第2話(竜人剣術・女性に注意は難しい)
連日投稿です。
今回の話は、竜が守護する世界に合った剣術が登場します。
では、続きをどうぞ!
「リグルーーッ!!起きろーーッ!!」
「リグル起きないと置いて行くわよーー!!」
昨日これから起きるであろう自分の死亡フラグの対処についてなどを考えて深い眠りについていたリグルだが、そのリグルの眠りは思ったよりも深くあっという間に翌日になって朝日が登るのであった。
そんな中まだ寝ているリグルを起こそうとリグルの家の外からカインとマナが大きな声を上げていた。
「………………う、…うん?………カイン?……マナ?」
カインとマナの声で起きるリグル。
「あ………もうとっくに朝か…………っヤバイ!今日はカインとマナで訓練をする約束をしていたんだッ!」
完全に覚醒したリグルは、今日はカインとマナの2人と訓練をする約束をしていたことを思い出しては慌てて服を着替えては出かける準備をして、家族から「カイン君とマナちゃんがずっとアンタが起きるのを待ってたわよ?」「村の外は危ないから出たら駄目よ?」と母親から言われながらリグルは家から出ていく。
「カイン!マナ!お待たせ!」
「リグル遅いぞッ!!」
「リグル!今日は皆で訓練する約束を忘れていたんじゃないわよね?」
「ごめん!約束を忘れていた訳じゃないけど滅茶苦茶寝ていたッ!!」
「ったく、リグルは……」
「ほら、」
家から出てきたリグルは自分を待っていたカインとマナに謝った後、3人は訓練をするために村の空き地に向かうのであった。
◆◇◆◇
「────竜人剣術………火の太刀!一式!≪火柱≫!」
ブオォーーーーッ!!───ザンッ!!
「おおっ!成功だよカイン!!」
「凄いじゃないカイン!!」
「お、おおっ!?───やっ、やった、やったぜーッ!!リグル!マナ!俺、竜人剣術火の太刀の一式である≪火柱≫をやっと習得したぜッ!!」
ーくぅ~~ッ!!やっと成功し、習得出来たぜ~~!
訓練をするために村の空き地に来たリグル達。そこでカインが竜人剣術の火の太刀、一式の≪火柱≫を訓練の末に発動させることに成功する。
ちなみにカインが今放った剣術≪火柱≫とは、竜人剣術の火の太刀一式であり、竜人剣術を学ぶ者が最初に覚える型の1つだ。
竜人剣術とは、聖竜になぞえて8つの属性の太刀と複数の式という型がある。その中で≪火柱≫という技は、剣から火が上に昇るように放たれて火と剣で相手を斬る技であり、カインは今回の訓練で初めて成功させたのである。
カインが竜人剣術の火の太刀一式である≪火柱≫を成功させたのを見たリグルとマナは、カインに「やったねカイン」「やっと成功したわね!頑張った甲斐があったじゃない!」、とカインの技の習得を喜ぶ。
技の習得、そのことにカインもやっと訓練をしていて出来たことに喜びの雄叫びを上げていて、リグルやマナの称賛の声に「よせよ~~照れるぜ~」、と言って満更でもない様子だ。
そして、カインは今の成功の感触を忘れない内に何度も発動させては完全に≪火柱≫の習得をするのであった。
─────────────────────────────────
「これでカインも竜人剣術の型を1つだけとはいえ使えるようになったね」
「ハァ、ハァ、ハァ───あ、ああ、リグル!これで俺も竜人剣術を少なからず使えると胸を張って言えるぜ………」
何度も≪火柱≫を発動させたカインは息を切らしながらもリグルの言葉に返事をする。
「やったねカイン。でも私はリグルから魔法を教わって初級魔法を2つ、2つ習得したわよ?」
ーほら?見て?
"火魔法"
≪ファイヤー・ボール≫!
"風魔法"
≪エアー・カッター≫!
ーボォッ!ーーヒューーーボンッ!
ーヒューヒューヒューッ!!ーースパッ!!
マナは竜人剣術の型をやっと1つ覚えたカインに自慢するように、初級だが最近覚えた火と風の魔法である≪ファイヤー・ボール≫と≪エアー・カッター≫を2つ発動させては人がいない所に放ち、カインの方を振り返り「どう?」とカインに言う。
そのマナの魔法を見てマナに自慢をさせたカインは、自分が剣術の型を1つ覚える間に2つの魔法を覚えたマナに悔しがるが、その後マナの後ろにいる影を見ては直ぐにマナに向かって「う、後ろ!マナ後ろ!!」と慌てて声を掛ける。
悔しがるカインが急に態度を変えたことに「後ろ?」と言って首を傾げるマナは、カインの言う通りに後ろを振り向こうとした瞬間──────
ーゴツンッ!!
