表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/10

神さま、振り返る。

 まるではしゃぎ回る子一人と、その後ろを、温かい目で見守る、親のような距離感を保ちながら着いて行く。






 約五km圏内は気配探知で探したのだが、集落の類は見付からなかった。

 だが話を聞く分には、さほど離れていないらしい。


 カノンと二人、首を傾げた。



 しかしこの子がウソを吐く理由がない。

 セリアと名乗った子に、村まで案内を頼んだ。



 下ろして暫くは機械仕掛けの人形のようにカクカクとした動きで歩いていた。


 しかし俺達と距離が離れて以降、その足取りは軽く、跳ねるように移動している。


 魔物に襲われたショックが、大きかったのだろう。

 本来の彼女は、天真爛漫が売りのお転婆さんに違いない。



 もしくは……


 失禁を指摘した後も、度々赤面していたよな……



 ははぁん。

 カノンに、一目惚れでもしたかな。



 その年齢差、実に三〇〇歳。


 なかなかに、前途多難な恋心だ。



 コイツはデカイし、黒目が小さく目付きが悪い。

 子供ウケしない外見だと思っていたが……


 笑った時にチラリと見える八重歯によるあどけなさの、ギャップに萌え、ヌマに落ちたかな。



「……おい、なんだ、アークとは。

 それに、あの薄気味悪い口調はなんなのだ」


 ジーッと見上げていたら、カノンにツッコミを喰らった。


 ホント、箸でも挟めそうな程に深い眉間のシワだこと。



「え〜?

 前名乗ってた名前(ジューダス)は、指名手配されている可能性があるじゃん??

 なら、別の名前にしておいた方が良いかなって。


 本名名乗るワケにはいかないし。

 せっかく髪もまた染めたしね。


 口調は……ほら、‘’精霊の使者‘’って立場を使うなら、品行方正にしておいた方が良いでしょ???」


「本当に、神様に喧嘩を売るのか?」


「もち」


 ピースサインで肯定したら、コメカミを手で抑えて黙り込んでしまった。


 一度やると決めたのだから、いい加減腹を括ってほしいものだ。






 俺はこの世界から見た時に‘’異世界‘’とされる、‘’地球‘’からやって来た。

 天の川銀河にある、太陽系第三惑星だ。



 そこは度重なる戦争と、それに伴う環境汚染によって、オゾン層は破壊され海が干上がり、死の惑星と化していた。


 避難所、と言うにはかなり大規模な設備を有していた、Zion's Observatory Organization――略して‘’ZOO‘’や‘’動物園‘’、もしくは‘’施設‘’と呼ばれる場所に、辛うじて生き残った多数の人類が避難をした。



