その1
「困った…。」
イ・ルーエ・ロダンは、顎に手を当てて眉間に皺を寄せた。
「おじちゃん?」
エイミーがルーエの上着の裾を握って見上げていた。
その茶色の瞳が少し心配そうだ。
それに気づいて、ルーエの大きい手がエイミーの頭を撫でた。
子供に笑顔を向ける。
「仕方ないよな。
合わなかったんだしな。」
また、里親も養子先も決まらなかった。
エイミーの行き先を養児院に探してもらっているが、なかなか決まらない。
時々の非番の日にエイミーの様子を見に来るが、それもかえって良くないと言われてしまった。
エイミーに期待を抱かせるらしい。
ルーエんちの子供になれると。
ルーエが大きなため息をつくと、エイミーの顔の高さまでしゃがみ込んだ。
「ちゃんと、お父さんとお母さんになってくれる人がいるから。
エイミーは、そういうおうちの子になった方がいいんだ。」
「エイミー、おじちゃんがいい。」
「おじちゃんには、お嫁さんがいないんだ。
夫婦じゃないとね、養子にできないし、里親にもなれない。」
「おじちゃん、およめさんいないの? できないの?」
「できないって…。困ったな。」
「おじちゃん、センセイにおよめさんになってもらえばいいのに。
そしたら、エイミーのおとうさんになれるんでしょ。」
「センセイ?」
「うん。
センセイに、じ、ならった!」
「ん?」
エイミーがしゃがむと床を指でなぞる。
「これ、エイミー!」
自分の名を綴る。
となりをまたなぞる。
「これ、おじちゃん!」
『ルーエ』と綴っている。
「これ、センセイ!」
エイミーが綴った。
『エリー』
(確かに、センセイ…)
◇◇◇
思わず、溜息が出た。
「今日、何度目の溜息、ルーエ?」
ジェイド卿が呆れた声をあげた。
「も、申し訳ありません、閣下。」
慌てて居ずまいを正す。
「心配事でもあるの?」
「いえ、何でもないです。」
ジェイドは、机の上の書類に署名を終えると顔を上げた。
今日の副官は、「心ここにあらず」らしい。
「お茶にしてくれる?
今日のお菓子は?」
自分の赤毛の先をくるくる捩じる上司が子供のようにねだる。
ルーエが紅茶を入れ、お菓子と一緒にジェイドの前に出す。
「今日は、ブルッティ・ブオーニってヤツです。」
ジェイドがひとつ、口に入れる。
サクッと音がする。
刻んだナッツがコリコリ感を出している。
「サクサクだ!」
「メレンゲに、刻みナッツを入れて焼いてみました。」
「おいしいねぇ。」
「どうも。」
ルーエがお菓子を作ると知って、ジェイド卿が毎日のようにお茶菓子をねだってくる。
きいていると限りがないので、三日おきぐらいに出すことにした。
「で、エリーにも作ったの、これ?」
ルーエが深く眉間に皺を寄せる。
「作っておりません。」
「会ってないの?」
「お会いしておりません。」
「なんで?」
「ご縁がございません。」
ルーエが怒りぎみにいう。
「二晩も一緒に過ごした仲なのに?」
ジェイドが笑う。
「またフラれたの?」
「大きなお世話です!」
思わず声を荒げてしまった。
ジェイドが肩を震わせる。
「しつこいと、お菓子抜きです!」
「えー、それは困るぅ。」
(全く、王国一の腹黒が!)
「あ、話はかわるけど、ルーエ、準礼服ある?」
「は?」
「今夜、ケルトイ侯爵家の夜会に呼ばれていてね。
ダモン団長の代理で行かなくちゃいけないんだ。」
「ケルトイ侯爵様…。」
「アマリア王妃様のご実家だよ。
今は、外務顧問だ。」
ジェイドがお茶を口にする。
「その夜会についてきて。」
「え? 夜会の警備ですか?