「ッ!!?い、痛ーーいッ!!」
いつの間にかマナの後ろに回っていたリグルから、マナは痛い拳骨を一発もらう。
「マナッ!?大丈夫か!?」
「う、う~~う………痛い」
リグルから強く力が入った拳骨を一発もらったマナはその痛みに蹲り、そんな痛がるマナにカインは駆け寄って心配の声を掛ける。
「~~ッ!!!リグルッ!!何するのよーッ!!」
「お、おい、マナ止めとけって!」
「リグル~~ッ!」と怒るマナをカインは止めるが、リグルはそんな怒るマナの様子を気にしていない様子。それどころかリグルは怒るマナに更に追加の拳骨を一発放つ。
ゴツンッ!
「ッ!?い、痛ーーーいッ!!」
「ま、マナッ!?お、おいリグル、ちょっと怒り過ぎじゃ……」
「何が?」
カインに冷たい目を向けるリグル。
「っ………いや、何でもない………ぜ」
そんなリグルの冷たい目にカインは負けて仲裁の意見を取り下げてしまう。
「~~~ッ!!リグルッ!痛いじゃないッ!!何発拳骨をするのよッ!!」
「マナが反省するまでだけど?」
2発の拳骨をリグルから喰らったマナ。
そのことに怒るマナはリグルに一体何発の拳骨を私にするのよっと声を上げるが、そんなマナにリグルは一言でマナが反省するまでと切り捨てる。
「何でマナは教えた魔法を自慢するために使っているのかな?」
「うっ、そ、それは…………」
「それは?何?」
「う、うっ………………」
「…………大きな理由は無いみたいだね。なのに魔法を使ったんだね?確か僕はマナに魔法を教える時に魔法を必要な時以外には無暗やたらに使わないことを約束していた筈だよ?」
「………………はい。…………約束しました……」
「そうだよね。約束したよね?ならなんでマナは自慢をする為に魔法を使ったの?約束が違うよね?だから僕はそんなマナに拳骨をしたんだよ。それの何が変?マナ、僕は何か間違っている?」
「……………間違っていない。………約束を破ってごめんなさい。………グス………」
マナに魔法を教えた時の約束を破ったので拳骨をしたのだと言うリグル。そんなリグルの言葉にマナは、先程リグルに拳骨をされた怒りが消沈し、リグルの行動が間違っていないと言って約束を破ったことをリグルに泣きながら謝る。
「……グス、グス」
「おい元気を出せよマナ?リグル、マナもこんなに反省しているんだからもう許してやれよ」
「………カイン。………マナが約束を破って魔法を使ったことをちゃんと反省しているんだったら、僕はこれ以上マナを怒る気はないよ」
「だってよマナ?反省しているならこれ以上リグルは怒らないって言っているのだから元気を出せって」
「……グス。………本当に?」
マナはこれ以上怒らないかをリグルの顔を見ては確認する。
リグルも泣いているマナを見ては少し怒り過ぎたかと思いながらも、こちらを窺うマナに向かって「反省しているならね」、とマナに釘を刺す。
そんなリグルにマナは「反省してます」、と小さな声で答える。
「………ふ~~う。…………反省したならいいよマナ。後、拳骨までしてごめん」
「………グス、ううん。リグルとの約束を破った私が悪いからいい。本当にごめんなさい」
「良かったなマナ。リグル、俺はそんなに怒らなくてもよかったと思うぞ?」
「それは駄目だよカイン。マナが約束を破っただけならそこまで僕も怒らないけど、マナが魔法を自慢をする目的の為だけに魔法を使ったことに、マナだけじゃなくて他の人も危険が及ぶかもしれないとしっかり感じて反省してもらわないといけないから。その為にもマナには魔法を教えた時に約束をしたんだから」
「………そうか、マナや他の人の安全の為にもリグルはあれだけマナに怒っていたのか………それならリグルがあそこまでマナを怒るのは仕方ないことか」
反省をしたマナをリグルは許す。そしてマナに注意するのにもやり過ぎたと謝る。
リグルもマナとは今の身体は同じ年齢だが、中身の精神年齢から考えたらまるで幼い女の子を虐めているみたいで罪悪感を抱いていたのだ。
