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人質になりました……


 誰かが「実は自分の物じゃない荷物を取ってしまって……」と言い、「持ち主に返したいんですけど……」とか「……その、すごく、怖くて」と話し出す。

 ただこの子と距離があって声が聞こえないから、よく聞き取れない。


『ちょっと、待って。そっちに向かうね』


 俺はそちらに向かおうと、警察に来る前に見たヘッドホンの子だった。そして「ここで話すのもなんだから、あちらで話しましょう」と言って、踵返して歩き出した。俺は後に続く。

 狭い路地を歩いて行くと、地下鉄の入り口があった。こんなところにも入り口があったんだと思っているとヘッドフォンをつけた子は地下鉄へと入って行った。ここまで彼女は何にも言わずに進んでいく。

 そして地下鉄は全く使われていないようで、ゴミと埃が目立っていて真っ暗だった。


『あの、どこまで行くんですか?』


 地下鉄の入り口階段を下りて、ヘッドフォンをつけた子は更に進み、改札前にやってきた。真っ暗でとりあえず非常灯だけしかついていない。

 俺が『……あの』と話しけるとヘッドフォンをつけた子はスタンガン銃を出して、俺が操作するドラム缶ロボットに突き付けた。


「ユウゴさん」

『え? 何で俺の名前を!』

「あなたが操作しているドラム缶ロボットをスタンガン銃で撃つと壊れます」

『……あの』

「壊されたくなかったら、あなたと行動を共にする人と連絡してください」


 ヤバい! ヤバい! そう思ってすぐさま逃げようとして、急発進でバックする。するとガンっと何かにぶつかった。

 壁なんて無かったはずなのに……、カメラをぶつかった方向に向けるとつなぎ服の子供の子供がいた。

 あ、あ、え、こいつ、確か、居住区にいた頭のない奴では……。

 恐る恐るカメラを上に向けると首が無かった。


 声にならない悲鳴が俺から出た。








「はあ? ゾンビ一味に捕まった?」

『と言うか、どこにいるの? リュウドウ』

「えーっと、どこだろ? 居住区のアパートなんだけど、どこもおんなじに見えて分からん」


 すぐさまドラム缶ロボットを確保されて、ヘッドフォンをつけた子に脅され、泣く泣くリュウドウに連絡を入れた。

 どうやらリュウドウは闇医者の居場所をディストピア団地から突き止めたようだ。


『すごいな、リュウドウ。闇医者の居場所を突き止めて』

「お前よりかはすごいな。この短時間にロボットを人質にされているお前よりは」

『はい、そうですね……』

「そもそも知らない奴について行くな」

『……おっしゃる通りです』


 もはや正論過ぎて、何にも言えない状況だ。もはや姫プである。

 ここでヘッドフォンをつけた子に変わってもらおうって思ったら、リュウドウが「うわ、ヤベ」って言う声が聞こえてきた。更にバタバタと音と「こら、待て!」と言う声も聞こえて、何やらヤバい状況だ。


 そうして通話は切れて、もう一度掛けたら出てくれなかった。

 俺は思う。なんでここに来てホラー展開になったのか……。





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