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世界的名画復元展


 オオツが下手に出て協力をお願いした後、すぐにヘッドフォンの耳あての所を押す。するとインカムが出てきた。


「これでいいんですか? 先生」


 どうやら先生とオオツが呼んでいる者からの指示で下手に出たようだ。

 再び、オオツは先生とやらに話した後、「ユウゴさん」と呼ばれた。


「先生が直接、お話ししたいそうです。ここの電脳空間に向かってください」


 そう言うとコードを言い出した。突然コードを早口で言うなよ! 彼女が言ったコードを頭の中で叩きこんで、指定された電脳空間に入って行った。




 指定された電脳空間は美術館のようだった。真っ白い壁に有名どころの絵画が飾られ、壁のポスターには【再現率ほぼ百パーセント! 世界的名画復元展】と張られていた。

 確かに壁に飾られた有名な絵画は本物みたいに見える。油絵で見る金の輝きや絵の具の凹凸加減など、その場で見ないと分からない表現があった。


『呑気に美術鑑賞している場合じゃないんだけどねー』


 俺のペットボトルアバターに入っている液体猫のトウマはポスターを見ながら言った。トウマのいう通りだ。リュウドウはともかく冤罪で捕まってしまったスダチを救わないといけない。

 そう思っていると『お待たせしました』と壁から声が聞こえてきた。見るとこげ茶色の線で描かれたピエロが書かれていた。随分と繊細なタッチで陰影を綺麗に書かれていた。


『僕はエッチング。本名は明かせないので、これで呼んでください。とにかく我々は色々と大変なことになっていますし、これからもヤバい状況が続きます。突然な上に不躾な形で協力をお願いしまして、申し訳ございません。そして重ね重ね申し訳ございませんが、我々と協力してください』


 かなり丁寧にお願いして驚いた。ちゃんとお願いできる人がいるんだって!

 そう思っていたらエッチングは『えーっと、こんな感じかな?』と言ってウィンドウを出した。どうやらカンペを確認していた。

 いや、カンペがあるんかい! まあ、いいや。


『待ち合わせは僕が作った美術館ですが、すぐに移動をしないといけません』

『忙しないな』

『はい。もうすぐリュウドウさんにディメンションブレイクをつけて【アウラ】を見せるようです』


 そう言いながらエッチングはひょいっとおどけた感じで壁に額縁を出した。


『警察はスダチさんがロッカーを蹴って暴れていると言う筋書きにしたいようです。そのため付き添い? で来ていたリュウドウさんに偽りの記憶を【アウラ】で制作して疑似体験をさせようとしています』

『え? マジで』

『はい、マジです。そこで警察が使っている【アウラ】に我々が作った偽のアップデートをさせて、僕とユウゴさんと猫ちゃんが入ります。そして偽りの記憶を見ているふりして、リュウドウさんとコンタクトを取りましょう』


 トウマは猫ちゃんと言われて『僕の事を猫ちゃんって言うな!』と液体猫を沸騰させたが、エッチングは聞こえないし、沸騰している液体猫に『うわ、可愛い』と言うだけだった。

 そんな時、オオツの声が聞こえてきた。


『先生。警察が使用している電脳空間がアップデートを始めました。そろそろ入れます』

『あの、こんな簡単に入れるもんなんですか?』

『はい。そもそも【アウラ】は僕を含めた数人のメンバーで作った空間なんで』


 衝撃的な事を言うと、エッチングは大きな額縁をまた作っておどけた感じで出した。


『さあ、ここに飛び込んで【アウラに】入りましょう。バグのごとくね』




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