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利子


 次の日の朝、スダチは二日酔いに苦しみつつどこかに出かけて、アンズはいつも通りになった。そしてその日の夜の事だった。


「おい、リュウドウ」


 人生微糖の閉店後、俺とリュウドウが雑談しているとスダチが話しかけてきた。俺はリュウドウの電子端末のカメラで二人の様子を眺める。


「おう、どうした。二日酔いは治ったか?」


 何やら煽るような言い方をするがスダチはじっとリュウドウの顔を見ていた。スダチの顔は何やら我慢をしているような感じだった。

 しばらく沈黙していて、リュウドウが「どうした?」という言葉をかぶせるようにお辞儀をして言った。


「アンズを庇ってくれて、ありがとうございました!」


 お辞儀をしたスダチの後頭部をリュウドウは「あー、はいはい」と何でもないような感じで返事をする。

 更にスダチは話す。


「あんたが払ったアンズの暴れた慰謝料代、俺が返す。いくらだ?」


 なるほど。リサが言っていたケジメがこれか。お金好きのリュウドウらしいケジメだ。

 リュウドウは慰謝料代を言う。それは大学を三回くらい行ける料金だった。こいつ、こんなにお金をアンズの迷惑料として払っていたのか……と驚いていると、スダチが「おい、こら」と眉をひそめた。


「今日、お前に慰謝料をもらった人たちに話を聞いて金額を聞いたんだ。そしたら全部合わせてもお前が言った金額の三分の一の値段だったんだけど、どういう事だ?」


おい! リュウドウ! お前、多く請求しようとしたのか! 本当に抜け目がないな、こいつ!

 だがこの指摘にリュウドウは焦らず、大きなため息をついて口を開いた。


「やっぱりお前は何にも知らないガキだな」

「どういう意味だ」

「いいか、お金を借りると【利子】が生まれるんだよ!」


 その時、スダチに電流が走ったような表情になって固まった。そしてリュウドウは「水増ししている分は利子だよ」と軽く笑って更に言った。


「若い時に知ってよかったな。お金を借りるときは利子が生まれるって。お前が北に行っている間にたまった利子のせいで、こんな金額になったんだよ」

「……え?」

「まあ、俺も鬼じゃないからな。カラス金みたいな高金利でやってはいないよ。だけど結構、たまっちゃったな。じゃあ、頑張って返済してくれ」

「あ、あんた……、俺の代わりに払ったんじゃないのか?」

「はあ? 誰がお前の代わりに払うかよ。お前に借金を負わすつもりで支払ったのさ」


 そう言ってリュウドウは「しょんべん行ってくるわー」と言って席を立った。その際、スダチの肩を慰めるかのように叩いてやる。

 しばらく黙っていたスダチはリュウドウが居なくなった後、咆哮した。


 みんな、こういう奴から金を借りるなよ!





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