だがマナの為にも約束を破って魔法を使ったマナを、カインから見たらやり過ぎと思う程にリグルは真剣に怒って注意したのだ。だからリグルはマナが反省した後拳骨までしたことにはマナに謝る。
これで互いに悪かったことを謝ったことで今回のことは終わったかのように見えたが………
「…………でも、リグルの拳骨は痛かった。物凄く痛かった。………それも2発」
「ま、マナ?それは仕方ないだろ?2発も拳骨してもマナが約束を破って魔法を使ったのを反省しなかったのだから!!」
「それは!………それはそうだけど、でも!2発もリグルから拳骨をもらったのは私悲しかったわッ!!────そうよリグル!おばさんにリグルが私に拳骨を2発もしたことを黙って欲しかったら、リグルが私の魔法の的になって、私の魔法を的に当てる練習に付き合いなさい!」
「グッ、狡いぞマナッ!?そもそもマナが約束を破ったことが悪いんだろッ!!それに、人に向けて魔法を放つなっと言った筈だろ!!」
「何、リグルが私に拳骨をしたことは事実だわ。それも2発も。このことがリグルのおばさんが知ったら?きっとリグルはおばさんに怒られるわね?リグル、それが嫌なら私の魔法の練習に付き合うしかないわね?大丈夫、人に向けて魔法を放つのが駄目なのは危険だからけど、私よりも魔法の腕が立つリグルなら問題ないわ」
「問題あるよッ!てか問題しかないよッ!」
「(いつの間にかリグルとマナの立場が逆転しているぜ。)…………とりあえず被害が飛んで来ないように、俺は暫く気配を消していよう」
自分がリグルとの約束をカインに自慢するために破ったことを悪かったと反省したマナだが、リグルに、2発も拳骨を喰らった、痛かったことはやっぱり許せなくなり、仕返しにリグルの母、おばさんに女の子に手を上げたことを告げ口されたくなければ自分の魔法の的になれっとリグルを脅すのであった。
そんなマナの仕返しにリグルは抗議の声を上げるが、「何?聞こえな~い!」「ほら、リグルいくよ?」とマナは言ってはリグルに魔法をどんどん放っていく。
そんなマナの魔法の的になることを要求されたリグルだが、自分の母にマナを拳骨したことをバラされるのは流石に不味く、マナの仕返しに反対出来ずに「ち、ちょっとマナ!い、今、マナの魔法が僕にかすった!?」と叫んでいた。
そんなマナとリグルを見てカインは、ゲームの主人公の1人であるのにも関わらず1人被害が飛んで来ないように気配を消していたのであった。
「ちょ、ちょっとーー!!こんなのおかしいと思うのは僕だけかぁーー!!!」
「何リグル?あんまり動くと私の魔法の操作がミスして本当に身体に魔法が当たっちゃうよ~~!」
「ば、バカ!?ちゃんと魔法を操作してよマナッ!!」
「バカ?カッチーーン。そんなこと言うリグルなんてこの魔法を喰らえばいいのよ!!」
──≪ファイヤー・ボール≫≪ファイヤー・ボール≫≪ファイヤー・ボール≫ッ!!
≪エアー・カッター≫≪エアー・カッター≫≪エアー・カッター≫ッ!!
「ギャーーッ!!そんなにッ!?マナやり過ぎだよぉーッ!!」
とリグルは自分に狙って魔法を放つマナにやり過ぎだと叫ぶ。そしてリグルは叫びながらもマナの魔法を避けたり、防いだりして何とか対処し、そのままリグルは母に告げ口をされないようマナの仕返しに満足するまで必死に付き合うのであった。
「……………俺は女の子には手を上げないでおこう。リグルみたいになりたくなければな………」
そんなリグルの様子を気配を消しながら見ていたカインは、自分はあんな酷い目に遭うのはごめんだと思い、女の子には手を上げないっと固く心に誓うのである。
「(アァーーッ!!女の子に注意をするのは加減が難しいーーッ!!)マナーーッ!もう終わってくれーーッ!!」
とリグルは女の子に注意する難しさを実感し、マナに早く魔法の練習を終えるようお願いするのであった。
次回は、明日投稿予定になります。