 宇宙線による影響なのか、人類の進化の結果なのか。


 ソコで突発的に、人々は超能力や魔法のような「スキル」が使えるようになった。


 フィクションの世界で描かれた通りに、水を生み、風を操り、土を豊かにし、火を熾す。

 そんな力だ。



 「スキル」のおかげで人類は、徐々に、ゆっくりと衰退しながらも、特定の遺伝子が「スキル」の発現に関わる事を突き止めた。


 そして強力な「スキル」を有する、新人類を生み出す事に成功した。



 それと同時に、一定の条件を満たせば、他人から「スキル」を奪う事も可能だと突き止めた。


 様々な「スキル」を一人の人間に集約させ、人工的な神を造り出し、かつての地球の姿に戻そうとする計画が立ち上がる。


 それが‘’地球再生計画‘’だ。



 その神様役として、俺は造られた。



 そして「スキル」を奪う条件として必要だったため、沢山の友人達を殺めた。



 地球のために死んでくれ、なんて言われて「ハイ、喜んで〜!」なんて言える人は、早々いない。


 しかも、非人道的な事だ。

 当然のように、計画の反対派もいた。



 邪魔をする人達をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。


 お役目を果たすため、沢山の人達から奪った分と、自分の全生命エネルギーを使い果たし、俺は、地球で死んだ。


 享年十五歳。

 早過ぎる死である。



 それと同時に、地球は青々とした海が太陽の光を浴びて輝く、肥沃な大地と多種多様な生物に溢れる、楽園のような惑星の姿を取り戻した。

 その、ハズだった。



 だが、俺を含めた多数の犠牲者が出たにも関わらず、ソレは叶わなかった。


 俺の力が足りなかった。

 ……からではない。



 この異世界の神とやらが、犯人だ。


 自分の世界を完全なものにするためとかいう、ふざけた自分勝手な理由で、地球から何もかも、全て奪ってこの異世界と融合させてしまったのだ。



 文字通り、地球は丸ごと異世界に招かれた。


 なので地球にいた俺の大切な人々も含めた全人類が、この異世界に来る事となった。



 その結果、地球からの移民者は、前時代的な暮らしをしていた現地の人々に受け入れて貰うため、知恵を授けた。

 「スキル」を使い土地を開拓し、人々の生活を豊かにした。


 現地民から地球人(エルフ)と呼ばれ、世界の発展に尽力をしたのだ。



 そのため、この世界の共通言語は日本語になる。


 施設で使われていた言語は、施設所在地である日本の言葉と、世界共通語の英語の二種類がメインだ。

 現地民に受け入れられたのが、日本語の響きだったのかな。






 なぜ異世界に施設ごと飛ばされたのか、地球人(エルフ)達は知る由もない。


 だがその直前に俺が暗躍していた事は、皆知っていた。

 連続する殺人事件の犯人が俺である事も、俺の死後、明るみになった事だろう。


 全ての不幸の元凶は、俺に違いない。

 そう流布して回る人がいたようだ。



 俺の容姿は、目立つ。

 元の髪色が独特で、銀髪に近い青色がベースなのだが、光が当たると虹色に輝く。

 目は金に近い薄い飴のような色をしている。


 そして素行も悪かった。



 子供に寝る前に語る、教訓を織り交ぜた物語の中の悪役として、コレ程適した人物はいない。


 悪い子は鬼に食べられちゃうぞ〜ってノリだよね。


 俺が死んだ時の描写も、ハッキリと後世に残されている。



 容姿にプラスして、首に切創、左手のひらに銃創。

 そして心臓の刺傷によって死んだと、語り継がれているのだ。



 施設を混乱に陥れた悪者を打ち倒し、更にこの世界のいざこざも解決した英雄達。


 ソレと対比するように、俺はこの異世界で‘’魔王‘’として世界中で知られている。


 ‘’三英雄と魔王の物語‘’として。



 今でも、余程凶悪な犯罪を犯すと、英雄譚に倣って、髪を真っ青に染められ、首・手のひら・心臓を串刺しにされて磔にされるそうだよ。


 野蛮だね。






 そんなワケで、俺は本名も名乗れないし、見た目も誤魔化さないと、この世界では生きていけないのだ。


 お陰で真夏でもハイネックの服を着て、手袋を常に装着しなければならない。



 髪色は染めている。

 目はどうにもならない。


 一応、認識阻害が掛かるような装備品は身に付けているけれど。



 どこまで有効なのか、鏡を見ても分からないので、効果はイマイチ実感出来ない。


 なんか、ムダに凝視される事が多いし。

 賢者様と世界中で名の知られている、カノンにやり方を聞いて付与をしたのだけれど。


 ムダに目立つ容姿のせいで、あまり効果が無いのかな。

 残念だ。






 カノンは、地球人(エルフ)の純血だ。


 何故か殺された時の状態のままこの世界に転移した、怪しさプンプンな俺を拾って、介抱してくれた。



 彼は俺の正体も、地球で起こった事の裏事情も知っている。


 魔王を殺した三英雄のうちの二人、基未(モトミ)(テツ)の子供だからだ。



 同年代だった幼馴染の二人が、いつのまにかくっついて子供をこさえていたとか、その事実を知った時には軽くショックを受けたよ。


 お前らずっと、見ていてもどかしい両片思いをしていたじゃないか!

 どうせ夫婦になるなら、俺が生きている間にくっついてくれよ!!



 そう血涙を流しながら叫びたくはなるが、俺が転移して来た時期と、地球人(エルフ)達の転移時期は、何故かかなりズレがある。


 俺がこの世界で目を覚ました時には、既に二人は亡くなっていた。



 そしてその子供であるカノンは、既に御歳二八六歳だ。


 すんげぇジジイだけど、見た目は二十代中頃って所かな。


 どんなアンチエイジングをすれば、こんなツヤツヤピチピチでいられるのか。



 地球人(エルフ)は全体的に見た目が若く、長命だそうだよ。

 事実、(テツ)の実弟も既に四〇〇歳を超えているが、四十代にしか見えない。



 ソレ等はこの世界に住む、精霊達の恩恵が原因だと言われている。



 その説もあながち間違いではないのだが、この世界――シャンバラを取り巻く‘’霊力‘’によるものだと考えられる。






 霊力とは、精霊の力を借りるために使われたり、世界を悪しき存在――動植物の代わりのように生息している魔物や、精霊と敵対している燼霊(じんれい)から護るために使われていたりする、不思議なエネルギーの事だ。



