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マレ飯は地下鉄駅入り口階段前で開店している①


「はあ? 居住区にゾンビが出た?」


 マレ飯をがっつきながら言うスダチに、ハンゾウは「口から米を出すな」と眉をひそめて言う。スダチは「あ、わりい」と言い、マレ飯を食べる。

 警察が巡回中のため、駅構内では営業は出来ない。だから駅入り口の階段前ならやってもいいだろっていう精神でマレ飯屋は出張開店している。もちろん、ここだけではなく他の駅構内で無断営業していた奴らも路上で出張営業中だ。なので未だかつてないほど、路上は込み合って、クッソ邪魔である。

 スダチがマレ飯を全部食べて「あー、めっちゃ味薄かった」と食レポを言い、「ごちでした」とマレ飯の亭主に言う。

 そしてハンゾウに「それで? 何でゾンビが出て驚くんだよ」と呆れた表情で言う。


「すでに改造人間も人造人間もいるのに、ゾンビに驚くなよ」

「馬鹿野郎、よく考えろ。人造人間も改造人間も手に負えないのにゾンビまで出てきたら、俺達普通の人間は滅ぶしかないぞ」

「まあ、人類滅亡何てどうでもいいや。で、本当にゾンビなのか? そいつ」


 スダチが呆れながら聞くとハンゾウはガサゴソと電子端末を出して、動画を映し出した。それはテンプレアパートが並ぶディストピア団地の歩道でヘルメットを被った子供がいた。

 これはサクラお嬢様が見せた動画と同じだ。


「朝八時ごろ、登校していた小学生がボロボロになったつなぎ服の子供を見つけた。学校ではぶっ倒れている武装機体兵を刺激せず、学校の先生や警察に知らせるって教え込まれている。その教えを守って先生に伝えて、警察に通報したが現場には誰もいなかった」


 そして動画は「うわ、やべえ。武装機体兵じゃね?」と言う声が聞こえてきた。若々しい男性の声だった。

 そうこうしているうちにヘルメットを被った武装機体兵は立ち上がってフラフラする。


「そのあとすぐ、住人の一人から通報があって、近くでうろついているってあったから現場に急行した。この動画はそいつが撮って電脳の動画サイトに投稿していたので、警察は削除をしたんだが流出しまくっているだろうな。んでボロボロのグレーのつなぎを着てヘルメットを被っていたこいつがいたのさ。止まれって言ったのにフラフラしていたから警察が威嚇発砲したんだが」

「……威嚇発砲って普通の拳銃か? スタンガン銃じゃなくて?」

「最近、ルールが変わったんだ。居住区は命令を聞かない武装機体兵だと、すぐに弾の拳銃で撃たれるの」

「でもまだこの時点で武装機体兵って決まった訳じゃないだろ?」

 

 スダチの言う通り、つなぎを着てヘルメットを被った普通の子かもしれない。だがハンゾウは「よく見てみろよ」と返した。


「こいつの来ている服は軍が支給している作業着だ」

「知っているけどさー。だけど着る服が無い子供かもしれないじゃん」

「子供でも疑わしい服を着るなって事さ。まあ、それは置いておいて。威嚇発砲の次は、もう武装機体兵を処分ってことになる。だが警察は胸を狙ったらしいが、頭に当たった」


 次の動画では頭が無いまま、フラフラしているつなぎ服の子供がいた。周囲から悲鳴が聞こえてきた。


「頭が無いまま突っ立ていたが、ヘルメットを拾って被り、またフラフラと動いた。割と足が速くて警察が追いかけたが見失った。と言うか、キミンチに入ったから追えなかったというべきか」


 スダチが「警察が無能すぎる」と呟く。確かに武装機体兵でも恐怖に陥れるような奴を逃がすのは不味いだろ。


「まあ、色々と突っ込みどころあるんだけどねー」

「あそこは武装機体兵のぶの字も出さないように徹底されているから」

「徹底されていないじゃん」

「まあ、どこかしらに穴があるのさ」


 ハンゾウは肩をすくめて、そう言った。




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