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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

せい、よくしこうていし

生、欲思考停止【仮】

作者: RYUITI

 ――――廃墟と化したビルの中で、

俺らは互いを屠り合う事が出来る事に感謝した。

けど、それすら今の俺には、

もうわからないのかもしれない。



 「やっと、テメエを消せると思うと本当にゾクゾクするよゲスが 」

オレは、目の前の腐れ野郎にそう言い放って――ネイチャーを起動する。

ネイチャー、コクシン。

能力番号0にして、

どんな物も貫き灰にする世界を破壊する事を具現化させたような力だ。

さあ、どうする。


今オレとヤツの周りを囲むのは漆黒がそのまま鋭さを持ったような針。


対峙するヤツは君の悪い笑顔を浮かべて狂ったように笑う。

「ケヒヒヒヒヒヒヒ!!! アア愛しい俺のオオオオオオ」そう、こんな風に。

ヤツはオレの眼をジッと見て右手を上げているだけ。

それなら――今、やればもう終わる。

終わらせる事が出来る。


オレはヤツに一言、「なあお前、もう終わりだ 」

そう声をかけて針を射出した。


【カチリ】


視界が揺れる……何が。


唐突に、

だけど確実に。

心臓の代わりにオレの胸の中で時を刻む時計の針が、

静かに巻き戻る。





異常者である人間が、

中間的要素を内包する通常精神者を経て正常者に戻るためには、

ソレ相応のきっかけになる欠片か状況が必要らしい。

それを俺は、山に住む黒い鶏に訊いた。

それだけじゃない、色々な話も聞いたし、

その話だって別に訊きたくて聞いた訳じゃない。

唯、その黒い鶏がしつこく俺に言ってきただけ。


いつ聞いたかはもう忘れた。

他に何を言っていたかももう覚えてない。


それでも黒い鶏は去り際、


「生き抜け」と

そう確かに言ったんだ。

薄汚れた世界でしか生きれず、

虚しくなって山小屋に住んでいたこの俺に。



だから俺は生き抜かなきゃいけない。



【俺を囲み迫り来る黒い針によって訪れる死は後数秒後。 】


俺を元に戻すために。


「俺ハ、マダシネナイイイィ」



【バキバキと身体が壊れる音がする。

それでも俺はこの痛みの先へ行かなければ行けない。】



黒い針が異常者を貫こうとした瞬間、

その行為は白い針によって阻まれた。


人影一号が独り言を言う。

「防いだのはネイチャー、コクシン。

いや、ハクシンとでも言うべきか」


「どちらにせよ防がれた通常精神者は、

ココで☆リタイアさ」

そう返したのは人影二号。


【白い針に防がれた黒い針は溶ける様に消えていった。】


通常精神者が呆然と立ち尽くしているというのに、

異常者はゆっくりと近づいて行く。

「おいおいおいおい!!

待ってくれよなんで俺がヤツに負けなきゃいけねえんだよ!!!

ありえねえありえねえアリエネ――」


「シンパイするな」


【黒い針の持ち主を、白の針が貫いた。】


白の針は薄れて消える。

立ち尽くす独りの男の回りに、

声が響いてくる。


「おっふぉ☆おめでとう久瀬菜ともよクン」

この声は人影二号

「君は現時点をもって、」

人影一号、

「正常者ダ☆」

人影二号。


久瀬菜と呼ばれた男は、

顔を上げて人影を強く睨み、

人影の周りには黒い針が無数に浮いている。


「やっとここまで来れたからな。

何度と無く死んだ俺の人生、

全部倍返しさせてもらうぞ。 」


そう強く言葉にした男の耳に、

コツコツとヒール靴の音が響いて。


「よう、青年!

二人で遊びに来たぞーッ」


そう口に出したのは、

紅ドレスの若い女生、肩に乗るのは一匹の黒い鴉で。


「何故、神がこの場所にいるのか。」

人影一号。

「ボクにだってわかんね☆


でも、二人が戦うって言うならボクは大歓ゲイさ☆」

人影二号。


紅ドレスは久瀬菜に向かって走り出し振るう。

手には銀と緑色に染まった一本の大剣。


一方久瀬菜は、

振るわれた衝撃を黒い針を固めて受け止める。


一人は何処か楽しそうで、

もう一人は何処か戸惑いを隠せない。


終わったのは一つの戦い。


これから始まるのは各々が正常者に戻るための戦い。



さあ、各々よ戦え。





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