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リュウドウもついてきた!①


「はあ? どういう事だよ!」


 居住区の警察署に入ってすぐにスダチの怒鳴り声のせいで、俺のやる気ゲージが急降下した。それでも俺は周囲に『お疲れ様です』と言ってスダチの所へと向かった。


『どうしたんだ? スダチ? トラブルか?』

「どうしたも、こうしたもねえよ!」


 何で国家権力に楯突くのかな? って思いながら、スダチの指さす方向を見る。そこには、警察の職員にへこへこしているリュウドウがいた。何でリュウドウがいるんだ?


「俺だと住人と喧嘩するかもしれないから、リュウドウもついて行くって言ってんだよ!」


 なるほど。スダチの怒りは正当だなって思いなおした。

 リュウドウは「このように全然、礼儀がなっていないので……」などとスダチから見たら勝手なことを言っている。ちなみに警察の職員は「はあ」と中身のない相打ちを打っていた。


「おい! 何で勝手に決めているんだよ!」

「はあ、お前には柔能制剛ってのが無いんだよ」

『なんだよ、それ?』

「硬直した物より、ヘドバンした方が良いって事だ」

「絶対に違うだろ、それ!」


 結局、スダチの言い分は通らず、リュウドウも見回りについてきた。

 蛍光イエローの防犯ベストを着てスダチとリュウドウは警察を出た。懐中電灯を持っているが、日が落ちるのが遅い夏なので無くても大丈夫そうだ。西の空の底がまだ夕日の残光があった。それに向かって、スダチとリュウドウは歩き出す。もちろんスダチはうんざりした顔で、リュウドウは飄々とした顔で。


「で、リュウドウ。なんでお前までついてくるんだよ」

「お前がトラブル起こして、業務妨害とか犯したら借金と利子が貰えないだろ」


 さも当然のように言うリュウドウに俺は『スダチの心配とかじゃないんだ』と言った。でもそうだよね、こいつはそういう奴だった。誰かの心配よりお金の心配を優先する。

 スダチも形容しがたい表情になって「俺は金づるか」と呟いた。だがリュウドウはすました顔で「いや、投資」と返した。


『物言うどころか手出ししてくる投資家って初めて聞いた』

「全く、世話の焼ける投資先だぜ」

「お前に世話される筋合いはない! それにお前より警察に捕まったこと無いし!」

「だーかーら、お前より警察の付き合いを知っているって事だよ」


 マジで物は言いようである。

 人通りの少ないディストピア団地には、俺たちが住んでいる場所よりも人通りは少ない。買い物帰りの主婦などは行き来するけど、あまりいないような気がする。


『仕事帰りの人っていないね』

「ここら辺に住んでいる奴は全員、在宅勤務なんだよ。俺達みたいなブルーワーカーじゃなくて、椅子に座ってホワイトカラーな奴らばっかりさ。それと生活保護の奴らかな」

『ああ、戦争で働き手が亡くなった人たち?』

「そうだな。生活保護をしていると働いたらいけないからな。それでも隠れてやっている奴はいる」

「やめろよ、リュウドウ。そういう事を言ってトラブルになるだろ」


 そうして通りに人が全く居なくなってしまった。辺りはシーンとする。こうなってしまうと押し殺した静けさがある気がした。

二人も沈黙していたがスダチが「なあ、リュウドウ」とどこか咎めるように話した。


「本当は俺の付き添いと言う理由で、ついてきたわけじゃないだろ?」


 スダチの言葉にリュウドウは悪魔のような笑みを浮かべて「おうよ」と返して、小声で話し出した。



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