第1話( 物語について )
ゲームである"竜が守護する世界の物語"についてと、主人公であるリグルのこれからについての話になります。
"竜が守護する世界の物語"
この"竜が守護する世界の物語"ゲームは、昔8体の聖竜とその契約者である勇者によって倒された魔王が復活し、その影響で魔物は凶暴化して姿を消していた魔族や悪魔が現れては世界の平和を脅かすのをゲームの主人公達を操作して世界の危機を解決していくファンタジーRPGだ。
そのゲーム上の途中死亡するモブキャラであるリグルに転生か憑依をした主人公。
そのことを嘆いて叫んでいたリグルだが、あの後精神を落ち着かしてからリグルもカインやマナと同じく家に帰り、リグルは家族とご飯を食べてから自分の部屋に戻るのであった。
自分の部屋に戻ったリグルは、部屋にあるベッドに横になりながらこれからのことについて頭の中で考えを巡らせる。
「ほんと、これからどうしたらいいんだ?"竜が守護する世界の物語"のゲームシナリオは"マルチエンディング"の設定が採用されていたのは覚えている。マルチエンディングが採用されているのはいいとして、だけど問題は今僕がいるこの世界がどのエンディングの世界なのかは分からないことだ。それに、このリグルというモブキャラは、主人公の1人であるカインの幼馴染みであるのに、主人公の仲間にならず処かどのエンディングでも途中で死んでしまいゲーム上から退場するキャラだし……」
リグルは、ベッドに横になりながら「うぅぅ~~」と唸りながら、今自分がいるこの世界が"竜が守護する世界の物語"の世界のどのエンディングの世界なのか、リグルというモブキャラになった自分がどうやったら生き残れるのだ?と頭を悩ましていた。
(そもそもどのエンディングによってかで対応を仕方が違うのが問題だろ……)
・主人公達の誰かもしくは複数が聖竜と契約して、勇者の力を手に入れ聖竜と協力しては復活した魔王を倒して世界の平和を取り戻す。その後ヒロインと結ばれて平和の世界を過ごす結末の【ハッピーエンド】
・世界が復活した魔王に支配される結末の【バッドエンド】
・世界の守護者である聖竜を失い地上に生きる者達も疲弊するが、主人公達が復活した魔王を何とか倒して世界の平和を取り戻す結末の【ノーマルエンド】
・魔王を倒すことは出来ずに封印して世界を守るが、主人公達の大切な人や物等を色々失う結末の【ビターエンド】
・最後の本当の結末である【トゥルーエンド】
この【トゥルーエンド】では復活した魔王をただ倒すだけではなく、完全に魔王の存在を消滅させた上で亡くなった光を司る神を復活させることで世界の平和を完全に取り戻すことだ。他のエンディングでは、魔王を倒しても魔王は完全に滅んではいなく、いつか再び復活するという設定だ。
「………何が一番問題かというと、これだけストーリーのエンディングの数がある中で今の僕、リグルというキャラはどのエンディングの世界でも途中で死んでしまうことなんだよな………」
そう"竜が守護する世界の物語"のゲームにおけるリグルというキャラは、どのエンディングに分岐しても途中で死んでしまうモブキャラであるのだ。
しかもその死ぬ原因が問題なのだ。
どのエンディングでも途中死ぬリグルだが、そのリグルという主人公の幼馴染みキャラなのに仲間にならず途中で死ぬ原因はというと・・・・
「何でどのエンディングでもリグルは1人で凶暴化した魔物の群れと戦う形で死んでしまうことになっているだ?せっかく主人公の幼馴染みのキャラなのに、カインやマナが村を旅立つ前に凶暴化した魔物の群れに襲われて死んでしまう不遇のキャラなんだ?ゲームの運営はこのリグルのキャラをなんとしても死なせて、カインやマナが凶暴化する魔物の脅威に立ち向かう理由作りにしたいとしか思えない……」
そうリグルというキャラは、主人公の1人であるカインやその仲間でありヒロインであるマナが、魔王が復活する前兆である魔物の凶暴化に立ち向かう理由作りの為、どのエンディングの場合でもカインやマナが村から旅立つ前の幼い時に凶暴化した魔物の群れに襲われて死んでしまうのだ。
