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転生紀行  作者: ◎詩友◎
第一章〜幼少期〜
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第一話 〜異世界転生〜

 起きると、見知らぬ天井がそこにはあった。ふざけてはいない、大真面目だ。だが、その後に続いた光景は正にふざけていた。


 ぼんやりとだが何かが見える。

 別にオレは目に障害を持っているということもない。なのにぼんやりと、だ。


 ザワザワと騒ぐ声が聞こえる。ここは、オレの部屋ではないのだろうか。ヒキニートなので、わざわざこんな所に来るようなやる気は持ち合わせていない。


 見知らぬ天井ということは、オレの部屋ではないことは確定だろう。そういえば、倒れた覚えがある。なるほど、ここは病院か。あんな親達でもそれくらいの常識はあったか。


 ふと、周りを見渡すと2人の男女がいた。見慣れたあの両親の顔ではない?オレの見舞いになんて親が来るかすら危ういのにか?

 何よりその2人は両親より若く見える。笑っているな、何か喋ってる。聞き取れない、というより知らない言語だ。日本語や英語じゃないぞ。


 オレは自分の知識を総動員して今の事態を探る。

 気づくと知らない場所で、知らない人がいて、知らない言語を話している。そうか、転生をしたのか!


 …なんて思うほどオレも廃人ではない。まずは、確証を得たい。今はどういう状況なのだろうか。オレは寝転んでいたベッドにグッと力を入れて起き上が…れない?というか思ったように力が入らないな。


 すると2人組の内、女の方がオレを抱きかかえる。視線が急にブレて顔が、半ば強制的に女性の胸に埋まる。違うんです。わざとじゃないんです。お願い、起訴しないで!


 え…抱きかかえる?いや、一応しかるべき時のためとかいって、○マゾンで買ったランニングマシーンで太らないようにはしてたけど、それでも、25歳だぞ?


 双丘の感触が勿体なかったが、確認のため埋まっていた顔を引き戻し、自分の身体を見る。

 身長は明らかに小さく、手足までの感覚も短い。極めつけは、華奢な女性がオレをいとも簡単に抱えることができていることだ。


 つまりオレは、マジで転生したみたいだ。


 ーーーーーーーーー


 現実味のないまま時間は過ぎ去っていった。今、オレは既に生後一年の身だ。子供の頃は時間の流れが遅く感じるとか言った奴、誰だよ。超早かったわ。


 というわけで、この一年間で分かったことを報告しておこう。


 まず、転生は転生でも異世界への転生だ。オタクなら、否、男なら誰でも考えてしまうロマンだろう。


 次に、オレの名前と、言葉だ。名前は多分、クロム。なんとなくだが分かるのだ。

 これも、適応力というものなのだろうか。言語は、そんな風に言葉を聴いていたら同じようになんとなく分かる。さらに、文字も分かるようになってきた、こちらもなんとなくではあるが。


 そして一番の大発見がある。文字が読めるということは、必然的に本も読もうと思えば読めるだろう。なのでオレはここで異世界転生の基本、情報収集を本によって行ったのだ。具体的には、文字を覚えて間もないので2冊しか読んでいないのだが。


 題名は「動いて覚える、実戦型武術」と、「魔法教本、初級」の二冊だ。何が言いたいか分かるだろう?

 そう、魔法だ。武術の方も日本なんかじゃ珍しいが、魔法に関しては格が違うだろう。何しろ火とか水をポンとだせたり、合法的に女子のスカートをめくれるのだから。


 フフフ、最高じゃないか異世界。異世界最高!魔法最高!


 …という冗談はさておき。いや、あながち冗談でもないのだが、魔法である。最高ではないか。


 なんとなーくで解読できたのは少し。最初の触りの部分のみである。しかも、書かれていた内容というよりも断片的な文章、火とか水が基本となるとかだ。この世界でも基本なんだな。


 この本によると世界の基盤は、四属性。火や水、風とか土で作られている。

 それ以外にも二つ、暗黒を司る闇属性。光を司る聖属性だ。この六属性で世界は成り立っているらしい。


 それと、人には適性属性が存在する。これは、どれが得意でどれが苦手かを表す。勿論、適性属性の魔法を使おうものなら、その魔法は強くなるし、逆もまた然りだ。


 というのも、属性には相性がある。水が火に強いとかそういうやつだ。しかし、驚いたことにこの世界では、火は水に、水は土に、土は風に、風は火に、そして、聖と闇はお互いに、相性が良い。


 水が適性属性なら、水属性と相性が悪い火属性の魔法は使うのが難しく、威力も弱くなる。

 その適性が複数あることもあり、それが火と水だ。とかならさっきのデメリットは無くなるらしい。

 ちなみにオレは全属性適性の予定。たぶん。


 一つ一つの属性を説明すると、火は、世界に力と温度を与える。水は、世界に永遠と繁栄を与える。風は、世界に音と知識を与える。土は、世界に命と心を与える。そして、聖は世界に安らぎと光を、闇は、世界に生と死を与える。


 特殊なものとして、聖属性は生命を癒す治癒魔法、人々を救う結界魔法、光を操る明度調節が使える。闇は、生命を生みだす召喚魔法や、それこそ禁忌とされる魂への操作ができる…らしい。


 そして、魔法を使うためには魔力が必要だ。これは、総量が人それぞれらしい。なので、測る方法があるらしいのだが…。そこまでは分からなかった。解読はここまでが限界である。


 つまり魔法はお預けだな。魔力の総量も分からない。何より使い方が分からないのだ。できるはずもない。


 そしてオレがこの本を解読できるようになったのは、オレが三歳になったころだった。

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