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エンドラへ向かえ!

 私が目を覚ますとそこには、お姉ちゃんが四人分の食事を作って待っていてくれていた。

「おはよう、お姉ちゃん」

「うん」

今日のお姉ちゃんはどことなくギコちないというか何となく不安でいっぱいそうだ。

私はそれを察し、後ろから抱きついた。

大丈夫、私達ならきっとダンジョン攻略できるからそんな気持ちを込めてのハグであった。

「あらあらお二人さん朝からお熱いコトですね」

「ちょっとお嬢様」

どうやらいつの間にか二人も起きていたようであった。

しかし二人もどこか顔が引きつっているようで、不安な気持ちは隠せていないようである。

それも当然だ。北東の街にあるエンドラは、辺境も辺境で盗掘団の根城にもなっていると噂の荒れ果てた街だ。

それに陸路で到達するのは不可能とされているため、水路で行くのが普通とされている。

その理由は、ジャイアントグレイトバレーという大きく長い谷が、エンドラまでを妨げているからだ。※どこからエンドラまでをでしょうか?

これは古代いたとされる魔王が起こしたとされる、ジャイアントインパクトの影響らしくそれが今になっても爪痕を残している。

「質問だけれどやっぱり水路でエンドラへと向かうんでしょう?」

「いやそれじゃあ時間がかかりすぎる。 一直線に向かうこととする」

「それってまさか……」

「そう、陸路で一気に突き抜ける予定よ」

お姉ちゃんはそう告げると、私以外の二人はいい加減にしてくれという引きつった顔であった。

「ちょっとなにか考えがあってのことなんでしょうね?」

「……まあ一応、それにエンドラに行くまでに立ち往生しているようでは、ダンジョン攻略なんて夢のまた夢よ」

お姉ちゃんはキリっとした決意の表情を浮かべていたが、手はかすかに震えていた。

私はその震えを止めるため、ギュッと手を握りしめるとハッと気づいた。

物凄い手汗をかいているのだ。やはりお姉ちゃんも物凄いプレッシャーを抱えているが、それを必死に隠している。

「よし決まったなら早速出発しましょう!」

私は皆の気分が落ち込まないうちに、鼓舞の声をあげた。



「ハワード様、密偵の報告によれば今朝しがた例の魔法少女の一団が今朝しがた出立したとか」

「なんだその程度のことならいちいち報告しなくともよい」

「いえ、それが……どうやらその一団にご令嬢を同伴し、途中の調達品をハワード様宛てで買い漁っているとか」

それを聞いた頭取ハワードは怒髪天を衝くかの勢いで、テーブルを叩いた。

しかし、その次の瞬間にはまた鉄仮面へと戻った。

「まあそれぐらい破天荒でないとダンジョン攻略なんて無理だからな、寛容な精神で許そうじゃないか」

「は、はあ」

「それでやはり水路で向かったのか? だとすれば例の場所へは三日はかかるはずだが」、

「いえ、それが陸路で半日で通り抜けようという算段らしく……」

それを聞いたハワードは腹を抱えて大笑いをした。

「いやいや、なかなかの大物が入ってきたじゃないか。 よもやダンジョンを本当に攻略できるやもしれんぞ」

それは半分皮肉交じり、半分焦りから来る発言であった。

「では刺客を差し向けますか?」

「いや、現時点ではいい。 戻ってきた後ご令嬢と指輪を確認した後不審な行動を見せれば……だ」

ハワードはニヤりと不敵な笑みを浮かべた。



 案の定私達は、エンドラに向かう途中のジャイアントグレイトバレーの前で立ち往生していた。

幅十メートルほどあり普通にジャンプしたら真逆さまに転落してしまう。

「お姉ちゃんどうする? フライの杖は二本しかないよ?」

「……ここは一つ賭けに出るしかなさそうね。 アルテミスさん男の状態ならお嬢様を抱きかかえることは可能ですか?」

「ええ、いけるかと思いますが」

「でしたらお嬢様を抱きかかえて、ダッシュとジャンプの魔装を使えば十メートル飛べないこともないかと」

「……本気ですか?」

アルテミスは訝しげにお姉ちゃんを見つめるが、お姉ちゃんの顔は真剣そのものだ。

「本当なら私達がやるべきギャンブルなのですが、フライをお二人に乗りこなす練習をして貰う時間はおそらくないので」

「わかりました、やりましょう」

アルテミスはお嬢様の方を向くと、お嬢様はガタガタと震えて身動きがとれなくなっていた。

おそらく高所恐怖症で、こういうのは一切ダメなのだろう。

「お嬢様、私がついています。死ぬ時は一緒です」

アルテミスがなだめるが、ご令嬢はガタガタと震えてうわ言をひたすらブツブツと呟いていた。

一種の錯乱状態である。

「お姉ちゃんどうする?」

「しょうがない、置いていきましょう」

そういうとご令嬢の目に再び光が戻った。

「ちょっと待ちなさいさ! こんなところに私を置いていく気でして?」※待ちなさいさ?(;・∀・)噛んでますよ

「嫌ならアルテミスさんと決死のジャンプをすることです」

「やりますわ! やってみせますとも」

威勢は十分だったが、足は暴風に晒されるボロ傘のようにガタガタと震えていた。

それを見てお姉ちゃんはニヤリと笑みを浮かべると、私を連れて先にジャイアントグレイトバレーを渡った。

当然これは発破をかけるための行動である。

アルテミスさんは性転換の指輪をつけると、ダッシュとジャンプの魔装をつけた靴を履きご令嬢を抱きかかえ決死のジャンプを行った!

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