人生微糖、緊急事態発生!
リュウドウはビルを所有していて一階を飲み屋にしている。その名も【人生微糖】だ。元々カフェにしたいと言うリサの希望を入れて【微糖コーヒー】の微糖を店の名前に付け足したのだ。けして【人生微妙】ではない。
俺は夕方、その人生微糖で無人レジに入ってお会計をしている。酔っ払いどもは無銭飲食しようとしたり、無人レジを使いこなせないことがあるのだ。
今日はナズナとフキノが遅刻するって事なので、開店準備はリサと俺がやるのかと思っていると電話が鳴った。相手はリサだった。
「ユウゴ、アンズが地下鉄を降りた時、見ていたんだって?」
あー、まずい。怒られる。見ているだけって怒られる。そう思い『はい』と言うと、「録画している?」と聞かれた。
『している』
「今すぐ送ってくれない? アンズと一緒に線路に降りた子がまだ見つかっていないから」
リサに言われて、アンズの行動を録画した映像を渡した。ちなみに武装機体兵の視覚と聴覚をリンクする他に録画機能もついている。
「ああ、ありがとう。これからアンズの事情聴取を一緒に受けないといけないから、お店に居られないのよね」
『あとナズナもフキノも夜にならないと帰れないって言っていたぞ……。それとリュウドウも警察に捕まったって』
「ふうん。まあ、ユウゴは不安になっているけど、よくある事だから平気よ」
よくある事なんだ……。この店のオーナーなのに。サラっというリサに強者感があった。だがバイトのフキノとナズナが遅刻するのは、今日のシフト的にかなり痛いらしい。
「とりあえず開店は遅れるって貼り紙を付けておくわ」
『……臨時休業にはしないんだ』
「当然でしょ。あーあ、今日からスダチが来るから思いっきりこき使おうと思ったのに」
『そう言えば、スダチって何者? アンズに聞いてもスダチはスダチって言うだけだったし』
俺の質問にリサはちょっと黙ったが、すぐに「アンズの元保護者」と言った。……思ったより、重要人物だった。
そんな時、リサの携帯端末から着信があった。メールのようで一通り読んだ後、「ユウゴ」と呼んだ。
「ハンゾウがお前と話したいんだとさ。だからユウゴ、ハンゾウの電話番号を教えるから、ちょっと電話して」
『今すぐの方が良い?』
「そうね」
もしかしたら線路を飛び出したアンズを止められなかったから、色々と言われるかもと思うとかなり気がめいった。




