縦断は橋が架かっていないため出来ない。理由はある大陸にある。が、まずは話を進める。
魔界の西、そして人界の北にあるのは獣人界。大きさは人界と同程度で、人口は3億と5000万と人界よりは多い。獣人と人間には確執……?のようなものがあるらしい。まあ、王道な話ではある。所謂、奴隷にするされるの話とかもあるらしい。
そして【マクリア】の上空に広がると伝えられる大陸が天界。散らばる雲の更に上にこれまた散らばって存在している大陸だ。合計すれば魔界にも劣らぬ面積となるだろう。多分……。
気付いただろうか?今まで出た大陸は六つ。最初に提示したのは七つだ。海人界は含んでないぞ。大陸ではないからな。あと一つだ。
それが、伝承のみの存在、龍界だ。一応、竜人というカテゴリーは獣人族として認識されているが、この龍界は集落が点在し、一つの集落に100もの龍がいるとされる。
竜と龍、そこにはやはり圧倒的な力の差が存在するのだろうか……。
この龍界は人界、帝国、海人界、幻人界、魔界、獣人界の円形の中に、囲まれるように存在していると言われている。大きさや人口とかは不明だ。
魔界と帝国を繋げないのは、この大陸がある、という伝承がある。ということが重要となるのだ。
そんな伝承が広まるということは、それなりに大陸があってもおかしくないレベルのスペースはある。ということになる。そんな距離を橋で繋げる訳が無い。それこそ龍界と呼ばれる大陸でも無ければ。
あとは種族だが、大体は人族や魔族、獣人族などと大陸の界名からとっている。まあ、他にもいるが今は置いておこう。
次は、人界についての話だ。他の大陸についての細かい情報は一切無かった。ここは人界だからか?
本によると、今オレが住んでいるのは人界の南東の端。人界の6〜7分の1を占めている【へスケティア大草原】と呼ばれる広大な草原だ。貴族とかではないとは思うな、こんな辺境だし。
そしてこの広大な草原の地下には、【へスケティア地下迷宮】なるものが存在している。この迷宮は途轍もない広さで、ここから凄く離れた中央都市【サルタン】からも出入りできる程。具体的には大阪-東京間位の距離。
そして、その【サルタン】には、冒険者ギルドというものがあるらしい。
……冒険、憧れる。しかし、登録は成人からであった。この世界の成人は12歳。そしてオレは4歳。あと8年である。ついでに言うとこの世界の人族の寿命は90〜100歳。
この世界の一年は日本と同じ12ヶ月だった。違うのは全ての月が30日。週の概念は無く、四季はある。気候も同じ感じで、そこは簡単に適応できた。
四季、これも春夏秋冬と呼ぶことはなく、日本でいえば、春はプリマ、夏はエスター、秋はアウドゥル、冬がインヴェルと言われる。
言い方は、プリマ1の月とかだ。これなら、春の最初で日本で言う3月となる。
勿論、ギルド以外も建物は多いのだが、割愛。
そして、【サルタン】のすぐ南には、小都市【クレア】がある。【サルタン】が大都市で、上級貴族などの領分だと言うなら、【クレア】は下級貴族などや、平民も住むという感じらしい。ちなみに大体の平民はオレみたいにこの草原に住む。
他にも、幾つか街があり、中には中立都市という様々な種族を受け入れるというところもあった。
南東には渓谷がある。【ヘルメッシ渓谷】といわれ、ここにも集落は存在する。渓谷の底には巨大な魔物がいるらしいが、それならなんで住むんだと言いたい。
迷宮には、なんでも強力な結界のようなものが張られているらしく、外まで魔物はでてくることはないらしい。
結界って……相当危険なんですね、魔物って。
なんでも、獣が謎の変異を起こして生まれたらしい。
そして、北全域には、火山が広がっている。名前は【フレイン火山】。幾つも連なる火山は、何でも百年程前に一斉に噴火して、大騒ぎになったらしい。
そんな火山には今、火龍が住み着いているという噂が流れている。使用人が噂してるのを聞いた。
……あれ、オレかなりの富裕層じゃね?
使用人って、平民は持たんでしょう。金とか権力に溺れて死ぬ、とか嫌だし自分はきちんと努力しよう。そうだ、そうしよう。
とりあえず目標
①後悔しない様に努力。
うし、心のメモに書き込んだ。
そうそう、五歳になったら魔法の適性属性を調べるらしい。特製の魔道具とやらがあるんだと。
魔道具。それは、魔力を込めることで使えるもので、今回の場合は込められた魔力の力、質から適性属性を導き出すというもの。
この魔道具、別系統に魔法具というものがある。名前は似ているが、こちらは道具に元から魔力が充填されていて、その魔力で使用できる。再充填は自分の魔力を入れるか、お金を払って入れてもらうか、自動回復を待つか、の三択だ。(大体丸一日で全回復するらしい。)
魔道具は魔力さえあれば使えるコスパのいいもの。
魔法具は反対に魔力が無くても使える便利アイテム。
といっても魔力が無いのは獣人族や稀に産まれる無魔力者位だ。
どちらにもメリットはあるので値は張る。それこそ効果のいいものは凄い値段らしい。
この世界のお金は
大金貨………100000円
金貨…………10000円
大銀貨………5000円
銀貨…………1000円
大銅貨………500円
銅貨…………100円
鉱貨…………10円
石貨…………1円
という風になっている。右の数字は日本での大体の価値。
その適性属性の調査に使うという魔道具は金貨3枚は下らない物らしい。
やっぱ富裕層だよな……オレ。
こういう知識は【生きていく上で知るべき常識】という本で覚えた。
他にも、【魔物全集】とか、【実践式、算術書】という様な本まで、沢山あってどれを読ませて貰うか凄く迷った。
本当だぞ。適当に言ってたりはしてないからな。
そうして、明日は魔法を使ってみるかな、などと考えている内にオレは眠りについたのだった。