そしてリグルという幼馴染みが凶暴化した魔物の群れに襲われて死んでしまったことで、カインとマナがその原因を探る為と、凶暴化した魔物の脅威を何とかしようとして村から旅立つのがストーリーの始まりなのだ。
ただでさえどのエンディングなのかで対応が変わるのに今の世界がどのエンディングなのか分からず問題なのに、その中で自分が転生か憑依したこのリグルというモブキャラはどのエンディングでも途中で絶対死んでしまうキャラであり、もし自分が死ななければもしかしたら主人公の1人であるカインやその仲間のマナが村から旅立たないことにもなりかねないことにリグルは頭を抱える。
そんな自分の命を選んだらもしかしたらカインやマナが村から旅立たず、世界の平和が取り戻せずに結局命を落とすことになるかもしれないことに頭を抱えるそんなリグルだったが、そのことを一度頭から振り払っては何かを確認しようとしてベッドから身体を起こす。
身体を起こしたリグルは"アクセス"と唱える。
"アクセス"と唱えたリグルの頭の中に≪何にアクセスしますか?≫と謎の声が響き、リグルはそんな頭の中で響く謎の声に疑うことなく従っては「"リグルの現在のパロメーター"」と答えると、リグルの目の前にモニターのような物が浮かび上がってきた。
◆◇◆◇
名前 リグル
年齢 10歳(+25歳)
ジョブ 魔法使い
称号無し(閲覧者)
ーステータスー
レベル1
力13(+2)
耐久力16
器用35
俊敏25(+2)
魔力100(+1)
魔耐80
【技能】
力強化 レベル2
魔力強化 レベル1
俊敏強化 レベル2
錬金術 レベル1
【魔法】
土魔法 レベル2
火魔法 レベル1
水魔法 レベル1
風魔法 レベル1
【竜人剣術】
習得剣術……≪土≫≪火≫≪水≫≪風≫の太刀の2式まで習得。
◆◇◆
リグルの目の前に現れたモニターには、現在のリグルのパロメーターが表示されていた。
「こんな最悪の状況の中でも幸いなことなのが、リグルになってもゲームをしていた時みたいにこの"アクセス"の機能が使えることだな」
リグルはゲームをしていた時みたいに、操作しているキャラや周囲状況の情報を"アクセス"して確認することが出来る機能が使えることに感謝していた。
「…………どのエンディングの問題よりも一番気にしないといけないのはまずリグルの死亡フラグを対処しないことには確実に命を落とす!なら先ずすることは目先の命を何とかすることに力を入れる!───その為にも、この"アクセス"の機能を使って効率よく自分を鍛える!それで強くなってリグルの死亡フラグを回避する!───どのエンディングかの確認やその後のエンディングの対処はそれからだ!」
リグルは先ずは自分の死亡フラグの対処から対応していこうと、自分の現在のパロメーターが映っているモニターを見ながらこれからのことについて考えを纏めるのであった。
そして、1通り今の自分のパロメーターを見たリグルは"ディスコネクト"と唱えると、リグルの頭の中で再び≪アクセスを切断しますか?≫と声が響き、リグルはその声に対して「はい」と答える。するとリグルの目の前に浮かび上がっていたモニターが消える。
自分の目の前に浮かび上がっていたモニターを消したリグルは、その後再びベッドに身体を横にして重くなってきた目蓋に逆らうことなく目を閉じる。
「………ふぁ~~っ、それにしてもカインとマナと遊びした後にエリューじいさんの長い話を聞いていたら凄く眠いなぁ~~───う~んっ!自分の死亡フラグのことについては重大な問題だけど、流石に今は眠気が限界だ。………後のことは明日にしよう………今日はもう寝て、明日の朝からまた自分の死亡フラグの対処についてもう一度考えて行動しよう………………」
「………………………………………………………………………………」
「…………………………ぐ、……………ぐぅ~~……………」
眠気が限界にきたリグルは、その後のことは次の日にしようと決めた後そのまま眠気に逆らわずに深い眠りに就くのであった。
次回は、明日中までには投稿します。