Healing
フィリアの示した木へと近づくと、確かにその根本にはエメラルドが埋め込まれていた。
「うーん、完全に嵌まってるみたいだね。
どうやって取ろう。
剣で傷つける訳にも、いかないよね?」
エメラルドを取ろうとしたルークが、チラリとフィリアを窺う。
「でも、このままにしていてもこの子は苦しむのよね。
……剣で無理矢理にでもとった方がいいわ」
「いいのか?」
「大丈夫、木はとっても強いのよ?
これくらい何ともないわ」
にっこりと笑うと、ルークを促す。
ルークは頷いて、剣をとった。
慎重に、エメラルドの周りに剣を浅く刺すと、そのまま梃子の要領で取り出す。
ポロリと、案外呆気なくエメラルドは木から外れた。
知らず知らずに詰めていた息を、吐き出す。
ルークは地面に転がり落ちたエメラルドをとると、後ろの二人に差し出した。
「これに触れれば傷が治るかもしれない。
エメラルドには癒しの力があるって言うしね」
「私はそこまで怪我してないし、バルドが先に治した方がいいわ。
前の傷も完璧に癒えた訳じゃないし」
フィリアは譲り、バルドがまずエメラルドを受け取った。
「…確かに、体が温かくなって何かに包まれている感覚があるな」
「すごい、傷がふさがってきてるわ」
興味津々にフィリアがバルドの治りつつある傷を覗きこむ。
「…あのさ、フィリア」
「?」
そんな彼女に、ルークが躊躇うように声をかけた。
「その……」
「ルーク、その話はフィリアの傷を癒してからでもいいんじゃないか?」
「あ、そうだね」
「何よ、気になるじゃない」
逸る気持ちをバルドに見透かされ、ルークが黙る。
しかしフィリアは不満そうだ。
「まあ、すぐに聞ける話だ。
ほら、俺はもう治ったからお前の番だぞ」
「……まあいいけど。
絶対話してよね!」
そう言ってエメラルドを受け取ったフィリアの視界は。
次の瞬間、真っ黒に塗り潰された。




