飛躍した発想
「え、お姉ちゃんどういうこと?」
「いや……この考えが正しいかは正直言って自信ない」
このときばかりは流石のお姉ちゃんも、萎縮しているようである。
「……信じるよ私は」
「私も」
「私もですわ」
「みんな……」
そういっている間にも部屋はどんどんと狭まっていき、私達の命の灯火は消えようとしていた。
「わかった。私の答えを発表する前にまずなぜこの部屋が暗いのか、みんなにも考えてほしいの」
「え? 指輪の位置を見辛くするためなんじゃないの?」
「そう、まずそこが引っかかたの。 でもこんな意地悪なダンジョンを作るような奴がそんな単純な考えで暗くするとは思えない」
私は、お姉ちゃんの推理を聞いて確かにと心の中で相槌をうった。
「つまり何か別の意図があってこの部屋を暗くしていると?」
「そう、そして今部屋は刻々と収縮している。 それでなんだけれどさっきの部屋のことを思い出してみて」
「さっきの部屋?」
私はさっきの部屋のことを思い出すが、何のことだかまったくわからない。
「……そうか! 部屋の収縮ですわね。 さっきの部屋では膨張した球体がいくら大きくなっても四隅に隙間が出来ていた」
「そう。 それを逆の発想で考えればこうも考えられない? もし部屋が四角の形をしていた場合円柱が邪魔をして、隙間ができてしまう。
それだと私達が死なない。 つまり、この部屋の形は自ずと浮かび上がるということなの」
私はお姉ちゃんが話していた内容を、頭に思い浮かべながら整理して自分なりに考えてみた。
そうか!
確かに部屋の真ん中に円柱が存在すろということは、この部屋の形は円しかありえない。
そして部屋の構造を悟られないためにこの部屋真っ暗にしてある。
「それでこの部屋の形は求めることができただけれど、それがどういうことなの?」
「部屋の形が円ということは、もし部屋を上から見た場合の図形を思い浮かべてみて」
私は部屋を上から見た場合の形を思い浮かべた上で、先程見えた木漏れ日が指した部屋の形を思い出してみた。
するとだ私の頭の中に、指輪が思い浮かんだ。
「そっか! 答えはこの部屋自体が指輪ってことね」
この答えを出した時、もう部屋の壁は私達ギリギリにまで迫っていた。
もう私達に解答のチャンスは一度しかない。
私達は固唾を飲んでこの答えが正解かどうかを見守った。
「この部屋自体が指輪という答えは……正解よ。 よく解けたわね」
先程の美しい女性の声と共に正解が告げられ、部屋はまた元の形へと戻っていった。
そうすると出口が開き、木漏れ日が差し込む部屋へと通じる道がひらけた。
「本当の本当にこれで終わりですの……?」
すっかり疑心暗鬼になってしまっているマルゲリータ。
それに対し美しい声の女性はこう返す。
「今この部屋で魔法が使えるようにしたわ、これで信頼してもらえるかしら?」
そういうと私はそれを確認するため、ブライトの魔装を使うと部屋の全容を確認することができるようになった。
部屋はお姉ちゃんの推理通り本当に円形をしており、上から見れば確かに指輪に見える構造となっていた。
「わかった、ここは信じましょう」
お姉ちゃんは先陣を切って木漏れ日の部屋へと進んでいった。
「大丈夫ですの……? いきなり落とし穴がドッカ~ンとかとはなりませんわよね?」
「お姉ちゃんが大丈夫だって言ってるんだから大丈夫! たぶんだけど」
私は半笑いを浮かべながらお姉ちゃんの後をついていった。
木漏れ日の部屋に辿り着くとこの部屋が本来大墳墓であることが思い出せた。
その木漏れ日の部屋には、大きな棺が横になって二つ並んでいたからだ。
そして目の前に先ほどの美しい声の女性が、霧のように部屋の中央へといきなり現れた。
「これが私の姿よ。 コングラチュレーション! あなた達の試練クリアに免じて私の指輪をあなた達に進呈するわ」
その美しい声の女性は、長いストレート銀髪に紅色の瞳をしておりどことなく私達に似ており、やはりご先祖様などだと再確認させられた。
「どうやら大丈夫そうですわね、行ってみましょうか」
「そうですね、お嬢様。 行ってみましょう」
二人は警戒しながらも、棺の間に入っていた。
「……あなた達が私の指輪を欲しがっている子達ね」
霧のような造形をした女性は二人を一瞥しそう告げる。
「はい、私達はどうしてもそれが欲しいんです」
「いいわ。 今まで散々意地悪な仕掛けを用意してきたけれど、それを全て看破されたのではどうやら認めざるをえないようね」
そういうと女性は、光となりそして指輪へと姿を変えゆっくりとパーシヴァルさんの手元※消えてますよー((((;゜Д゜))))ヒー
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