じゃ、急ぎ、お屋敷周りの警備の手配を?」
「そっちじゃない。
私の従者としてね、隅っこで立っていて。」
「は?
自分は、平民であります。
そのような場にはお供できません。
『近衛』から誰かお呼びになっては?」
「『王立』に『近衛』の警備はおかしいよ。」
「じゃ、『王立』にいる貴族のものを。」
「ルーエ、君は私の副官なんだから。
そのような場にも慣れてもらわないと。
部屋の壁になっていればいいだけだから。
準礼服でついてくるように。」
最後は命令だった。
◇◇◇
騎士団はそれぞれを示す色を持っている。
『王立』の色は、緑。
準礼服の左肩のモールは、緑に染められた絹糸が組み編みされて出来ている。
モールの色はその人物の階級も表しており、騎士団長は半分を金糸で編まれている。
ジェイド卿は副団長なので、銀糸が半分を占める。
ルーエは、緑一色のモールだ。太さは指一本ぐらい。
階級で言えば、一隊三十人を率いる隊士長になる。
準礼服は、いつもの緑の隊服に白の縁取りがつき、膝近くまである長いマントは白で、背中に『王立』の緑の三本線の刺繍がされている。
マントの裏地は光沢ある緑で、室内で右肩をめくりあげているとそれなりに良い格好に見える。
帯剣は、儀礼用の短いもので実戦向きではない。
ちょうどマントの内側に隠れる。
今夜のルーエもそういう姿で、壁になっていた。
壁から眺める貴族様たちはもっときらびやかで優雅だ。
(美人が多いな。)
(確かに目の保養だ。)
ついこの前まで、隣国との国境争いだったり、王様と王太子様との内輪もめだったりと騒がしい国だったのに、ずっと昔の話のように思ってしまう。
ふと、マントに重みを感じた。
目線だけそちらに向ける。
エイミーと同い年ぐらいの女の子がいた。
着ているドレスは、とても上等な光沢ある絹でチュールの黄色がきらきらしている。
貴族のお姫様だ。
ふわっと広がった金色の髪に銀細工の花のかたちの小さな髪飾りをつけ、薄い緑の瞳が大きく開かれて見上げている。
たぶん、黒いルーエが珍しく、覗きにきたのだ。
王都ではよくあることだ。
すこしだけ、顔を向けてみる。
薄緑色の瞳がもっと大きくなって、手が離れると、大人たちの所に走っていった。
(怖がらせたかな?)
「びっくりして、いっちゃいましたね、ルーエさん。」
(え?)
聞き覚えのある女性の声。
こんな貴族様のところに自分を知っているご婦人はいないはずだ。
ルーエの右側がふわっと動いた。
背の高い女性が横に立った。
シュッとした輪郭の姿勢が正しい。
ドレスは膨らんだものではなく、どちらかというと胸元のヨークからたくさんの細かい襞がまっすぐ下に流れるように落ちている。
細身の女性に似合う形だ。
視線だけを向ける。
彼の肩よりも少し高い背。
エリーの横顔だったが、結い上げた髪の色が違う。
手にはたたまれた扇。肘上までの長い手袋。
ルーエが視線を戻す。
「どちらの奥様でしょうか。」
わかっているのに小声で尋ねる。
「…失礼です。」
少し怒った声が返ってきた。
エリーは前を向いたままだ。
「…すみませんでした。」
ルーエも前を向いたまま小声で言った。
「似合いませんね、私。」
「…おキレイですよ。」
「お上手なこと。」
エリーが怒っている。
「…申し訳ありません。」
「謝るんですね。」
「…。」
ルーエの表情が情けなくなる。
「私は姉の名代なのですが、役に立っていません。」
「…。」
「貴族の顔合わせ… 何のためでしょう。」
「センセイ…?」
「義兄は、ケルトイ侯爵様と会っています。」
(義兄?)
