ダンジョン探索
彼女達の決死のジャンプは成功した。
きちんと地に足がついている。
「うおー、やったー」
私は二人に飛びついて、成功を祝った。
「ちょっと危ない! 谷底に突き落とすつもり?」
「あ、あははごめんなさい」
「もう、まったく」
「急ぎましょう」
お姉ちゃんはそんな私達の一悶着を気にもとめず先を急いだ。
ジャイアントグレイトバレーから、数時間程歩くと滅んだ街エンドラへと辿り着いた。
エンドラはかつて、魔王城と一番近くに接していた街で最終決戦の際に魔王によって一度滅ぼされた。
その後何度か再興されるものの、交通の便の悪さにより遂には誰も寄り付かなくなったという謎多き街だ。
私はダンジョンがどこにあるのか知るため捜索を開始しようとした。
「んーやっぱダンジョンってくらいだから地下にあるんじゃない?」
するとお姉ちゃんが私の首根っこを掴み、私の動きを静止した。
「コラ、エンドラは盗掘団のアジトがあるって噂もある治安の悪い街なのよ、無闇に動かないの」
「ご、ごめんなさい。 でもあれって……」
私が指差した方向にはいかにもダンジョンという迷宮への入り口があった。
★
「ハワード様報告です、連中もうダンジョンへと侵入したとの狼煙があがりました」
「なに!? それでご令嬢の身柄はどうなっている?」
「それが一緒にダンジョン内へと入っていったとかどうとか」
「馬鹿! なぜそれを止めなかったんだ」
ハワードこと頭取は秘書に怒鳴り散らすが、もう時既に遅し。
ダンジョンに一度入ってしまえば、脱出できるか死ぬかの二択しかない。
「あまりにも早いスピードでダンジョンへ辿り着いたため、伝令の報告が間に合わなかったとかで」
「もういい! とにかく今は気分が悪い、少し横になる」
「申し訳ございません」
★
私が指差して中へ入っていった建物は本当にダンジョンであった。
ダンジョンの内部に入ると、魔法の力で入り口が閉まり中からは決して開かないようになってしまった。
そしてダンジョンの内部は真っ暗で夜目がきくまで動くことができない。
私は持っていたブライトの魔装を使い灯りをともした。
すると薄暗くではあるが、足元を照らす程度には周りが見えるようになった。




