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場所を解読しろ!


「んー、それで付箋が貼られていたページって具体的にどこなの?」

「……ごめんなさい、わからない」

「私もです、気付きすらしませんでした」

場は沈黙という空気が包み込んだ。

そこで私があることを思いつく。

「そうだ! 店主の弟さんがかけてるあの眼鏡、あれを使えば思い出せるはずだよ」

「確かに……でもその店主の弟さんは今どこにいるの?」

「あ……」

私はまた見出した希望が潰され、歯がゆい気持ちでいっぱいになる。

「とにかく店主のとこに行ってみて、手がかりがないか聞き出してみるのが一番かも」

「……そうね」

お姉ちゃんは軽く頷き、また店主のところに向かうこととした。


「おういらっしゃい、てまたお嬢ちゃん達かなんのようだい?」

「いえ、店主の弟さんの居場所とかご存知ないかな? って聞きに来たんですが」

「アイツの今の居場所か……いんや、わかんないな」

「そうですか」

落胆する私達を尻目に、アルテミスはこんなことを言った。

「あのーその招き猫のちからをまた使えば、呼び出せるんじゃ?」

「いや、特定の人物を呼び出せるのは一日一回までなんですよ」

「そうだったんですね」

それを聞いて皆落胆する。

「なあ何を焦ってるのかわからんが、今現在の位置がわからんだけで、今日の夜になればアイツまた来るはずだぜ」

「本当ですか!」

私達はそれを聞いて落胆から一転歓喜した。

「それじゃあまずはここで腹ごしらえをして待つとしますか!」

そういって、私達はバカスカとメニューを頼みだした。

「あのー一応聞くがこの代金って誰が払うんだ?」

あまりにも私達がバカスカと頼むので、店主が心配になって聞いてきた。

「そりゃあ勿論ツケですよ。 これから八億円のビッグプロジェクトに挑むんですから成功すればすぐに返済できます」

「あ、こらリリー」

私が不用意に機密を漏らしたため、お姉ちゃんは怒って注意してきた。

今私達は、追手に追われているかもしれない身分なのだ、なるべく危険は減らしたい。


 夜になり、ランプが店の中に灯されるようになると予言通り店主の弟がやってきた。

「よお兄貴、また食いにきてやったぜ」

挨拶したのも束の間に私達は弟さんの眼鏡をいきなり強奪した。

「あ、コラなにするんだ」

店主の弟さんは眼鏡をなくし、視界を奪われたせいかバタバタとのたうつことしかできない。

お姉ちゃんは早速眼鏡を使って、過去の記憶を探り出した。

「このページは……」

そういうとお姉ちゃんは弟さんに眼鏡を返却した。

「まったくもうなんなんだ! ランキングの順位下げるぞ」

「いやーごめんなさいかっこいい眼鏡だったので、つい……」

私は思ってもいないことを口にし、機嫌をとる。

それと同時にお姉ちゃんに、どのページに付箋が貼られていたかを聞いた。


「ねえどのページかわかった?」

「いいや詳しいことはわからなかった」

「そっかあ……」

「けど落胆することはないわ。 大体のページ数はわかったし、そもそも聖典に登場する固有名詞の街自体が少ないでしょ?」

「そっか! それでここから北東の街に絞ればかなりの数に絞れる」

「そういうこと」

お姉ちゃんはそういうと私達は目的を果たしため、店から出た。

「お、おいお代は?」

「だからツケでって言ったじゃん!」

「まったくもー」

店主は落胆した様子だったが、私達全員必ず生きて帰って来る自信があったため全く問題なかった。


「それで聖典に登場してくる固有名詞の街でページ数的に候補になりそうな街を三つピックアップしたわ」

そういうとお姉ちゃんは、地図をとりだして一つ一つ指差していった。

まずはこの南にある街、そして次に西にある街、そして最後に北東にある街エンドラを指差した。

「そっか! 頭取はエンドラが臭いと睨んでいたわけだね」

「そうね、あの街にはいくつもの伝承があるしまず間違いないだろうけど……」

「けど?」

「わざわざ教えなかったということは、百パーセントそこにダンジョンがあるとは限らないってことだと思う」

確かに、わざわざ取ってくる依頼をするのなら場所を教えないのはおかしい。

きっと北東という情報だけは確かで、あとは当てずっぽうなのだろう。

「じゃあ明日にでも出立しますか!」

そういって四人ではギュウギュウ詰めとなった安アパートの床に私は寝っ転がった。

「あら? ベッドがあいてますわよ?」

「ベッドにはマルゲリータさんが寝てくださいな」

そう笑顔で返すと、さすがの彼女も気まずそうにだが横になった。

「まったくリリーは甘いわね、私はちょっと用事があるから一旦ここを離れるわ」

「えー、ちゃんと明け方までには帰ってきてよね?」

「大丈夫」

そういってお姉ちゃんはどこかへと去っていった。

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