弱い人間
どうして人間は、勉強しなくてはならないのだろう、と、僕は毎日考えていた。
勉強だけではない。この世界にある、様々な身に付けるべきもの。
面倒なだけで、自分の為になっているとは、僕には思えないのだ。
僕みたいな考えて方は周りから見れば、ぶっ飛んでいて、普通じゃないだろう。
でも僕はそう考えるのだ。
面倒くさいだけで、意味がない、と。
生きていくことも。
生きていることも。
何故人間は生きているのだろう、と、人々は考えないのだろうか?
僕はもう疲れた。
今まで15年間生きて来て、まだ先に15年以上人生が続くと思うと、お先真っ暗だ……。
たった15年でこんなに疲れているのに、僕はまだ生きないといけないのか。
嫌だ──。
僕には、出来ない。
このまま、ずっと生きて行くなんて、辛くてしんどくて、苦しい。
だから、
僕は逃げ出した──。
自殺と言うそれを、何度も繰り返し、僕は逃げ出そうとした。
死ねば逃げられると思っていた。
いや、まだ思っている。
だから僕は死にたい。
──逃げたい。
でも、逃げられなかった。
何度も自殺を試みた。
でも、全てが、無意味だった。
無駄だった。
未遂に終わった。
僕は逃げられなかった。
──僕が自殺に使用したのは、睡眠薬。一番手軽だと思ったからだ。
いや、手軽だったからではない。
苦しんだり、辛かったり、しんどい。
そんな死に方はしたくなかったからだ。
僕は、弱くて、狭い。
臆病と言った方がいいかも知れない。
掛かり付けの医者から処方された睡眠薬(小さい頃は体が弱く、寝付けないことが多かったため)。
大量に飲み込み、眠るように倒れる、記憶があるのは毎回そこまでである。
次に目覚めることになる場所は、病院のベッドの上。
────僕はまた、失敗したようだ。
「失敗……したんだ」
ふわりと意識が浮上し、見馴れた病室の天井をぼんやりと見つめていた。
起き上がろうとして、腕に刺さる点滴に気付き、大人しく横になった。
またぼんやりと天井を見つめがら、考える。
何度目だろうか、いや幾度と言った方が正しいのか。
そんなことも分からない。
それほど、僕は馬鹿なのだ。
否、馬鹿であり、弱いのである……。
そう、僕は嫌な事から目を反らし、逃げ続けて生きて来た。
時に生死をさ迷いながら、それでも僕は。
逃げて、逃げて。
まだ逃げようとしている。
──弱い。
僕は弱い人間だ……。
一度でも逃げ出した人間は、ずっと逃げ続けて、弱いままに、それでもずっと逃げ続ける。
だから。だからこそ。
弱い人間は僕だけでいい。
他の人は誰も、弱くならなくていい。
僕が強くなれるまでは。
.