 使用する霊力が多ければ多い程、強力な精霊術が使えるようになる。


 雨を振らせたり竜巻を起こしたり、地面を隆起させたりマグマを鎮めたり。

 色々使いようがある。



 精霊にやりたい事を明確に伝えるための想像力と、その想像した事を実現させられるだけの霊力があれば、文字通り、なんでも出来るのが精霊術である。



 俺の「スキル」に、性質が似ている。


 俺の「スキル」名は「万物創造」。

 もしくは、とある宗教の神様から文字って「ブラフマー」と呼ばれていたものだ。


 創造力と、ソレを形にするための生命エネルギーさえあれば、何でも出来るとされた。


 だから‘’地球再生計画‘’なんて夢物語のような事を実行する事になったのだ。



 だが人一人が持って生まれた生命エネルギー量なんて、たかが知れている。


 また、‘’地球再生計画‘’が失敗したら、目も当てられない。



 そのための補助として、汎用スキルと呼ばれたありふれた、「地」・「水」・「火」・「風」それぞれの「スキル」の中でも、最も強力なスキルの持ち主を殺し、その全てのエネルギーと、スキルそのものを奪った。



 俺と同じく神の名前を冠せられた「絶対再生/ヴィシュヌ」・「完全破壊/シヴァ」のスキルを持っていた人達は、とても大切な人達だったから……どうしても、殺せなかった。


 イヤ、直接手に掛けた人達、皆大切だったよ。

 だけど、その三人は俺にとって、それ以上にかけがえの無い存在だったのだ。



 汎用スキルを最後に奪った「地のスキル」の犠牲者が、殺さなくても「スキル」を奪える方法を教えてくれた。

 そのお陰で、殺す理由は無くなった。



 だから「再生」持ちの、カノンの両親である基未(モトミ)(テツ)は、生き残る事が出来た。

 実力的に、俺の方が強かったからね。


 「破壊」の彼は……どうだろうな。

 事実、苦戦は強いられた。



 非常に難しい方法だったから。

 正直、殺す方が楽だとすら思えた。



 だが何としても生かしたかった。


 だから悪役を演じた。

 ‘’血肉の交換‘’という条件を満たすために。



 なのだが……






『――また、難しいことを考えてるのかい?』


 脳内に直接言葉が響く。


 最強の「地のスキル」の持ち主だった、殺さなくても「スキル」を奪う方法を教えてくれた、(モトイ)の転生体である、地の精霊神・琥珀(こはく)の声だ。



 彼も含め、俺が殺めた人達は皆、この世界で精霊として転生していた。


 コレも、この世界の神の仕業だ。



 良いようにコキ使われているらしい。

 なかなかの激務なようだが、部下である下位の精霊達に任せられる所は任せているようで、結構俺の所に顔を出して来る。



 地の精霊神・琥珀(こはく)


 水の精霊神・浅葱(あさぎ)


 火の精霊神・ 紅曜(こうよう)


 風の精霊神・颯茉(そうま)


 光の精霊神・稜霓(ろうげつ)


 それとパワーアップをするための名付けがされていない、闇の精霊(テネブラエ)時の精霊(クロノス)


 元燼霊(じんれい)で、精霊に生まれ変わってまだ日が浅く、強化するには時期尚早と判断された氷の精霊(スティーリア)元素の精霊(エレミエント)



 皆、前世において、地球で俺と深く関わりのあった人達だ。



 そんな彼等もまた、この世界の神の被害者と言って良いだろう。



 行動は制限され、発言までも縛られている。


 この世界のために、日夜年中無休で馬車馬のように働いていると言うのに。






 最初は、彼等へ罪滅ぼしをするための旅だった。


 しかし諸々の事情を知った今、彼等を神から解放するため。

 また彼等や俺の死を以て復活させようとした地球を横取りした神へ報復をし、世界を取り戻すための旅となっている。



 そしてこの世界は、今俺達がいるシャンバラと、もうひとつ、ニブルヘイムと呼ばれるふたつの世界から構成されている。



 ニブルヘイムは、精霊と敵対している燼霊(じんれい)や、シャンバラよりも凶悪な魔物が数多く生息している、瘴気と魔力に満ちた世界だ。



 正直、ソッチの世界は毒が蔓延しているような世界だ。

 要らんと言ってしまいたい。


 しかし今は閉ざされているニブルヘイムへの扉は、いつ開くか分からない。


 危険な生物が跋扈しているのだ。

 無害化しておくべきだろう。



 それにニブルヘイムも含めて、この世界なのだ。


 一方的に理不尽に奪われたものに対して、利息も払って貰って取り戻すのは、被害者側の当然の権利じゃない?



 燼霊(じんれい)には、かつて俺の大切な人の筆頭だった、「破壊」の持ち主だった人物もいる。


 氷の精霊(スティーリア)元素の精霊(エレミエント)のように、精霊に転生させられるなら、その方が心穏やかに過ごせるだろう。



 探し物も、ニブルヘイムにあるかもしれない。



 様々な事情が織り交ざっている旅ではあるが、‘’いのちだいじに‘’をモットーに、楽しみながら足を進めている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