「隣国との何か、らしいです。」
「…。」
「今夜は、八大侯爵家の者が呼ばれています。
姉が来るはずだったのに…
悪阻で逃げられてしまいました。」
「それで、センセイが?」
エリーが黙ってしまう。
「センセイ?」
「いてくださって…」
(あ、)
エリーの周りがかすかに震えている。
「…怖いんですか?」
返事はない。
少しだけ、彼女のこわばった肘がルーエに近づく。
(まったく、面倒臭いご令嬢だ。
エイミーのほうがまだ素直に頼ってくれるのに。)
「…大丈夫ですよ。」
ルーエの言葉に、エリーの肘が緩んだ。
(ほんと、面倒臭い…。
でも、この人に情けない姿を見せたんだよなぁ…。)
その広間の中ほどに立食用の料理が用意されたテーブルがある。
綺麗な彩りのお菓子も並んでいる。
(ああ、また作れっていわれるのかなぁ。)
思わず苦笑が浮かぶ。
そのテーブルの向こうで食器の落ちる音がした。
きゃぁというご婦人の声も聞こえる。
「アンナ!」
女性の叫び声。
ルーエの身体が動き出す。
その彼の前をエリーが走っていた。
(はやっ!?)
テーブルの向こうに回り込むと、小さな女の子が横向きに倒れていた。
ルーエのマントを掴んでいたお嬢様だ。
母親だろうか、名前を呼びながら女の子を揺り動かそうとしている。
「動かさないで!」
エリーが母親の手を止め、女の子を覗き込んだ。
唇が紫になり、ひきつけを起こしているように見える。
エリーは周りを見回すとテーブルの上から匙をとり、女の子の口に差し込んだ。
「灯り!」
エリーの声にルーエが燭台をかざし、エリーの手元を明るくする。
「喉を詰まらせている!」
匙を抜くと女の子をうつ伏せに抱え、背中を叩いた。
周りに人だかりができたが、手を貸すような様子はない。
「お願い! 吐いて!」
「センセイ、代ります!」
ルーエが燭台を置くとエリーから女の子を受け取る。
「うつ伏せに! 頭を低くして、背中を!」
ルーエが大きな手で女の子の背中を叩いた。
ぐふっと音がして女の子の口から食べ物の塊が出てきた。涎も他のも全部流れ出てくる。
ルーエが女の子の背中をゆっくりとさすった。
「大丈夫だからね。」
優しくルーエが呼びかける。
「アンナ!
息が!」
母親が悲鳴を上げる。
「ルーエさん、寝かせて!」
ルーエがアンナを床におろす。
吐しゃ物の中に膝まづいて、エリーがアンナの鼻をつまみ、口から息を吹き込んだ。
そして、胸を押す。
何度か繰り返すとまたアンナが口の中のものを吐き出した。
息が戻ってきて、ぐずって泣き始める。
「…大丈夫。」
エリーが大きく息をつき、笑顔を浮かべた。
「お水を。」
ルーエが水のグラスを手渡す。
エリーが少し子供を抱き起こした。
その唇にグラスの端を当てる。
「少しだけお口に入れてね。
さっ、ペッて出して。」
言われた通り、子供が口を漱ぐ。
「さぁ、もう一度しましょうね。」
エリーに促されてアンナが口を漱いだ。
「おかあちゃま…」
アンナが手を伸ばすと母親が抱きしめた。
「誰か! お嬢様の主治医をお呼びしてください!」
エリーがそう言うと執事だろうか頭を下げて外に出て行く。
「お嬢様をどこか横になれるところに!
