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最後の試練

 私達はお姉ちゃんの言った通り、四隅に体育ずわりになった。

するとどうだろうちょうど人が一人入れる分ぐらいの隙間ができて私達は助かった。

そして部屋の壁にぶつかり、これ以上膨張できなくなると、風船が割れるかのごとく球体は霧散した。

「やった! これで第四層クリアね」

私が歓喜の声をあげた次の時であった。

「コングラチュレーション! 第四層クリアおめでとう。 次は最後の試練よ。 さあ奥にあるあの真っ暗い小部屋へと入って頂戴」

そういって来たのはなんとも美しい女の人の声であった。

私達は戦闘に必死で気が付かなかったが、言われたとおりに確かに奥に小部屋がありそのまた奥になにかの形をした木漏れ日の漏れた部屋が存在した。

「お姉ちゃんさっそく行こうか!」

私が天真爛漫に向かおうとすると、お姉ちゃんがそれを引き留めた。

「待って、おそらくあの部屋に全員が入場した時点で、最後の試練は開始になるはず。 なるべくゆっくり歩いて観察する時間を稼ぐのよ」

「あ! わかったお姉ちゃん」

つい先を急いで失敗してしまうのは、私の悪い癖だ。

お姉ちゃんに言われた通り、ゆっくりと歩みを進めてなるべく観察の時間を稼いだ。


 お姉ちゃんを先頭になるべくゆっくりと歩みを進めて、部屋へと入場した。

最後尾は私であったが、遂に最後の試練かとドキドキが正直いってとまらなかった。

私が入場し終えると、予想通り最後の試練が始まった。

「さてこの四人には脱出不能のデスゲームをしてもらいます」

その言葉を聞き、戦慄しないものは存在しなかった。

そしてその言葉通り、入り口と出口二つの扉が勢いよくしまった。

これで四人は脱出不可能である、これから何が始まるというのであろう。

「さて問題です、今ここには光のリングが隠されています。 それを見つけ出すことができれば最終試練は合格。 リングを持ち帰ることを認めるわ。

ただし、制限時間を設けるわ。 この部屋は五分もすれば部屋が狭窄していき、最後には全員お陀仏になってしまう仕掛けなの。 さあ指輪を探して頂戴!

ちなみにこの部屋はあらゆる魔法が使えない仕組みになっているからズルしようとしても無駄よ」

私はブライトの魔装で灯りをつけることを試みるが、やはりダメであった。

そして次に私とマルゲリータは床へと突っ伏して、必死にどこに指輪があるかを探しだした。

だが、二人は平然とその場に立っていた。

「え? なんでお姉ちゃんは指輪を探そうとしないの?」

「この問題なにかがおかしいわ。 光の指輪を見つけろですって? こんな真っ暗な部屋で見つかるはずがない。

きっと何か意図があってあの出題をしたのよ」

「……実は私もそう思っていました」

「じゃあお姉ちゃん、その光になにか検討がついているの?」

「わからない、そもそもこの真っ暗闇で光る指輪なんて存在しっこない」

「いや? そうでもありませんわ、ルビーは己自身が光を発することで有名な宝石ですわ。 つまりこの部屋にはルビーの指輪が隠されているんですわ」


 マルゲリータは自信満々にそう言ったが、お姉ちゃんは無言を貫きどうやら違うといった態度を示した。

「例えばだけれど、さっきの設問通りにいえばもし参加者がルビーの指輪をもっていたらそれだけで問題が解けてしまう。 つまりそれとは別の光の指輪が

この部屋には存在しているんじゃないか、と私はおもう」

「……確かに」

私達の推理は、また振り出しへと戻されてしまった。

「あのーそもそもなんですが、どうしてこの部屋だけ真っ暗なんでしょう? さっきまで嫌というほど明るかったのに」

パーシヴァルさんがこの時間のないときに意味なさげなそもそも論を述べてきた。

そんなの光の指輪を探すのを邪魔するのか、光で目をくらませた後闇に放り込んで何も見えなくさせるのどちらかに決まっている。

そう私が決めつけていた時、お姉ちゃんは変なことを言い出した。

「……確かに。 それはいい着眼点だと思う。 なんでこの部屋って真っ暗なのかしら?」

遂にお姉ちゃんがおかしくなってしまったのかと思った、今は必死にこの部屋に隠された光のリングが隠されている探すべき時間のはずなのに。

そんなことを考えていると、ギギギと地鳴りのような音が聞こえた。

そう、部屋の狭窄がどうやら始まったようだ。

……まずい!

はやくお姉ちゃんを思考という暗闇から救わなければ、私達に生き残るのぞみはない。

そんなことを考えた時であった。

私はゴツリと何かの障害物へと頭をぶつけてしまった。

「あいたた、なんでこんなでかい障害物が、こんところに」

「どうしたの? リリー」

「いや、なんかさここらへんになにか大きな障害物が存在してて、邪魔なんだよ!」

私が全容を告げたその時であった、お姉ちゃんの頭になにかが閃いたらしく大声をあげた。

「それよ! きっとこの障害物に攻略のカギが隠されているはず、みんなその障害物に触れてみて」

「わ、わかった」

そういって私達は、障害物へと触れ硬さなどを調べるがまったく意味がわからなかった。

「ねえこの障害物がどう攻略のカギになるの?」

「それを示すために、あなた達にこの障害物の大きさを測ってもらいたいわ。 この障害物の周りを一周するようにみんなで手を伸ばして取り囲んで」

「うーん、よくわかんないけどわかった」

障害物の大きさは約私達の手四人分で、形はどうやら丸い形をしているようであった。

「ねえこれが何の意味があるの?」

「……勝利の方程式が見えた気がする」

お姉ちゃんは意味深な一言をポツリとつぶやいた。

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