ダンジョンの番人
私達は何かガサガサする音にビクビクしながらも、前へと進んだ。
すると道はだんだんと狭まり一本道へとなっていった。
その一本道の先にはなにやら、光の漏れた部屋が存在することが薄目で気がついた。
「……どうする? 入る?」
「入るしかなさそうね」
お姉ちゃんが頷いたのを確認すると、私は扉をあけた。
部屋へ進むと、ウサギのような格好をした30センチほどの陽気な妖精が待っていた。
「ようこそ! ぼくの領域へ。 ワーオ! これからぼくとのゲーム対決始まるぞ! それじゃあ本番行ってみよー! ウヒョオー!」
部屋は数メートル四方の狭い小部屋で、どうやらこの妖精を倒さないと先へと進めなそうな扉が待ち構えていた。
「ねえ番人さんゲームってなにをやるの?」
「そうだねー! なぞなぞなんてどうだい? 君達あんまり頭良くなさそうだし」
「え、酷い! 少なくともお姉ちゃんはとっても頭がいいんだから」
そう反論すると、部屋中の視線が私へと注がれた。
どうやら私がこの四人の中で、一番足を引っ張っていると思われているようだ。
「それじゃあ早速第一問! この四人で食堂へと行きました。 そこの銀髪で髪が長いかわいこちゃんはアップルパイを、金髪の高慢ちきそうな君はアンチョビのソテーを、
そこの赤髪ボーイはインゲンマメのサラダを頼みました。 次にそこの頭の悪そうな君が頼むものは次のうちどれ?」
番人が問題を出し終えると、さっきまで一つしかなかったはずのドアが三つに分裂した。
左から順に一番目の扉にはアボガドが、二番目の扉にはイカスミパスタ、三番目の扉にはピーマンの肉詰めと書かれた扉へと変貌していた。
「さあとってもイージーな問題だよ! はやく答えて」
「わかった! 私イカスミパスタが大好きだから二番ね」
「え、ちょっとリリー。 ちゃんと考えてる?」
お姉ちゃんの警告も聞かずに二番目の扉を開けると、そこには何もない虚無の空間が広がっていた。
私はびっくりしておののき、一歩踏み出す前に足を止めた。
「うわぁあ! これもしかして不正解だとペナルティがあるの?」
「え! 逆にないと思っていたの? そんなの当たり前じゃん。 今回は君がとってもキュートだったからペナルティは軽めにしておいたけど次はこうはいかないからね」
さっきまで陽気に振る舞っていた妖精だが、今は邪悪な笑みを浮かべ先程との落差を考えると、狂気を帯びていた。
「うーん、二分の一確率か……」
「いや! リリーさっきの言葉聞いてた? ちゃんと考えて答えを出してよね」
私の能天気さにお姉ちゃんは、物凄く焦りを浮かべた顔で私を上下へ振動させた。
「ちなみに答えを教えると、不正解扱いでペナルティがあるから気をつけてね!」
「えー……難しいな。 あ! じゃああなたとっても意地悪そうだから私の嫌いなピーマンの肉詰めが正解ね!」
そういうと私は三番の扉を開けた。
するとだ、また今いる部屋と同じレイアウトをした部屋へと繋がっていた。
「え? これってどういうことなの?」
「あぁ、正解だから次の部屋に進めたんだよ」
「わーい! やったー」
私が無邪気に喜んでいる様を見て、皆胸をホッと撫で下ろした。
「ちゃんと答えに辿り着いて偉いね。 ちなみに答えはあいうえお順にメニューを頼んでいったからだよ」
妖精は興味がなさそうな顔を浮かべながら、私が正解した問題の答えを教えてくれた。
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