ルーエさん、運んでください!」
ルーエが母親から受け取ってアンナを抱き上げた。
少し苦しそうに息をしているが、大きなルーエに抱かれるとゆっくりと呼吸を始めた。
落ち着いてきたようだ。
「アンナ! リリア!」
青年貴族が二人に駆け寄った。
「あなた!」
母親がそう呼んだから、アンナの父親なのだろう。
父親の手にアンナを渡す。
「部屋へ連れて行こう。」
「エド様、
あまり、揺らさないでくださいませ。
喉を傷めていらっしゃいます。」
エリーが心配そうに声をかける。
「わかりました。」
見送ろうとしたエリーをルーエが促す。
「センセイ、行かなくちゃだめですよ。
主治医の先生がお見えになるまで。」
「え、」
「センセイの患者さんですよ。」
「そ、そうですね。」
エリーが二人の後を追った。
その場にルーエが残される。
ほかの招待客は遠巻きだ。
足元の汚れた床と自分のマントを見る。
屈んだから裾に大きな汚れ。
ルーエは軽く息をつくとマントを外し、それで床の汚れを拭いた。
(所詮、『王立』なんだよなぁ…)
あらかた拭き終わったところに召使いたちが片付けに来た。
汚れたマントを抱えて立ち上がろうとしたルーエの頭の上から声がした。
「お前、貴族ではないな!」
子供の声だ。
男の子。
見上げた高さに顔がある。
さっきの女の子に似ている。
金髪の巻き毛が肩まである。
高価な服に身を包んでいる小さな貴族様。
「貴族なら、私に挨拶に来ているはずだ!」
甲高い声にルーエが苦笑を我慢する。
(挨拶されるご子息、また、面倒くさい…)
金髪の男の子は、ルーエを睨んでいる。
「そんなことは召使いにさせればよい。」
(え?)
「お前は、アンナを助けた。
もっと大きな顔をして、お爺様やお父様に取り入ればいい!」
「…若様、発言をお許しいただけますか?」
「許す!」
「お嬢様をお助けされましたのは、アナスン侯爵家のエリーお嬢様です。」
ルーエが笑顔を浮かべた。
「自分ではありません。」
「己の手柄にすれば出世できるぞ!」
「…出世しなくてもいいので。」
「変な奴だ!
皆、出世したくて私にも頭を下げるぞ!」
「…自分もそうすればよろしいのですか?」
「…。」
子供が口をつぐんだ。
(本当、面倒臭いな…)
「お前は、よく働いた。」
(え?)
少し困ったがルーエが頭を下げる。
「…ありがとうございます。」
「これをエリー嬢に届けよ!」
ルーエの前にエリーの扇が突き付けられた。
困惑しながらも受け取る。
子供が走って広間を出て行った。
◇◇◇
主人がいない夜会は淡々と時が過ぎ、会場に戻ってきたエド・ケルトイ卿が何事もなかったように客をもてなしている。
(さすが、貴族様。多少の出来事には動じないんだな。)
ルーエは、汚れたマントを手に廊下に出た。
(さて、うちの閣下はどこにいるのやら。)
中庭を挟んだ向こう側の廊下を早足で人が歩いて行く。
(主治医様かな?)
(あのお嬢様、たいしたことなけりゃいいんだが。)
「ルーエ、」
声をかけられた。
ジェイド・ヴェズレイ卿だ。
「閣下、」
ジェイドともう一人、灰色髪の老貴族。
「この御方は、ケルトイ侯爵様、王妃様のお父上だ。」
ジェイドの言葉にルーエが無言で頭を下げる。
「頭を上げなさい。」
ケルトイ侯爵がルーエに命じた。
そっと顔を上げる。
「お嬢様は大丈夫だった?」
ルーエが頷く。
「はい、エリー先生が付き添っていらっしゃいます。」
「料理を喉に詰まらせたそうだね。
君が助けてくれたと聞いた。」
ルーエが頭を下げる。
「いえ、
エリー先生がで、ございます。
自分は大切なお嬢様の背中に手を…。
いかようなる罰もお受けいたします。」
ケルトイ侯が表情を緩めた。
「命の恩人には、礼こそするべきだろう。」
ルーエがまた頭を下げた。
「で、彼が?」ケルトイ侯がジェイドに尋ねる。
「はい。」
ケルトイ侯がルーエを上から下へと見た。
さっきので、準礼服にも汚れがある。
(まずいな…。)
「本当に、黒いな。」
「正確には褐色です。」ジェイドが答える。
王都でのこういうやりとりには慣れている。
だが、気持ちいいわけではない。
「失礼した。」
(え?)
