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帰還

 私は確かに投げた。そう物を一度だけすり抜ける魔装を。

 そして投げる際にストレングスを使って、筋力を強化した。

 当然魔装はマルゲリータの脇腹を通過し、刺客の腹へと直撃した。

「グヘエ」

 なんとも情けない声をあげる刺客。膝から倒れ悶絶する彼から、マルゲリータはすかさず逃げ出した。

「誰の差し金かはわからないけれど、確かに決死のダンジョンをクリアして有頂天。 そんな夢心地な気分だから騙しやすいそう考えるのはわかる。

だけれどこっちは、そんな緩い気持ちで生きちゃいないんだよ!」

 お姉ちゃんは刺客に向けて怒鳴り散らす。

 私も最初から薄々彼のことは怪しいと感じていたが、本物だった場合を考えてつい躊躇してしまった。

 それをあの一瞬で、偽物だと確実に看破し踏み切ることのできたお姉ちゃんは凄い。

 私達は、また刺客が襲ってこないうちに街へと帰還した。



「おかしい……そろそろ刺客からの確保の連絡が入ってもよいころなのに」

 自分の執務室をせわしなく歩き回るハワード。

 そんな彼の執務室へノックもせずに蹴破るような勢いで、扉を開けるものがいた。

 そう私達だ。

「頭取、どうかされましたか? 私達はこの通り無事帰還することに成功しました」

「お、おう。そうか」

 そういってお姉ちゃんは指輪を見せつけるが、頭取に渡そうとはしない。

「どういうつもりだ? はやくそれをこちらへ渡せ」

「渡しますよ。 きちんと報酬の八億を確認した後に」

 頭取は、悔しげな表情を浮かべ自室の金庫から現金の束を取り出しはじめた。

 そこには、今までどれだけの人から利益を貪ってきたか想像がつかないぐらいの現金が眠っていた。

 そしてその現金の束を一つまた一つと積み上げていき、八億きっかりちょうどを手渡すとお姉ちゃんはニコリと笑みを浮かべた。

「毎度ありがたいました、これが件の指輪です」

「う、うむ」

 私達は八億をケースにいれて持ち帰ると、先程の執務室から何やら騒音が聞こえてくる。

 きっと悔しさをものへぶつけているのだろうと私達は予想した。



 私達は受け取った八億をそのまま銀行へと預けると、引き換えに預かり手形を受け取った。

 その後プチ祝賀会をクローネさんの店で開いた。

「カンパーイ」

 そういって私達は、お酒でなく果実ジュースを飲みながら思い出話に花を咲かせた。

「おいおい、いつになく上機嫌だな」

「えへへ、そう見えますか?」

 それもそのはずである、なぜなら今私達は八億を持つ富豪なのだから。

 だが、ここから分配の話へと移っていく。

「今八億あるわけだけれどこれを人数分で割って二億円ずつで分配しようと思うわ」

「あの、その話なんですけれど私は二億円でなく一億円で十分です」

「え? どうして」

「その……アリスさんとはお話していたのですが、件の約束が叶いそうなので」

 そういわれても私には、なんのことだか検討がつかない。

「まあまあとりあえず今日は、行けるところまで行きましょう」

 私は訳がわからなった。だが、お姉ちゃんが音頭をとるままその日は宴を楽しんだ。

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