リュウドウが見ている【アウラ】に潜入!①
入ってすぐ、エッチングは『ぎゃああ!』と悲鳴を上げた。
『やっぱりAIが入っている!』
そう言ってエッチングの声は消えて、何やら大量のウィンドウが出てきた。何やら真っ黒だったり真っ赤なウィンドウもあって、何にも知らない自分から見てみると何やらヤバい感じだ。
『エッチングは何やってんの? トウマ』
『多分、【アウラ】の設定を変えているんだと思う。僕が見た限り、この空間は後付けのオプションがたくさんつけられているね。しかも赤の他人が付けた物だから、製作者から見たら無断で改造されたって感じだろうね』
『改悪されてるって感じかな?』
トウマは『そうだねー』と答えると、エッチングがスルッと目の前にやってきた。やれやれって感じの表情だが、おどけたピエロの顔なので大変なのかがよく分からない。
あと、エッチングは紙のようにペラペラだ。
『誰かがAIをつけたので面倒な設定になってしまいましたが、とりあえずリュウドウさんをお迎えできる空間が出来ました』
そう言うとパッと真っ白い空間から木材の柔らかな床、黒板、片側は窓、もう片側は習字の作品、そして机が五列に並んでいる。学校の教室みたいな感じだ。
エッチングはどこにいるんだろうと思っていると、黒板に落書きっぽく犬が書かれて『僕はここ』と言った。
『エッチングって、なんで落書きとかみたいな感じなの?』
『君たちみたいに3Dのアバターもいいけど、僕は絵画とか漫画とかが好きなのさ。と言うか、そう言った世界に入りたくて電脳の勉強をしたからね』
『ふうん』
するとガラッと真っ黒な人型のアバターが教室に入ってきた。何だかホラーに居そうな感じで、この空間では異質な感じだ。
「あ? ユウゴ?」
『あれ? この声はリュウドウか』
どうやら真っ黒なアバターはリュウドウのようだ。するとトウマが『なんてつまらないアバターなんだ!』と言って、出てきた。
そしてリュウドウの真っ黒なアバターをくるくる回ると、茶色のビンに俺と同じカートゥーンの手足が生えた。どうやらリュウドウが大好きな酒瓶のアバターを作ったようだ。
アバターが出来上がるとエッチングは『いや、早い上にうまいな』と呟いた。そう、トウマはアバターを作るのが早いし上手いしアイデアが豊富なのだ。
「なんかよく分からねえけど、無理やり電脳空間に入れられちまった。アクアリウム・クオリアの指示か? ユウゴ」
少々いちゃもんをつけるような言い方でリュウドウは言うが、すぐに『いえ、違います』とエッチングはすぐに否定をします。
『今回、リュウドウさんとスダチさんを捕まえたのは警察の方です。色々とありましてユウゴさんに協力をお願いしました』
『ふうん。まあ、いいや。で、あんたは何者?』
『申し遅れました。コセンスイ所属の者です』