ケルトイ侯の言葉に少し驚く。
大貴族なのに、ほかの貴族はもっと横柄にルーエを扱う。
「また、会うこともあるだろう。」
「…。」
静かな廊下の奥の方から靴音が響いてきた。
「あ、ケルトイ侯爵様。」
エリーが三人を見つけるとケルトイ侯爵に向かってドレスのスカートを広げ、膝を屈めた。
「久しぶりだね、エリー嬢。
先ほどは孫娘を助けていただいた、お礼、申し上げる。」
「いえ、侯爵様、当たり前のことをしたまでですから。」
「お嬢様は?」ジェイドが尋ねた。
「主治医の先生がおいでになりました。
大丈夫です。
もう、『おなかがすいた』とお母様を困らせておいででした。」
ケルトイ侯爵がため息をつく。
「大事なくてよかった。
エリー嬢、そのドレスは償わせてもらうよ。
着替えも用意させよう。」
エリーのドレスも前が汚れている。
「いいえ。
侯爵様、お気になさらないでください。」
エリーがジェイドに向き直った。
「お義兄様、私、失礼させていただいてもよろしいですか。」
「そうだね。
私はまだ用があるから、
ルーエ、」
「はい、ジェイド様、」
「エリーを送っていって。」
「承知いたしました。
でも、ジェイド様は?」
「何とでもするさ。」
「ヴェズレイ、向こうへ。」
「はい、侯爵様。」
ケルトイ侯とジェイドがまた屋敷の奥へ消えていった。
「…義兄は忙しいようですね。」
「はい。
では、センセイ、お屋敷までお送りいたします。」
「はい。」
二人で歩き出す。
エリーのドレス姿に合わせてゆっくりと。
「アンナ様はあのお菓子を『ふるふるプリン』だと思ったそうです。」
「『ふるふるプリン』?」
「最近、王都で流行っているお菓子だそうです。
侍女に話を聞いて、食べたかったんですって。
お皿の上でふるふる揺れるプリンって。
ご存じですか?」
ルーエが首を振る。
「プリンって、固くないのかなぁ。」呟く。
「でも喉に詰めたのは、お菓子じゃなくてテリーヌで、透きとおったキレイな層ができていたから間違えたようです。
子供には向いていませんね。」
「…。
センセイ、こちらを。」
ルーエが扇を差し出した。
「あ、忘れていました!」
「さっき、小さなご子息様が、」
「セドリック様ですね。今日、ご紹介いただきました。」
ルーエが黙ってしまう。
「ルーエさん?」
エリーが覗き込むようにルーエを見た。
「どうかしましたか?」
少し、ルーエが頭を振る。
「…自分が場違いなところにいると思ってしまって。」
ルーエが足を止めた。
「センセイもいつもと違います。
髪の色が違います。」
「…そうですね。」
「いつも、もっと茶色いですよね。」
「本当はこの色です。」
エリーが亜麻色の髪を一筋、つまんだ。
「マリーと一緒の色なのです。
でも、いつもは茶黒いのに染めています。」
少し、間があった。
「髪の色が黒いと、
綺麗な色じゃなければ、誰からも声をかけられませんから。」
エリーが微笑んだ。
「…人が苦手なので、その方がいいんです。」
「あ、」
またルーエが言葉を無くす。
エリーが歩き出し、ルーエが後をついていく。
車寄せで待っているとアナスン家の馬車が二人の前に止まった。
エリーを中に乗せるとルーエは御者台に上がった。