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ナズナと今回の事件の顛末を話す


 リュウドウのプライベート空間でボケーっとしていたら突然、ナズナから電話があった。暇だったので無視せずに出た。


『ナズナ、どうした?』

「お疲れ様です、ユウゴさん。実は今回の事件について意見を聞きたいなって」

『意見?』

「前にコナとイエス・ノークイズで遊んでいたでしょ?」


 以前、俺とリュウドウ、ハンゾウが座敷で会議していた時、コナとナズナは何やらゲームをしていた。

 座敷から聞く限り水平思考ゲーム、いわゆる【ウミガメのスープ】のような感じで、ナズナが事件の質問をしてコナが「はい」「いいえ」「分かりません」「守秘義務です」と答えていくのだ。


「コナが答えてくれた内容をユウゴさんと一緒に考えて行こうって思って」

『いいぞ、暇しているし』


 ナズナは「じゃあ始めましょう」と言った。


「まず立てこもり事件の時の実行犯役について【彼らはトキオ以外の出身者ですか】と聞くとコナは【はい】と答えていました」

『確かにそうだな。あいつらはアンズを珍しがったりしていたし、髪も染めていたからな。あ、そう言えば仮首都の人間だと言っていたな』


 トキオは居住区以外、武装機体兵が多い。居住区に住んでいる人間だって、外に出れば武装機体兵を見かけるから珍しく思わない。だから武装機体兵を全く見ない場所は、仮首都であるナゴノくらいだろう。髪を染めるのもナゴノの美容院くらいだろう。


「やっぱりナゴノ、仮首都の人だったんですね。私も【彼らはナゴノ出身者ですか?】と聞いたんですが【守秘義務です】と言われました」

『場所の特定が出来るのに【守秘義務】と言うのか』

「とりあえず個人情報だったから、黙っていたっていた感じでしょう」


 次に実行犯たちが来たルートをナズナは聞き出した。


「コナに【実行犯は車で来た?】と聞くと【はい】と答えてました」

『イトジマは船で来て、実行犯は車で来たのか』

「それから【実行犯はキミンチに数日間、滞在していた?】と聞くと【守秘義務です】と答えていました」

『滞在していたのか……』

「うーん。コナも引っ掛けとかするから、本当はしていないのに【守秘義務です】って答えることもありますからね」


 うーん、ハンゾウが連れている武装機体兵だから一筋縄ではいかなそうだ。


「それから【実行犯以外にも仲間は居る?】という質問に関しても【はい】と答えていました」

『そりゃ、そうだろう。トキオ奪還っていうチームで活動しているんだから』

「その次の質問がちょっと厄介なんです。【それはトキオ奪還のメンバーですか?】と聞くと【いいえ】と答えていました」

『え? って、ことは別の組織?』

「おそらく。そして、これに関しては【守秘義務】じゃないんですよ」

『あ、そういえば』

「だから、ハンゾウさんとコナだけが知っている情報ですね」

『それに関しては全部、教えてくれないのか?』

「証拠が集まればリュウドウさんやカミカワ県の警察に教えると思います。今は証拠も十分ではないし、まだ不確定だから言えない状況だと思います。多分、聞いても【わかりません】と答えます」

『そう言えば、リュウドウはハンゾウに【闇医者】について聞いていたな。はぐらかされていたけど。もしかしてそいつが別組織なのかな?』


 ナズナは「なるほど。かもしれませんね」と言った。


『じゃあトキオ奪還ではない組織か集まりも、この事件を引き起こしたかもしれないって事かな』

「コナの質問を聞くとそうじゃないかな? と思います。ただとある人物がちょっとややこしい立ち位置になるんですよ」

『とある人物?』

「アンズのキュウリを落とした、ネイビーの髪の武装機体兵です」


 誰もが考えている事件の重要人物、アンズのキュウリを落としたネイビーの髪の武装機体兵の説明の前にナズナは立てこもり事件の現場になった車両について話し始めた。


「ユウゴさん達は立てこもりになった時の車両の到着を見ていないんですよね」

『うん、放送で知った』

「私も事件発生時にいた人や隣の車両に乗っていた人に事情を聴いていたんです。そしたら、現場を見ていた人は電車が到着するまでカーテンが閉まっていたことを話していて、隣の車両に乗っていた人は事件になった車両に入れないように【立ち入り禁止】の張り紙がついてカギが閉まっていたようです」

『【立ち入り禁止】っていう張り紙ってつけられるの? 駅員に知られずに』

「たまに武装機体兵が大暴れしてボロボロになっていたりして、【立ち入り禁止】になることがあるらしいです。あと駅員の数もそろっていないし、あまり報連相とか意識がないみたいですね」


 ダメダメじゃねえか。

 俺が呆れているとナズナが「で、ここで問題なんです」と前置きした。


「例の武装機体兵は最初から乗っていたらしいんです」

『巻き込まれたってわけじゃないみたいだから、やっぱり仲間なんじゃねえの?』

「私もそう思ったんです。そこでコナに【キュウリ落としは全国の警察が使っている危険武装機体兵データベースに乗っている人物か?】と聞いたんです」


 一応、犯罪行為をして逃亡している武装機体兵の情報をまとめているデータベースが存在する。武装機体兵の個体一つ一つには細かい特徴があり、映像で一瞬でも瞳や手、耳が映り込めば認証できるのだ。


「ちなみに答えは【いいえ】でした」

『じゃあ、まだ悪いことが見つかっていない武装機体兵って事か』

「それでもう一つ、聞きました。【例の武装機体兵を認証した際、存在しないという結果でしたか?】と。コナの答えは【守秘義務です】と答えました」

『……ナズナ、なんか変な質問じゃないか? 【存在しない】って』

「時々いるんですよ。個人の刑事が武装機体兵をスパイにして犯罪組織に入り込ませる行為。だけど別の警察官が捜査中に遭遇してスパイとして送り込まれた武装機体兵がデータベースに乗せられたら不味いので先に【存在しない】人物として登録します」

『なるほど』

「ちなみに悪い事をしていない武装機体兵だと結果は【一致しない】って出ます」


 ナズナの説明を聞いて、例の武装機体兵は【存在しない】と出たかとコナに聞くと【守秘義務です】と答えた。違っていたら普通に【いいえ】と言えばいい。だけど【守秘義務です】と言ったら……。


『つまりあの例の武装機体兵は、警察の子飼いって事』

「かもしれません。コナが含みを入れていない限りは」

『じゃあ、あのキュウリの子は潜入捜査をしているって事か』

「もしくは寝返ってトキオ奪還のメンバーの味方か、【闇医者】の仲間。または寝返っておらず、この事件は警察が糸を引いているか」


 何はともあれ、まだまだ事件は続いているって事か……。

 さて事件の推理をしたところで、ナズナはある事に気が付いた、


「そう言えば、ここの部屋にあったフキノの荷物や家具が無いんですけど……」

『ナズナが居なかった時、スダチが上の階に男子寮を作ろうってフキノを誘ったんだ。だからこれからフキノは上の階で寝る事になるって』


 俺の説明にナズナはしばらく沈黙して「はあ?」と言った。こっちも波乱が起きそうである。



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