巨大なる『ラメン』
しっかし、私たちはタイショのラメンの秘密が知りたくて集まったんだがなぁ……。
なのに、目の前の『ラメン』がタイショのラメンのような魅力を持っている風には、まったく見えないのが困りものだ。
ドンブリに顔を近づけると、ニンニクの強い香りが胃袋を刺激する……『ジロウケイ』ラメンの上に乗った大量の野菜は、主にキャベツと『モヤシ』という名のスプラウトに似た植物であった。
こんもり山になった様子は、よく言えば豪快で、悪く言えば下品である。
スープも今にもこぼれそうなほどなみなみと注がれ、乳化した脂によって濁っている。
私はまず、大量の野菜を口へと入れた。
が……むむぅ。このモヤシとかいう野菜、ほとんど味がしないな。キャベツも軽く茹でただけのようだ。
そして、いくら野菜を食べてもメンに辿り着かない……口の中が淡泊で、水っぽくて、ひたすら寂しい。
まるで、エルフの里での食事のようだ。幼少時代を思い出す。
私はしばらく困り顔で、シャクシャクと野菜を食べていたが、これではいつまで経ってもメンが食べられないので、意を決してワリバシをドンブリの底へと突っ込んで、『姿は見えないが、恐らくそこにあるであろう』メンを探った。すると、ワリバシに何かがゴツンと当たる。
……え。もしかして……これがメンか……?
えらく重たいなっ。
私は大量の野菜の下から、メンをズルズルと引っ張り出す。するとドンブリの底から現れたのは、茶色く色づいた麻縄の如くぶっといメンだった。
私はギョッとする。
な、なんだ、このメン……普通のメンの4倍くらい太さがあるじゃないか!
驚きながらも、メンを口に含むと……しょ、しょっぱぁ!?
スープの味が、めっちゃくちゃ濃いぞっ!
私はむせながら、慌てて野菜を口へと入れた。すると、野菜の淡い甘さにしょっぱさが包み込まれて、強烈な塩気が和らいでいく……ああ、驚いた!
この野菜、要するにナルトのように口の中をリセットし、スープの塩気を紛らわす具材だろうか……こんなに要らない気がするけども。
うーん? マズくはないが……なんだか色々と過剰でアンバランス、チグハグなラメンと言うのが、その時の私の感想だった。
しかし、レンは「残すな」と言ってたし、タイショのラメンの秘密も解けてない。
ここで席を立つわけにもいかないだろう。
私は弱りながらも、またメンを啜りこむ。すると今度は、ニンニクのみじん切りが大量に入り、まるで口中が爆発したみたいな刺激が走った。
私はまたむせて、モヤシへと逃げる。そしてメンを啜り、濃い味にキャベツを頬張り、その合間に分厚いチャーシュのプルプルした脂身を齧り、サッパリしたくなって野菜を食べて……ループである。
で、なぜか……そのループが……手が止まらない。
気づくと私は、ひたすらメンを口へと運ぶ作業を繰り返していた。
この常識外れに『どデカいラメン』の虜になって、ひたすらガツガツと猛烈な勢いでラメンを食らっていたのである!
18時頃に投稿しようとしたら、うっかり寝ちゃってこんな時間に……。
次回は……『ラメン』マジック!




