表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/106

ひとりにしないでくれ……


 高く遠くに飛んでいった足を呆然と眺めていたのは俺だけではなく、スダチも足が抜けた男性も店付近で買い物していた周囲の人もそうだった。

 そして周囲の人が「うわあああ! 足がすっぽ抜けている!」と言い、スダチと男性から離れて様子をうかがっている。

 一方、足が取れた男性は「え? え?」と何が起こったのか分からない状況。

 転がらずにちょうど着地したロボットのカメラから見ると、男性の抜けた足の先からは血が出て無かった。

 スダチは目を丸くしていたが、飛んでいった足を拾って「はい」と男性に渡した。いや、渡してどうするんだ! 


『救急車呼ぼう!』

「い、いや! やめろよ!」


 足がすっぽ抜けているのに、救急車を呼ばないってどういう事だよ! 男性は足を元に戻そうとしながら周囲に「救急車はいらねえから!」と忠告する。

 その周囲にリュウドウの姿も見えた。おいおい、第三者として見ねえで、スダチを助けてやれよ!

 その時、「何やってんだ!」と背後から声が聞こえてきた。振り向くと警察の人だった。良かった。誰かが通報してくれたんだ。後は救急車を呼んで……。


「お前が暴れていたのか!」

「はあ? 俺は見回りをして、ロッカーを蹴っていたから注意して……」

「過剰防衛をしたのか? 機体持ち!」

「おい、そんなことをしてねえよ!」


 なぜか、スダチの方に警官は詰め寄る。しかも何にもやってきた。え? 何で、こんなに人が集まるの? そもそも見回りを依頼したスダチを確保しているのっておかしくないか?


『ちょっと、スダチは悪くないですよ! 俺のカメラの映像がありますよ』

「あの、すいません。この人は悪くないです」


 俺や周囲の人も警官に伝えるが、聞く耳を持たない。もう助け舟を呼ぶしかない。俺は『なあ、リュウドウ!』と呼んだ。


「……」


 スッとリュウドウはスダチとドラム缶ロボットから目を逸らした。あいつ、他人の振りしやがった! 


 恐らくスダチもぶち切れているようだが、足をすっぽ抜けた男は取れた足を持ってその場から片っぽの足でケンケンして近くにあった車に乗ってしまった。

 おい、こら! 逃げんじゃねえ!

 リュウドウをチラッと見ると、スダチでも車に乗って逃げる男性ではなく、別の方の男性を見ていた。リュウドウの目線を追うとある男性を見ていた。

 あいつ、トキオ奪還のメンバーの【闇医者】と呼ばれていた奴じゃないか? 眼鏡はかけていないし、髪型も違うけど似ている。

 すると周囲の人に紛れて、【闇医者】は興味を失ったように帰っていった。それをリュウドウはついて行った。……いや、ついて行くなよ!


 スダチは警官に連れていかれるし、足をすっぽ抜けた男は逃げるし、リュウドウは闇医者を追いかけていったし、周囲は「今の警官、ヤバいよねー」と話して去って行き……。

 俺、ドラム缶ロボットは残されてしまった。

 えーっと、俺はどうしたらいいんだ?


 そう思っていると路地裏から「すいません」と言う声が聞こえてきた。チラッと見るとヘッドフォンをつけた子だった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